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BMWのフラッグシップとして確固たる地位を築いてきた7シリーズ。現行モデルは’22年に登場した7代目となるが、7シリーズがなぜ旗艦たりうるのか、その魅力に改めて迫りたい。
常に時代の先端を行く7シリーズの使命
後に続く量販モデルのテストベッド、という意味合いもあるがフラッグシップに最先端の技術やデザイン的トレンドをいち早く採用するのはクルマ作りにおける王道のひとつ。1977年に初代モデルがデビューした7シリーズもその例に漏れない。アッパークラスのセダンでありながら、ドライバーズカーとしてのキャラクターを強くアピールしていた初代は、前年に登場した初代6シリーズともどもBMWにとっては高級車市場に復帰する嚆矢的存在だった。第2次大戦後、502や507等でこの市場に参入したBMWが企業として瀕死の“重傷”を被ったのは有名な話だが、その意味でも初代は失敗が許されないモデルだった。
そのエクステリアは、BMWに在籍する前に“タテ目”の愛称でも知られる一連のメルセデスを手がけたポール・ブラックが指揮。現在に至る7シリーズの原典と呼ぶに相応しいものに仕上げられた。搭載するパワーユニットは自慢のストレート6で、モデル途上では2002以来となるターボで武装したグレードも登場。仕向け地によっては、ごく少量ながらMモデル用の直6(M88)を搭載した仕様も生産されている。
しかし、高級車市場で7シリーズの存在感が一気に高まったのは1986年にデビューした2代目からだろう。戦後のドイツ車では初となるV12エンジン搭載車を用意して、ライバルであるメルセデス・ベンツSクラスの牙城に迫った。
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【現在日本で購入可能なモデル】740d xDrive/3L直列6気筒DOHCディーゼルターボ(エンジン車)。エンジン車グレードのもう一方は303ps/650Nmを発揮するB57型3L直6ディーゼルエンジンだ。かつての7シリーズはV12といった大排気量が当たり前だったが、時流に乗ってダウンサイジング。
以降、7シリーズにはBMW内だけにはとどまらない、高級車市場全体に影響を与える新機軸が搭載されていくのだが、近年における代表的なものとしては、4代目で採用された“回して押す”インターフェイスの「iDrive」が挙げられるだろう。いまやBMWを象徴するシステムのひとつにまで昇華しているこの手法は、同じドイツのプレミアムブランドだけにとどまらず、高級車市場全体のトレンドにもなったことは広く知られているところだろう。
また、6代目ではそれに加えて乗員の手の動きで各種機能を操るジェスチャーコントロールも組み合わせて先進性をアピール。なお、この6代目はカーボンコアとBMWが呼ぶ複合素材を駆使した先進的な基本骨格の採用でも話題を呼んでいる。
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【現在日本で購入可能なモデル】740i/3L直列6気筒DOHCターボ(エンジン車)。国内モデルの基本となるエンジン車グレードの片翼を担うのがB58型3L直6エンジンだ。386ps/520Nmのスペックに18ps/200Nmのモーターを組み合わせるマイルドハイブリッド。
さて、前置きが長くなったが、そんな7シリーズの現行型となる7代目。高級セダン市場における新しさ、という意味では依然ライバルの先を行っている。その代表的な部分は、やはり本格的なBEVシフトを実現したことだろう。先代まで存続していたV12エンジンは、ついに退役。それに代わってトップモデルに位置付けられているのは前後に電気モーターを搭載したBEV仕様で、デビュー翌年には高性能なMパフォーマンスモデルもラインナップに追加されている。
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【現在日本で購入可能なモデル】i7 eDrive50、i7 xDrive60(電気自動車)。現行7シリーズが先代と大きく変わった点として、BEVモデルとプラットフォームを共用することが挙げられる。BEVモデルは「i7」と呼ばれ、後輪駆動の eDrive50と、四輪駆動のi7xDrive60のふたつから選択が可能。
日本では同時期に追加されたシングルモーターの後輪駆動モデルまで加えると、ラインナップはもはや内燃機関モデルより多い。その内燃機関はガソリン、ディーゼルともに直列6気筒がひとつずつとシンプル(日本仕様)。北米向けには4.4LV8ツインターボが現役だが欧州、そして中国でも内燃機関のトップモデルは直6ハイブリッドが上限となっている。
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【現在日本で購入可能なモデル】i7 M70 xDrive/ラグジュアリーと動的性能を両立したMパフォーマンスモデル。以前のようなV12モデルがなくなった代わりにハイパフォーマンスグレードを担うようになったのがi7 M70 xDriveだ。システムトータルで最高出力659ps、トルクに至っては最大1015Nmを発揮するモンスターマシンだ。
7シリーズといえば、ドライバーズカーとしてのキャラクターがライバルより色濃いことでも知られてきたが、この7代目ではショーファードリブンカーの要素も格段に強化。歴代モデル比では背の高さも印象的なボディは、ロングホイールベース仕様がデフォルト。先代の段階ですでにリムジン的な着座位置を実現していた後席は、この7代目で一層その仕立てが鮮明になり、格納式の後席用大型ディスプレイやスイッチひとつで自動開閉できるドア等、高級セダンとしての分かりやすさはもはやライバルを凌ぐ水準にある。
ラグジュアリーな大型セダン、といえば保守的な要素も要求されるカテゴリーだが、この7シリーズのアプローチが最終的にどう評価されるのか? 同じ「S」を名乗りながらもBEVは別モデルとしたメルセデスとは対照的な点も含め、今後の7シリーズの実績は興味深いものとなりそうだ。
日本未導入モデル
現行7シリーズのパワートレインにはもちろん日本未導入のものもある。ここではいつか導入されることを夢見て、国内の7シリーズにはないパワートレインを見てみよう。
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プラグインハイブリッドモデル/Mパフォーマンスモデルとなる「M760e xDrive」はPHEVのパワートレインを採用。先述の3L直6ガソリンエンジンに197ps/280Nmを発揮するモーターを組み合わせる。
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4.4L V型8気筒ツインターボ/760i xDriveではXMやM 8などに採用されるS68型4.4L V8ツインターボエンジンを搭載。ドライバーズカーとしても名を馳せる7シリーズらしさを十分に堪能できそうだ。
BMW 7シリーズ エクステリア編
ロングホイールベースモデルのみを展開
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/ドライバーズカーでもあり、かつショーファーカーとしての需要にも応える7シリーズは、これまで何種類かのホイールベースをグレードごとに用意していたが、現行7シリーズはロングホイールベースの1種類のみとなった。
スワロフスキークリスタルを使用したシグネチャーランプ
特徴的なアイコニックグロー
コーチライン付きツートーン仕様も
グレードによるフロントマスクの違い
EXCELLENCE
M SPORT
「i7 M70 xDrive」専用装備
21インチエアロダイナミックホイール
スポーティさを演出するエアロパーツ
BMW 7シリーズ インテリア編
31.3インチのBMWシアター・スクリーン
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現行7シリーズの目玉と言えるのがリヤ・シート・エンターテインメント・エクスペリエンスと呼ばれる、後席天井から吊り下げられる31.3インチ8K対応ワイドスクリーンだ。75万6000円のオプションだが、ぜひとも装着したい。
シート素材の違い/シート表皮は標準的なメリノレザーを用いたもの(右)から、メリノレザーとカシミアウールを用いたコンビシート(左)まで、多彩なオプションから選択可能。
グレードによるステアリングホイールの違い
M SPORT
シート素材の違い
セレクト・パッケージ
スカイ・ラウンジ・パノラマ・ガラス・サンルーフ
ダイヤモンド・サラウンド・サウンド・システム
高級セダンとしての仕立てはライバルをしのぐ。写真で見る歴代7シリーズ
1977/第1世代(E23)
1986/第2世代(E32)
1994/第3世代(E38)
2001 第4世代(E65/E66/E67/E68)
2008 第5世代(F01/F02/F03/F04)
2015 第6世代(G11/G12)