ニュース&トピックス

シンガーが創る、究極の“最新”964。コスワースとレッドブルの技術を注入した「ポルシェ911」が富士で日本初公開へ

シンガー最新作、1019日に富士スピードウェイで日本デビュー

ポルシェ911、特に空冷エンジンを搭載した964型のレストアと「リイマジン(再創造)」で世界的にその名を知られる米カリフォルニアのシンガー・ヴィークル・デザインは2025年10月8日、同社の最新サービスを体現した「ポルシェ911カレラクーペ・リイマジンド・バイ・シンガー」を、日本で初めて披露すると発表した。その舞台となるのは、10月19日(日)に富士スピードウェイで開催される、シンガーの日本におけるパートナー、コーンズ・グループ主催の自動車の祭典「CORNES Day 2025 in Fuji Speedway」である。

【画像37枚】細部に神は宿る。1台400時間を費やすレザー内装からカーボンボディまで、シンガー最新作のディテール

コスワースと共同開発、420psを誇る4.0L自然吸気ユニット

この最新作は、1980年代に少数のみ存在した、ターボモデルのワイドボディに自然吸気エンジンを搭載した911カレラの希少なバリエーション、「スーパースポーツ・エクイップメント」から着想を得ている。シンガーは、この高性能スポーツドライビングに焦点を当てたGモデルの911を、21世紀の技術と感性で究極の形に再創造した。

心臓部には、シンガーが英国コスワースとの共同開発によってレストアし、発展させた最新鋭の自然吸気フラットシックスエンジンが搭載される。ベースとなるのはタイプ964のエンジンで、排気量は4.0Lに拡大。シリンダーは空冷、シリンダーヘッドは水冷というユニークな冷却方式と電動ファンを組み合わせた、シンガーとしては初の自然吸気ユニットだ。

さらに、同社がレストアしたエンジンとしては初めて可変バルブタイミング機構を採用し、低回転域でのドライバビリティと高回転域でのパワーを両立させている。これにより、最高出力は420psを発生し、レブリミットは8000rpmを超える。組み合わされるトランスミッションは6速マニュアルで、後輪を駆動する。

レッドブルの技術協力で強化された964モノコック

レストアのプロセスは、オーナーが所有する964型のポルシェ911をシンガーに送ることから始まる。車両は完全に分解され、スチール製モノコック(シャシー)が露わにされる。このシャシーは徹底的に評価・洗浄された後、レッドブル・アドバンスド・テクノロジーズとの協力によって開発されたシャシー強化策が施される。複合材とスチールによる補強は、オリジナルの964モノコックのねじり剛性を高め、ハンドリングやブレーキング性能、そして洗練性全体の向上に寄与する。

ボディワークには、シンガーの経験が活かされたカーボンファイバーが用いられ、軽量化と剛性向上を達成し、ダイナミック性能をさらに研ぎ澄ましている。当時のスーパースポーツ・エクイップメントに倣ったワイドな前後ボディが特徴で、フロントスポイラーやリアフェンダーのインテークは冷却性能を最適化するために設計された。リアウィングは、オーナーの好みに応じて固定式の「ホエールテール」か、速度に応じて展開する可動式のどちらかを選択可能だ。

5つのドライブモードで意のままに操る最新の電子制御

足回りには、電子制御による4ウェイ調整式ダンパーが採用され、運転席から減衰力の調整が可能。DLSサービスで開発されたカーボンセラミックブレーキや、18インチのセンターロックホイールも装備される。また、ボッシュと共同開発した最新世代のABS、トラクションコントロール、ESCを備え、ドライバーは「ロード」「スポーツ」「トラック」「オフ」「ウェザー」の5つのドライブモードから、介入レベルを選択することができる。

インテリアは、オーナーの好みに合わせて完全にパーソナライズされる。今回日本で披露される車両は、「セレステ・パッサラクア」と名付けられたボディカラーに、「マース・ピンク」のインテリアが組み合わせられている。特筆すべきは、高級革製品の世界から着想を得たという「ステッチ&バーニッシュ」と呼ばれるレザーの仕上げ技法だ。手作業によるエッジの研磨と塗装を繰り返すこの精密な作業は、1台あたり400時間もの時間を要するという。

英・米に続く、世界で3番目となるワールドローンチ

Cornes Day 2025の会場では、この車両の展示に加え、10月19日の午前10時から、シンガー創業者であるロブ・ディキンソン氏、チーフテストドライバーのマリノ・フランキッティ氏、そして元日産デザインチーフの中村史郎氏を交えたプレスカンファレンスとパネルディスカッションが開催される予定だ。日本での発表は、夏の英国グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードと米国のザ・クエイルに続く、世界で3番目のワールドローンチとなる。

このポルシェ911カレラクーペ・リイマジンド・バイ・シンガーのコミッション(製作依頼)は、わずか100台に限定される。価格は、それぞれのオーナーが要求する仕様によって決定される。シンガーの哲学である「卓越性の飽くなき追求」が、細部に至るまで体現されたこの特別な一台が、日本のファンの前でそのベールを脱ぐ日は近い。

【画像37枚】細部に神は宿る。1台400時間を費やすレザー内装からカーボンボディまで、シンガー最新作のディテール

※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。
LE VOLANT web編集部

AUTHOR

注目の記事
注目の記事

RANKING