供給F1チームさらに増加
世界的に知られるイタリアのホイールブランド「O・Z(オーゼット)」。この夏、ヴェネト州にあるO・Z本社を訪ねるチャンスに恵まれ、モータースポーツ界を席巻する一方、スタイリッシュな高性能ホイールを世に送り出し続けるO・Zの強さを垣間見ることができました。
O・Zといえば、1990年にトヨタがセリカGT-FOURで初めてWRCタイトルを獲得したときに装着されていたホイールとして記憶している人も多いでしょう。最初に手がけたMINI用のホイールも当時のラリーに使われて優勝に貢献するなど、O・Zとモータースポーツは切っても切れない縁があります。
創業者のシルヴァーノ・オゼッラドーレとピエトロ・ゼンの頭文字を社名としたこの会社が、ベネチア近くの街で産声を上げたのは1971年のこと。それから47年が経ち、O・Zは世界の名だたるモータースポーツの勝利を支えるとともに、世界70カ国のクルマ好きに向けて、魅力的なアルミホイールを送り届けています。
本社にあるミュージアムを覗くと、モータースポーツの世界でO・Zが重要な役割を果たしてきたことがわかります。その伝統はいまなお続いており、WRCは100%がO・Z製。他のカテゴリーでも、F1が約6割、WECが8割。インディカーやフォーミュラEもO・Zなしでは語れないほどです。
2018シーズンのF1には、フェラーリ、レッドブル、ルノー、アルファロメオ(ザウバー)、メルセデス、ハースの6チームにマグネシウム鍛造ホイールを供給しています。2019年はさらに供給チームが増えるのだとか。
O・Zのレース部門では各チームの要求にあわせて異なる仕様のホイールを提供しています。つまり、最先端のホイールテクノロジーはここO・Zで生まれ、そのノウハウがアフターマーケット用ホイールの開発に生かされているのです。
ちなみにO・Zはマシン1台あたり、年間150本のホイールを供給していますが、それらは“売り切り”ではなく、レースで使用したあとにはホイールを回収し、洗浄後は歪みなどをチェックして次の開発に生かすとともに、良品を再使用することでチームの負担減にも貢献しているそうです。