
清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic SafEty Test)
Number76(SEASON.7):スポーツカー対決では最強のポルシェにメルセデス流儀で果敢に挑むガチバトル!
ポルシェ718ボクスターS vs メルセデスAMG SLC43/Test02:ウェット旋回ブレーキテスト
テストの「方法」と「狙い」
ドライ路面からウェット路面に100km/h(±2%)で進入、半径40Rのカーブをフルブレーキングしながら曲がる。路面はハイドロプレーニングよりもウェットグリップが問われる水深5mmに設定。ABSやタイヤを含めたクルマの総合的なブレーキ性能と、シャシーの旋回性能(ラインが外に膨らむクルマは危険)をみる。
ポルシェ718ボクスターS vs メルセデスAMG SLC43(ウェット旋回ブレーキ編)
タイヤコンデション
MERCEDES-AMG SLC 43
コンチネンタルのコンチ・スポーツ・コンタクト5Pで、フロントが235/40R18、リアが255/35R18。価格も安い18インチはありがたい。サスペンションも絶品だが、乗り心地とグリップバランスも良い。
PORSCHE 718 BOXSTER S
ピレリPゼロで、フロント235/35ZR20、リア265/35ZR20をオプション装着。ミッドシップなので発進荷重が大きく、タイヤは有利に仕事ができる。Pゼロが420Nmのトルクを存分に活かす。
SLCのブレーキ制御は完璧だが、それを凌駕するのがポルシェ・クオリティ
MERCEDES-AMG SLC 43
●制動距離:57.5m(★★★★☆)
最近のスポーツモデルは、溝が浅めのタイヤが主流。新品なら問題はないだろうが、減ったときのウェット性能は気になる。今回のSLCはほぼ新品の状態でテストすることができた。ステアリングと同時にフルブレーキング。ライントレースは最初の2/3くらいまではいい感じだ。しっかりと止まりながらも、ステアリングの正確性は良い。最後はリアがスッと流れ気味だったが、あえてESP(ESC)で姿勢制御しないで止めてしまう考えのようだ。速度が低い領域のオーバーステアなので問題はないと判断した。また2回のテストのバラ付きは、この日持ち込んだテスト車両の中で最も少なかった。電子制御を完璧に使いこなしている。
PORSCHE 718 BOXSTER S
●制動距離:51.8m(★★★★★)
6気筒を捨ててまで得た価値は、ダイナミクス性能の進化に他ならない。ボクスターSのタイヤはフロントが9分山、リアが8分山だったが、ストッピングパワーはメルセデスよりも大きい。タイヤのウェット性能も貢献しているが、ウェットが苦手なはずのスポーツカーがこのテストで100点を取ってしまった。ポルシェのABSとESCの制御は巧みで、基本性能でステアリングの正確性を実現し、スピンするかどうかのギリギリのところを電子デバイスで姿勢制御。2回目はステアリングをやや先行させて進入。ヨーが出過ぎるが、アンダーでもなく、またしても正確に姿勢をコントロール。秀逸なブレーキだ。