新車販売台数が年間80万台規模となる、タイの自動車マーケット。そこではトヨタ、いすゞ、ホンダといった日系メーカーが非常に強く、シェアでいえば80%以上を占めているのだが、バンコクモーターショーの会場を歩いていて面白かったのが、クルマの価格設定だった。
現地生産車も決して安くはない
タイで輸入車は非常に高額となる。高い輸入税や付加価値税が課されるからだが、参考までに一例を挙げると、ロールス・ロイス・ファントムは5900万バーツ(≒1憶7700万円)、アストンマーティンDB11は2550万バーツ(≒7650万円)、マクラーレン570GTが2180万バーツ(≒6540万円)、ポルシェ911カレラSが1350万バーツ(≒4050万円)。これは日本車も同様で、特に輸入車でスポーツカーだと税金がハネ上がる。日本でも注目のマツダ・ロードスターRF(現地名:MX-5 RF)は、なんと280万バーツ(≒840万円)もするのだ。
これに対して現地生産車はグッと税金が安く、トヨタのヤリス(アジア専用設計)は46万9000バーツ~(≒140万7000円)、日産マーチは39万2000バーツ~(≒117万6000円)、ホンダ・ブリオ(アジア専用設計)は49万5000バーツ~(≒148万5000円)。それでもホンダ・シビック5ドアの1.5リッターVTECターボが116万9000バーツ(≒350万7000円)もするなど、日本の物価から考えても絶対的に安いというわけではない。このほかピックアップトラックも税金が安い。トヨタのハイラックスREVO 、三菱トライトン、いすゞD-MAXあたりはだいたい50万バーツ前後と、かなりリーズナブルな価格になる。
なお、今回のショーでは各社が2%を割るローン金利を設定、盛んに販売促進を行っていたことが印象に残った。タイでは2012年に「ファーストカーインセンティブ」と呼ばれる自動車購入時の減税策が行われ、最大10万バーツの付加価値税が減免。これによって国内販売スケールがだいたい80万台弱のところ、なんと140万台以上の新車が販売されるに至った。だがその反動は大きく、この4年間の新車販売は足踏み状態が続いていたが、今年そのファーストカーインセンティブの「5年間クルマ転売禁止令」がようやく解除。バンコクショーでアジアプレミアを含めた17のニューモデルが発表されたこともあり、2017年の新車販売は80万台を上回るだろうと予測されている。ショー期間内の新車契約台数も、昨年の3万7000台を10%程度上回るとショー主催者は予想している。