国内試乗

BMW X2【国内試乗】小型車の新しい地平を開拓

少し興味深いのは、それを作り手も気にした結果なのかCピラーにわざわざBMWのエンブレムを装着していること。これはE9こと2000CSや3.0CSLのデザインを踏襲したものだというが、“らしくない”を目指したにしては腰の引けた手法とも見て取れる。また、市場ではSUVに分類されるX2と、クーペの王道的デザインだったE9をエンブレムで結びつける主張も個人的にはいささか強引な気もしてしまう。

CピラーにはBMW往年のクーペである2000CS や3.0CSLをイメージし たエンブレムを装着す る。なお、新グレード の「MスポーツX」はホイールアーチなどにフ ローズン・グレーのト リムを装備。SUVらしさが強調される。

とはいえ、そんなツッコミどころを別にすればX2のデザイン性はなかなかのものだ。ベースとなったX1と比較すると、ホイールベースは同一だがオーバーハングを短縮。それに天地が薄いタイト感のあるグリーンハウスを組み合わせたことで、佇まいが別モノに見えるのは本当の話。ホイールの存在を強調する筋肉質な面構成と相まって、スポーティなテイストはX1を格段に上回る。兄貴分にあたるX4、あるいはX6と違い、ルーフラインは水平基調になるが、クーペに期待される軽快感も十分といえる出来映えだ。

試乗車の20インチホイールはオプションで標準はスタンダードが17インチ、MスポーツXは19インチとなる。

また、前述のキャビン形状としたことで車高はX1より65mmも低い1535mm(X1のMスポーツ比)。この種のコンパクトSUVは都市部に住む人のニーズも高いだけに、立体駐車場の多くに対応できる全高はX1に二の足を踏んでいた潜在ユーザーの掘り起こしにも効果を発揮するだろう。

伝統のキドニーグリル は、このX2で初めて輪 郭の上部を下部より短 くするという「変革」を実施。

その一方、X2はSUVとしての使い勝手が悪いわけでもない。もちろん、X1と比較すれば室内は肩から上の空間が減少している。しかし、絶対的な広さに不足はなく、後席足下に至ってはベース車譲りで同クラスのSUVを格段に凌ぐほど。おそらく、X2の直接的ライバルは別項で比較しているメルセデス・ベンツGLAとなるはずだが、あちらの穴蔵のように暗くタイトな後席を思えば、X2のそれはずっとSUVらしい仕立てだ。ちなみに、荷室容量は後席を使用する通常時で470Lを確保。後席を畳んだ最大時は、1533Lまで拡大する。さすがに505~1550LというX1の大容量には及ばないが、荷室も同クラスのライバル比でトップクラスの広さとなっている。つまり、クーペとのクロスオーバーとはいえX2は実用度も高いのだ。

フォト:松本高好T.Mtsumoto /ル・ボラン 2018年9月号より転載
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