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【パリ・サロン2018】総括:国際モーターショー終焉の始まりか?

独自展開とSNSが主流?

例年のパリ・サロンは、プレスデーの2日間は世界中から集まったメディア関係者で溢れ、注目モデルの写真を撮るのもひと苦労。運転席に座ってディテールをチェックしたくても、何人も並んでいるのは当たり前で、映像メディアが撮影するとなるとクルマに近づけなくなるのも日常茶飯事だった。

しかし、ハイライトがなかったわけではない。今年も多数のワールドプレミアはあり、一部の注目モデル(メルセデス・ベンツGLEやBMW 3シリーズ、BMW Z4、DS3クロスバック、フェラーリ・モンツァSP1 / SP2など)は、なかなか近づけない状況だったが、それでも普段のモーターショー取材に比べればそれほどでもなかった。プレスデー初日の午後には、足早に帰路へ就くメディア関係者も多く見られ、会場はいっそう寂しい状況になっていった。

大規模な国際モーターショーが、今回のパリ・サロンの様な状況になりつつある気配は、数年前からあった。例えばジュネーブ・モーターショーは、2年ほど前から出展ブランドが減り始め、空いたスペースは有名チューナーのチューニングカー展示即売会場や、カフェスペースとして使われるようになっている。昨年のフランクフルト・モーターショーは、プジョーやボルボ、日産が不参加だった。

また、各ブランドがメディア向けにショー会場でプレスカンファレンスは行わず、ショーとは関係ない日程で独自にイベントを行い、そこにメディア関係者やカリスマブロガー、インスタグラマーといったインフルエンサー(世間に与える影響が大きい情報発信者)を集めて、SNSを通じて情報を拡散するマーケティング手法が、ここ数年頻繁に見られるようになっている。

2輪ブランドの出展や、CES(国際家電見本市)とのコラボレーションは、そうした自動車メーカーの「モーターショー離れ」に対する苦肉の策なのかもしれないが、現場で「内容の薄さ」や「熱気のなさ」を体感した身としては、今回のパリ・サロンは、「モーターショーというコンテンツの終焉の始まり」なのかもしれないと考えてしまう。

グローバル化でブランド毎のクルマの個性が薄まり、IT技術の進化でクルマの家電的要素が強まり、世界的な都市化とシェアリングモビリティの普及でクルマを所有する意味が薄れ、最新情報は何でもスマホで手に入る世の中になった現在、自動車メーカーはショー会場ではなくクラウド上に情報をアップロードし、消費者はSNSに流れてくる情報を享受する。すでにそんな世の中なのかもしれない。

自動車産業が大きな転換期にある今、モーターショーも新しいかたちへ変化を求められていると言っていいだろう。

フォト:望月浩彦 H.Mochizuki
竹花寿実

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