モータースポーツ

ローカルラリー最高! カメラマン山本佳吾の【フランス選手権】漫遊リポート

デルクールがエスコートで!

今年のトピックは、フォードで活躍したフランス人ドライバー、フランソワ・デルクールがエスコートRSのGr.Aで参戦したことかな。何度か参戦しているデルクール。ボクが高校生の頃に活躍していたエスコートをデルクールが走らせるなんて、これはもう見に行かないわけにはいかないでしょ!まあ、デルクールの走りは何度も撮ってるけど、アバルト124だったり、ポルシェ911GT3だったりだから、サイド出しのマフラーから炎を吹かせて走るデルクールを見られただけでもフランスまで来た甲斐がありました。当時のワークスカーじゃないと思うけど、そんなことはどうでもいいんです。エスコートとデルクールのコンビであることが大事。ああ満足じゃ。

すっかりおっちゃんだけど、走りは現役当時のまま。街のレストランでばったり遭遇。タダのラリーファンに戻って握手してもらっちゃった。

そしてもうひとり。ボクのお目当てがいまして、それがこちらのセバスチャン・ドメルディッチ。F2クラスのプジョー205を走らせる彼の走りを初めて見たのはYouTube(笑)。とにかくドリフトしまくりでメチャクチャ派手。あんなので完走できるのが不思議なほど。普通はドリフトさせまくるとタイムは遅いはずなんだけど、なぜか彼は速いんです。時には最新のR5を喰うタイムも。判官贔屓じゃないけど、古いプジョー205が最新のマシンに割って入るタイムを出すのでギャラリーの声援もイチバン大きいかも。

優しそうな_顔をしていて、走りはド派手。しかし、セバスチャンって名前の人はみんな速いんですね~。20年以上前の205が最新のマシンに勝つなんて、ロマンがあるじゃないですか! そんな彼の205。エンジンは405用のツインカムに換装され、トレッドも広がっていて見た目も派手。もちろん地元フランスでも人気者で、サービスには人だかりができていました。ゆっくり話しを聞きたかったんだけど、時間がなくて叶わず。また来年行かないとね。

このフランス選手権では、ルノーとプジョーそれぞれがワンメイクのカップ戦を開催しています。ルノーはクリオR3T、プジョーが208R2です。賞金も出るから若手の登竜門でもあります。パフォーマンス的にはクリオの方が速いはずなんだけど、208の方が速かったりすることもあったりと、選手層の厚さは208の方かも。若くて勢いのあるヤツが多いのかな?

レースとラリーの違いはたくさんあるけど、中でもインカットはラリーならではかも。こんなに段差があってもみんなカットして行きます。数十キロに及ぶステージでカットできる所でカットしないと、一カ所あたりコンマ数秒のロスがちりも積もれば、ってやつですね。

今まであまり積極的にクラッシュシーンは紹介してこなかったけど、ラリーなので当たり前のようにクラッシュしたりコースアウトしたりします。目の前で起こることはあまりないけど、年に何度かはそんな場面に遭遇します。ヤバイ場所ってなんとなくわかるんですよね。この場所もそんな場所のひとつ。速度はたいしたことないので深刻な事態にはならないけど、やはり何台か勢いあまって突っ込んでました。

ヨーロッパのすごい所はギャラリーやオフィシャルの反応の速さ。ちょっとしたコースオフならあっというまに復帰させます。ほんと見事。本来はクルーやオフィシャルの仕事のはずの後続車への合図をギャラリーがしていたり。みんな手際良すぎ(笑)。

リアタイヤが明後日の方向を向いてますが、このままリエゾンを走ってサービスまで帰ってきました。ここから先はメカニックの腕の見せ所。今のルールでは、タイヤが4輪とも接地してきちんと回ることが自走で帰ってこれる条件。昔みたいに3輪で走っちゃダメなんですねえ。

長々と書いてしまいましたが、世界ではいろんなラリーが開催されていて、それぞれにお国柄というか、特色があるのが面白いところ。WRCは確かにすごいんだけど、画一化されたフォーマットで開催されるので、国の違いはあれどよく似た感じのイベントになることが多いんです。その点、各国の国内戦は昔ながらな雰囲気のラリーもあるし、ギャラリーへの規制が緩かったりするので、より近くで観戦できたりもします。危ないけどね。
WRCもいいけど、こういった色んな国のローカルラリーに興味が湧くと、その国への興味も湧くし、ラリーだけじゃなくてその国の文化や料理にも興味が湧いてきます。皆さんにもWRCだけじゃなくて、ローカルなラリーにも興味を持ってもらえると嬉しいです。

そうそう。報道などでご存知かと思いますが、これを書いている今でもフランス全土で燃料税値上げに反対するデモが行われています。イエローベスト運動なんて言われているこのデモは、日本と違ってなんかこう明るい雰囲気。イエローベストをダッシュボードに置いて連帯を示す人も多く、すれ違う車の5台に1台くらいはイエローベストを積んでたりして。高速の入り口や料金所に多くの人が集まってデモ。デモっていうよりお祭りに近い雰囲気だけど、料金所のバーを取っ払ってお金を払わせないようにしていたりと、こちらのデモはひと味違います。パリはどえらい騒ぎみたいですが、地方ではそこまでの騒ぎではなく、わりと平和な感じでした。ボク、このあとパリに行くんだけど、果たして大丈夫なんだろうか……。

ちなみにメインカットは、WEC(世界耐久選手権)やフォーミュラEにも参戦するステファン・サラザン。世界でも指折りの大忙しなドライバーかも。

フォト&リポート:山本佳吾 K.Yamamoto
CARSMEET web編集部

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