新型カレラのシャシーはどう進化したのか
「ダウンサイジングでなくライトサイジング」。これは、今回テストを行なったフラット6をターボ化した991型カレラ後期型モデルに搭載するパワーユニットを指すのはもちろんのこと、新しく水平対向4気筒ターボを搭載した718ボクスターや同ケイマンも含めた最近のポルシェの言い分だ。彼らは「単に排気量を下げてターボ化したのではない」ということを主張している。
ターボ化に伴い大幅な変更を受けたパワーユニットをどう評価するのか。多くのポルシェファンが気になるポイントは、まさにそこだろう。ということで、やはり新しい3.0Lターボに俄然注目が集まるが、スペックを見れば911カレラSの最大トルクは500Nmで、なんと996時代の911ターボと同じトルクを発生している。しかも後輪駆動のカレラなので、911 GT2を彷彿とさせる。
しかし、DSTでは単にターボ化されたエンジンパフォーマンスをテストするのではなく、車両の総合的なダイナミクス性能を評価するので、ハンドリングやブレーキングなどシャシー性能も進化していないと辻褄が合わなくなる。
加速性能は圧倒的にターボのほうが勝るが、はたして街中を走らせたときに自然吸気エンジンのスムーズさに勝てるのだろうか。
実際に行なった発進加速の比較では、自然吸気よりもPDKのクラッチミート回転数が低いのれ、フィーリングもいいことが分 かった。ターボによるタイムラグも気にならない程度。音や振動もターボの方が少なく、洗練されたエンジンとPDKの組み合わせで あることを強く感じた。
また、今回テストはしなかったが、ターボのMT車はWマス(フライホイールの質量を重くしたタイプ)のフライホイールを採用し、低回転でも粘り強い走りをみせることを確認済みだ。テスト前までは、自然吸気の911カレラが消えてしまうのをとても寂しく思っていたが、実際に乗り比べてみて、洗練された新型のターボエンジンに改めて惚れ込んでしまった。