
カー・マガジン編集部員がこれは!と思った趣味グルマを紹介する『100万円でドロ沼に陥る!? 』。今回はヒストリックカー入門の定番モデル、ルノー4を取り上げます。生産終了から早くも25年前が経過し、当然めぼしい個体は減少中です。
ルノー4とは?
ルノー4は”ブルー・ジーンズのようなクルマ”をコンセプトに1961年8月に誕生した。その狙い通り、だれもが乗れる安価で実用的なクルマの代表モデルだ。1992年まで、32年に及ぶモデルライフを誇った。
ルノー4と言えば、ヒストリックカーの入門モデルとして、本誌では幾度となく取り上げてきた。ボディサイズがちょうどよく、前席、後席とも大人が余裕で座ることのできるパッケージング。エンジンもパワフルで、幹線道路の合流でも怖い思いをすることはない。街中で見かける機会は減ったが、フランス車の祭典フレンチブルーミーティングへ出かければ、車山の急こう配をモノともせずに駆け上がり、整列したキャトルの雄姿を見ることが出来るはずだ。
32年の間に813万台が生産されたルノー4は、特段珍しいモデルではないが、1992年に生産が終了しているため最後期モデルでもすでに25年が経過している。そのため、良好な個体が減少しているのは当然のこと。ユーズドカーマーケットを見渡せば、高年式のGTLは数台見つけることが出来るが、初期型のカマボコ型グリルは皆無。ここで取り上げたグリルがブラックのTLも見かける機会は少ない。

<数値では計れない>845ccの水冷直列4気筒OHVエンジンは、956 & 1108ccユニットと区別するため生産地からビヤンクール(B)ユニットとも呼ばれる。エンジン上部を渡るのはシフトロッドだ。軽量なため、排気量からは想像できない程軽快に走る。
落ち着いた佇まいのルノー4は、経年変化で唯一無二の表情を見せる

<前後とも特等席>プレーンなデザインながら腰を下ろせば乗員を包み込むようにサポートするシート。スレや破れで交換されるケースが多いだけに、オリジナルが残るのは嬉しい。後席は、着座位置が前席より高いため圧迫感は少ない。
「先日、このキャトルでお問い合わせいただいたのですが、第一声でクーラーは付きますか? と聞かれたので丁重にお断りしました」と話すのはジェイ・エンジン代表の永瀬純一さん。「オリジナル・コンディションを残している個体なので、出来ればこのまま乗って欲しいんです。さらに希望を言えばペイントも当時のままなので、ガレージがある方が良いですね」とのこと。当然購入者のハードルは高くなるが、これはルノー4の良い個体を残していきたいという永瀬さんの気持ちの表れだろう。裏を返せば、オリジナルを残した個体が希少になりつつあるという証明でもある。もはやフランスの大いなる大衆車は、大切に残していきたいというスペシャリストの思い。そしてオーナーが必要不可欠となっているのだ。
実用性の高いクルマなので、ぜひ乗って楽しみたいが乗りっぱなしは厳禁。これはどんなクルマにも言えることだが、永瀬さんの気持ちを汲み取り、キャトルを楽む方にぜひ次期オーナーとなっていただきたい。

<加飾よりも操作性>必要なモノだけを、使いやすく配置したインテリア。ステアリング脇に伸びるシフトレバーは、不思議と一度操作すればスムーズにシフトチェンジが出来る。シートの間に備わるのは当時のラジオ。ドアの内貼りは簡素で、パネルはむき出しだがボディ同色のためチープさは感じない。黒い横長の穴の中にドアの開閉レバーが備わる。

<細部も見逃せない>ヘッドライト内蔵のグリルは中期モデル以降の特長で、TLはブラック、GTLはグレーとなる(1987年以降は全グレード・グレー)。メッキバンパーやモールもオリジナルが残るが、サイドミラーはノンオリジナル。ホイールキャップが4枚残っている点も注目したい。深さはないもののトランク容量はたっぷりで実に使いやすい。
1981 RENAULT 4TL
車両本体価格:1,300,000円(税別)
ベストセラー度:★★★★★
実用度:★★★
ドロ沼度:★★★
総走行距離2万7706kmを物語るように、インテリア、外装とも非常に良い状態だ。長期間屋内で保管されているため、乗り出すまでには少々整備が必要となりそうだが、このクルマを指名買いしたい方にとっては問題とならないだろう。旧車を始めたい方へというよりは、経験を積んだベテラン向けの個体だ。
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ジェイ・エンジン
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