
清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number90(SEASON.10):ハイレベルな運動性能が与えられた日仏を代表するコンパクトスポーツ対決
スズキ・スイフト・スポーツ vs ルノー・トゥインゴGT/Test02:ウェット旋回ブレーキテスト
●テストの「方法」と「狙い」:ドライ路面からウェット路面に100km/h(±2%)で進入、半径40Rのカーブをフルブレーキングしながら曲がる。路面はハイドロプレーニングよりもウェットグリップが問われる水深5mmに設定。ABSやタイヤを含めたクルマの総合的なブレーキ性能と、シャシーの旋回性能(ラインが外に膨らむクルマは危険)をみる。
ルノー トゥインゴ GT vs スズキ スイフト スポーツ(ウェット旋回ブレーキ編)
タイヤコンデション
RENAULT TWINGO GT
欧州ではCO2規制がますます厳しくなり、転がり抵抗の小さいタイヤが好まれている。トゥインゴGTもエコタイヤのヨコハマ・ブルーアースを履いていた。それでもウェット性能は悪くなかった。
SUZUKI SWIFT SPORT
フロントタイヤが減っており、ウェットテストではわずかにハイドロプレーン現象を起こしたが、ドライグリップは満足できた。欧州ファーストで開発したためか、コンチネンタルタイヤが選択されている。
駆動方式は違うもののウェットでの旋回性能はともに秀逸
RENAULT TWINGO GT
●制動距離:52m(★★★☆☆)
100km/hでフルブレーキ、同時にステアリングを切り込む。リアヘビーなコンパクトカーゆえに、どんな挙動を示すのか予測できない部分はあったものの、実際に走ってみると想像以上に安定していた。フロントが軽いため、ステアリング特性はリニアだ。初期制動からブレーキはよく効き、フルブレーキング時に前後重量配分が最適化されると、リアタイヤはしっかりと踏ん張り、頼もしいばかりのストッピングパワーを発揮する。タイヤの山は残っていたが、フロントの荷重が抜け出すとハイドロプレーニング現象が発生した。それでもコンパクトスポーツのなかで、突出した性能を持っていることは間違いない。
SUZUKI SWIFT SPORT
●制動距離:57.5m(★★★★☆)
リアエンジンのトゥインゴが圧勝するだろうと思っていたが、スイフトスポーツの旋回制動も負けてない。データ的にはトゥインゴGTより10%ほど停止距離が伸びてしまったのだが、それは5〜6分山だったタイヤの影響だ。それでもウェットグリップは期待以上だった。旋回路に進入した瞬間は、フロントタイヤがハイドロプレーンになり、舵は効かなかったが、速度が低下するとタイヤのグリップはすぐに回復し、ステアリングの正確性が戻ってきた。挙動が安定していたのは、リアサスペンションがしっかり粘ってくれるからだろう。日本のコンパクトスポーツの性能がこのレベルまで到達しているとは嬉しい限りだ。