コラム

【チビカメKeigoのラリー漫遊記】ヨーロッパ選手権ラトビア編(その1)

ひとつの週末にふたつのラリー取材を敢行!?

ラリーの本場ヨーロッパでも、フィンランドやバルト3国はグラベルの高速ステージが多いのが特徴です。今回、僕が取材してきた2つのラリーもまさにそんな感じ。長年ラリーを取材してきたけど、金土日の3日間で2つのラリーを同時に取材したのは初めて!え?どういうこと?って思いますよね?追い追い説明するので、しばしおつきあいを。

関空でまさかの晩メシ難民。ようやく見つけたコンビニで売れ残りののり弁をベンチでがっつきます。

値段や時間の都合で今回は羽田~関空~ヘルシンキと移動。関空発の深夜便は初めてでした。羽田からの便が遅れたのと、関空のカウンターが大行列で荷物を預け終わった頃には食事ができるお店が全部閉まってました。まさかの晩メシ難民!唯一営業していたコンビニで200円引き弁当を買ってベンチで食べるというなんとも寂しい食事。関空発の深夜便に乗る時は要注意です。

ヘルシンキからリガへはちっちゃいプロペラ機ATR72。ちなみにこの飛行機、乗降口は後ろなので座席指定する時は後ろの方がおすすめです。

木曜日の早朝にヘルシンキに到着。ここから久々のプロペラ機でラトビアのリガに向かいます。フィンランドは観光で訪れる人も多いと思うけど、ラトビアとなるとあまり馴染みがないかも。僕も場所ぐらいは知っていたけど、ラリーでもなきゃ行く機会が無かっただろうなあ。約1時間のフライトでリガに到着。ラトビアの首都だけど、こじんまりした空港。旧市街がステキらしいんだけど、時間がないのでレンタカーを借りて先を急ぎます。

リガからリエパーヤは約200キロ。こんな景色の中をひたすら走って2時間半ほど。ひとりだと退屈します。

まず向かうはバルト海に面した港町リエパーヤ。リガから車で約2時間半の道のりです。景色が変わらないので距離以上に遠く感じて疲れます。街中は50キロ、街を出ると90キロが制限速度。オービスだらけなので飛ばせません。周りの車もメーター読みで制限プラス10キロぐらいで走ってる感じかな。途中で食事したりしたので、結局3時間ちょっとかかってリエパーヤに到着。まずはヨーロッパラリー選手権(ERC)第3戦のラリー・リエパーヤの取材です。

リガで借りたレンタカーはプジョー208。たぶん1.2Lかな。当然マニュアルです。

どこまで行ってもこんな感じののんびりした風景。菜の花畑がやたらと多かったなあ。

実はレベルが高いERC、日本人ドライバーも2人がエントリー

ERCはその名の通りヨーロッパが舞台の選手権で、FIAが管轄する地域選手権のひとつ。ピラミッドの頂点がWRCだとすると、ひとつ下の選手権って感じかな。WRCを目指すイキのいい若者や手練れのベテランに加えて、やたらと速い地元ドライバーなど、日本にいるとあまり情報が入ってこないけど、レベルが高くて面白い選手権です。走っている車はWRCとほぼ同じで、WRカーがいなくてR5マシンがトップカテゴリーになります。国内選手権と併催されることも多くて、リエパーヤもラトビア選手権が併催されます。

新井大輝とコ・ドライバーのイルカ・ミノア。イルカ姉さんは色んなドライバーと組んでWRCをはじめ世界中のラリーで活躍するすごい女性アスリート。

このラリーには2人の日本人ドライバーがエントリー。ひとりは去年までトヨタの育成プログラムからWRCなどに参戦していた新井大輝選手。もうひとりは全日本ラリーやアメリカのラリーに参戦していた村瀬太選手。新井選手は今年、全日本ラリーと86BRZレースに参戦していて、さらにERCにも参戦っていう超ハードスケジュール。ERCにはオーストリアのチームからシトロエンC3R5で参戦。28歳以下でR5車両で争われるERC1ジュニアカップのチャンピオンを目指します。

村瀬太とコ・ドライバーのエドガーズは最終ゼッケン。

村瀬選手は、日本で彼をサポートするRSタケダがラトビアのチームとタッグを組み、フィエスタR2で参戦。日本からヨーロッパのラリーを目指す選手に、マシンやサービスなどの参戦に関わる一切をパッケージにしたプランを提案していきたいと、数年に渡ってヨーロッパのチームと交渉を重ねてきたRSタケダの武田代表。今回が記念すべき第一歩です。

WRCのワークスチームみたいに華やかな雰囲気はないけど、ラリーのサービスってテントの方が似合うと思うんだよなあ。こちらはR-GTクラスに参戦のミラノレーシングのアバルト124。

こちらはプジョーの一団。208R2がずらりと並びます。

サービスパークは街のど真ん中。目の前にはトラムが走ってます。

意外と住み心地の良さそうなラトビア

ステージを何ヶ所か下見して、お昼過ぎにヘッドクォーターに到着。取材受付やサービスパークの確認などを済ませたら、猛烈な睡魔が襲ってきたので、ちょっと早いけどお宿にチェックイン。初めての街で右も左もわからないのでwebで適当に予約したホテルなんだけど、着いてみてびっくり。建物自体は古いんだけど、中はリノベーションされていて清潔で広くて超快適!しかも1泊約4000円。日本のビジネスホテルより安くて豪華です。ラトビア、いいところだなあ。少し休憩してから街へ繰り出してみました。

リエパーヤのホテルの前。おそらくソ連時代の建物とヤングタイマー世代の車のおかげで80~90年代にタイムスリップしたような雰囲気。

ホテルがあるのは中心街から少し離れた場所。思ったよりも人が少なくてびっくり。だけど、街はゴミも少なくてとても綺麗。のんびりした雰囲気ですぐに気に入りました。リエパーヤの港は不凍港として知られ、バルチック艦隊の母港のひとつ。日露戦争の際にはここから日本海に向けて出航したらしいです。港にも行ってみたかったんだけど徒歩じゃ遠いので断念。通り沿いにあった持ち帰りの寿司屋さんで晩メシを買ってこの日は活動終了!長い1日だったなあ。

散歩中に見つけたテイクアウトのお寿司屋さん。毒々しい色ですが意外とイケてました。

シェイクダウンステージのスタート風景。観戦料なんてヤボなもんはありません。タダ!

マシンの巻き上げる砂ぼこりの凄さといったら……

金曜日はシェイクダウン~プラクティス~スタートっていう流れ。朝は少しゆっくりできたんだけど、この日から激しいスケジュールをこなさねばなりません。気持ちよく晴れて暑いぐらいの天気。乾燥しているからラリー車が巻き上げる砂埃も多めで、体も機材もあっというまに砂まみれ。そうこうしてるうちにもうスタートの時間。この時期のラトビアは21時ぐらいまでは明るいのでついつい仕事しすぎてしまって後で後悔します。

0カーは懐かしのGC8。パッと見は普通の2ドアクーペだけど中身はとんでもないことになってて、600馬力は出てるとか。派手なドロドロ音を鳴らしながら爆走しとりました。GC8欲しくなってきたなあ。

しばらく雨が降ってなかったからか、空気も地面も乾燥していて、とにかく砂埃がひどかった!

出走順はプラクティスの成績順に好きな順番を選んでいくという方法。

日本でもおなじみのペター・ソルベルグの姿も。息子オリバーのERCデビュー戦でもありました。

スタートを待つラリー車たち。スタート会場も街の中なので気軽に観戦できます。

ペターの息子、オリバーはまだ17歳。なんと15歳からラトビア選手権に参戦しています。今回はERCに初参戦。

スタートしたラリー車はこの後、リエパーヤ市内をパレード。そっちも撮りたかったけどさすがに追いつかず。

この日も欲張りすぎてあれやこれやと撮影しているともう21時。実はこのあとリガまで移動しないとだったんだけど、久々に強烈な時差ボケに襲われて意気消沈。リガのホテルをキャンセルしてリエパーヤに泊まることに。なぜリガまで戻るのかと言うと、土曜朝の飛行機でヘルシンキに移動。そこからクルマで1時間ほどのリーヒマキって街で開催されるフィンランド選手権に移動するんです。ひとつの週末にふたつのラリー取材を敢行!バカですねえ。明けて土曜の早朝4時にリエパーヤを出発。リガ国際空港の駐車場にレンタカーを置いてヘルシンキへと向かいました。

で、土曜日早朝にリガ国際空港に舞い戻り、再びヘルシンキへ……。

そんなわけで、次回は土曜日1DAYで開催されたフィンランドラリー選手権第4戦リーヒマキラリーの模様をお届けします!

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