日本市場の徹底的なマーケティングで多くの支持を集めた
プレミアムDセグメントの代表格ともいえる3シリーズは、日本市場にマッチした販売戦略を展開してきたことでも知られている。今回の新型3シリーズでも、そうした伝統は健在な模様。ここでは、そんな日本向けの特別なところを関係者に語ってもらった。
BMWジャパン
ブランド・マネジメント・ディビジョン
プロダクト・マーケティング プロダクト・マネージャー
御舘康成氏
BMWには2013年に入社。以降、3シリーズのプロダクト・マネージャーを務める。前職は国産メーカーだったそうだが、そちらでもプロダクトマーケティングを担当していた。
先進システムの標準装備化は日本向けの3シリーズだけ
—1月末に受注を開始、3月に販売がスタートしている新型3シリーズだが、まずは初期の販売状況を訊いてみると……。
「おかげさまで非常に好調なスタートを切っていまして、先代の同じ時期と比較しても新型の勢いが上回っています。新型はクルマとしての基本性能が大幅に向上していることに加え、充実した運転支援システムを筆頭とする安全性が高い評価を戴いているようですね。実際、お買い求めになる顧客層にも変化が出ていまして、国産ハイブリッドやディーゼルモデルからの乗り替えが目立っています。これは輸入車でトップクラスといえる安全性が注目を集めた結果といえるでしょう」
—新型3シリーズというと、初期の320i用エンジンを日本専用に仕立てたことでも話題を呼んでいる。年内には本国仕様ベースのものに切り替わるというが、そこまでして導入を早めた理由はどこにあるのだろうか?
受注生産の320i SEを除き、先進の運転支援システムが標準となる新型。御舘氏のオススメ装備はリバース・アシストとか。
「確かに異例ではありますが、BMWでは日本を6大市場のひとつと位置付けています。これは単なる販売台数の話ではなく選択眼の厳しいユーザーが多い、プレミアムブランドにとってはプライオリティの高い市場だという認識があるからです。そうした点からも、こちらの都合で“出し惜しみ”することは避けたかった。320iは3シリーズの主力グレードですからね。今回の専用エンジンは、BMWの日本市場に対するリスペクトの結果とお考え頂ければ良いかと思います」
—日本向けのローカライズ、という意味では先代までの3シリーズがドアハンドルを専用設計として全幅を多くの立体駐車場に対応する1800mmに抑えていたのは有名な話。新型ではついに1800mmを超えているが……。
「これは時代の流れといいますか、わざわざ厚みを抑えた専用品を作ってまで1800mmに抑える必然性が薄れた結果ですね。いまや輸入車はもちろん、国産のミドルセダンでも1800mmを超えるモデルが珍しくなくなっています。加えて立体駐車場のメーカーでも全幅が1850mm以上対応のパレットしか作っていない状況もありますから、もはや数値に縛られる必然性もないのかな、と」
「もちろん、先代までのお客様の中には全幅が拡大したことを気にされる方もいらっしゃいます。ですが、新型では駐車が容易になるパーキング・アシストや低速走行時は最後に走った50mの軌跡をクルマが記憶して、後退時にそれを自動トレースできるリバース・アシストが標準化(受注生産の320i SEを除く)されていることをご説明すると安心されるようですね。実は、3眼カメラを駆使した運転支援システムやこのリバース・アシストなどをほぼ標準装備化しているのは日本向けの3シリーズだけなんです。海外での装着率は10%程度ということで、本国からは『大丈夫か?』と心配されたほどですが、これもまた日本という6大市場の事情を考慮した結果といえるでしょう(笑)」
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