
働くクルマの最新技術があちらこちらに!
高速道路を走っていると、路面補修工事や植栽手入れなどのメンテナンス作業をしている横を通ることが多々あります。だいたいの場合はその作業のための車線規制で渋滞するので、あーあとため息をついたり、イライラしたりするドライバーも少なくないと思います。しかし何事にもメンテナンスは必要でしょう。我々ドライバーが安全快適に走行するためにも行われていることだとありがたく思いながら横を通過したいものです。
さて、そんなシーンで活躍するクルマ、道具、看板類など、高速道路に関わるあれこれの全てが揃う展示会あることをご存じでしょうか。毎年10月に開催されているハイウェイテクノフェアという展示会がそれです。オフィシャルウェブサイト(http://htf.express-highway.or.jp/htf2019/info/)によると「ハイウェイテクノフェアは、公益活動の一環として2004年に開始して以来、2019年で16回目の開催となります。 『高速道路の建設・管理技術』に焦点をあてた展示会として、産業界のみならず社会にも広く認められたイベントとして発展してきており、 2016年には来場者が2万人を突破し、出展者も年々増加傾向にあります」とあります。
今年は例年より1ヶ月ほど早く10月8日(火)・9日(水)の2日間、東京ビッグサイト青海展示棟で開催されます。
筆者も10回くらいは見ていますが、「いつも見ているあの働くクルマはこんなしくみだったのか」や「こんな働くクルマあったは知らなかった」と、毎回新しい発見があるし、同じように見えても実は中身は進化しているということもあるので楽しみにしている展示会の一つです。
毎回あるとは限らないのですが、スペシャルトミカ、特製nanoblockなどが売られていたり、ブース体験の景品にされていたりすることもあるので、そんな限定品を探す楽しみもあります。どんな展示会なのか?2018年11月28日(水)・29日(木)に開催された第15回展示会からいくつかご紹介いたしましょう。
メンテナンスで活躍する車両たち
効率化、省力化が主なキーワードとなっています。
株式会社ワイケー製高所作業車
ジャッキにタイヤを付け移動式とすることで作業姿勢のままジリジリ移動できるので、従来の定置式ジャッキより作業時間の短縮が図れるとのこと。タイヤは一般的な黒と、汚してはいけない床用の白の二種類がある。
西日本高速道路メンテナンス九州株式会社による道路維持作業車”ロボコーン”
コーンをロボットアームがポコポコと置き、シャッシャッと回収するため作業者の負担軽減と安全性向上に貢献する作業車。背中には、重量が従来品比3分の1の9.5kgの工事用標識板”MQ標識”を背負っている。
西日本高速道路エンジニアリング中国株式会社による”E-マルチ点検車”
トンネル内壁点検などで活躍する車両で、3台分を1台でこなせる多機能仕様とのこと。
阪神高速技術株式会社による路面のすべり抵抗を調査する”RT3 curve”
走行しながら調査できるため、従来のような交通規制を行う必要がないという利用者にとって大きなメリットがあり、地点ではなく連続調査ができるという事業者側にもメリットがある優れもの。
首都高機械メンテナンス株式会社による軸重調整装置付試験車両
料金所入口に接地された、過積載車両の走行を監視する「軸住測定設備」の精度確認試験を行う。架装部のウェイトを移動させることによって後軸重値を8~15トンまで1トン間隔で設定可能。世界に3台しかない同車のオリジナル車両とのこと。このような大物は模型とパネルで展示されている。またこのときは、模型を操作したり説明をじっくり聞いた人には特製nanoblockがプレゼントされていた。ちょっと嬉しい。
見えない場所で活躍する道具も
西日本高速道路メンテナンス中国株式会社によるけん引式バイオトイレカー
トラックの荷台に仮設トイレを乗せる場合に比べて移動時の走行安定性が良く、大・小が分かれているため女性作業員にも安心とのこと。それに加えてエアコンも設置できる事務室区画もあるため、簡単な事務作業や休憩室としても使えるので作業員の疲労軽減にもつながる。また、けん引免許が要らないサイズと重量のため、誰でもどこへでも移動できるため、非常時の利用者用トイレとしても使える。
作業員や走行中のクルマの安全を確保するための車両やデバイスたち
作業中に走行車に轢かれる事故や、作業車に衝突する事故はけっこうあるらしく、事故防止や被害軽減のための装置もいくつか展示されていました。
NISHIOが紹介するのはScorpion II
トラックの後部に装着する。ハニカム構造でダブルの衝撃吸収部が衝突したクルマ、衝突されたトラックや作業員の被害を軽減する。
こちらはVERDEGRO製シングルタイプの緩衝装置。移動時は垂直に跳ね上がる。
西日本高速道路エンジニアリング関西株式会社によるダイバーシティ標識車
衝撃吸収装置を装着している。車内には事故時に作業員を守るロールケージが。レースカー以外で初めて見た。
西日本高速道路エンジニアリング関西株式会社による交通規制注意喚起システム”危険さっち”
車線減少を知らせる標識やコーンにセンサーを設置し、万が一それに衝突するクルマがあった場合、ヘルメットに装着してある端末に信号を送り音と振動で作業員に迫る危機を知らせる。
JYONANが紹介するのはローラーガードレール
衝突エネルギーをローラーで逃がす機能ガードレール。一般的なものに比べて衝突後に車線に跳ね返ってくることを防いだり跳ね返りの勢いを軽減するように想像するが、実際はどうか?
実はいろいろと進化しています
東亜通信工材株式会社製サイン類
近くで見るとけっこう大きい。
NOHARA製逆光対策内照式標識
裏面に透過性のある繊維シートを使用することで、標識が見えなくなる逆光を逆手にとって判読性を向上させる。逆光になりやすい地点を重点的に置き換えているそうだ。
パトライト製パトランプ各種
西部警察や特捜最前線のコアなファンならあのパトランプはどこ製だろうと気になったことがあるはず。それらの多くは当時佐々木電機だった同社製だったことは知られたこと。
見た目は同じように見えるけれど、中身はLED化したり、レンズを工夫して視認性を上げたりと進化している。サイレンも、直・曲線道路と交差点で指向性を変えてそれぞれの局面でドライバーに聞こえやすくといった改善がされている。
やや地味ですが……
首都高技術株式会社製磁石式鋼橋点検装置”やもりん”
ヤモリから取ったんだろうなと思しき名前がかわいい。これこそ利用者には見えないところで活躍する装置だ。磁石で張り付き、継ぎ目の添接板も上手に乗り越える。人手ではしにくい場所の点検に使われる無人点検デバイスも数多い。
昭和機械商事株式会社製”かご丸くん”
簡便な作業で恒久的な土留壁を築造できるという。土砂崩れの復旧などの際に、従来工法では土嚢で仮復旧したのち本工事を行うところ、この工法では一回で完成するため効率が良いとのこと。また、円筒形であることがミソで、この方が割栗石を高密度で詰められるのだそう。
日本改質アスファルト協会のポリマー改質アスファルト
水はけが良く見えたり、雨天時にギラギラせず走りやすかったり、ロードノイズが小さくて静かだったりと、何やら快適な路面に出会うことがあるが、それはこのポリマー改質アスファルトを使った排水性舗装。その構造に関する説明展示。
前田道路株式会社による道路補修に関する説明展示
見えない部分を見る、知ることができるのは単純な喜び。
上記はほんの一部ですから、全てを見るためにぜひ現地へ足を運んで欲しいと思います。
いつもなら流れる景色の一部でしかない物や事を静止状態でじっくり見るのもおもしろいと思いますし、それぞれの機能や意味を知ることの楽しみもありましょう。今年はどんな展示が見られるかな? 楽しみです。
急なご案内、しかも平日のみの展示会で申しわけありませんが、貯まっている有休や代休の消化がてらにいかがでしょうか。今年が無理でも来年は11月5日(木)・6日(金)に開催されますので大丈夫です! お子さんもすごく喜ぶと思いますよ。