
清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number 99(SEASON.11):4ドアクーペの世界を切り拓いたCLSと追随する強力なライバル、A7が対決!!
アウディA7スポーツバック 1stエディション vs メルセデス・ベンツCLS450 4マチック・スポーツ/Test01:加減速テスト
テストの「方法」と「狙い」
●加速テスト:静止状態からフル加速し、100km/hに到達するまでの時間から平均加速Gを算出。非力なクルマは0.15G程度、高性能車では0.6Gに達するクルマもある。エンジン、トランスミッション、トラクションのかかり方といった、パワートレイン全体の能力をみる。
●ブレーキテスト:100km/hからフルブレーキング、停止するまでの時間から平均減速Gを算出する。減速Gはどんなクルマでも0.8G-1.2G程度だが、加速Gに対応した減速Gを持っていることが重要。そうでないクルマは危険といえる。
メルセデス・ベンツ CLS 450 4マチック スポーツ vs アウディ A7スポーツバック 1st エディション(加速編)【DST♯125-01】
メルセデス・ベンツ CLS 450 4マチック スポーツ vs アウディ A7スポーツバック 1st エディション(減速編)【DST♯125-02】
加速性能ではCLSが上まわり、減速性能では強烈な効きでA7が勝利
MERCEDES-BENZ CLS450 4MATIC SPORTS
加速0.50G(★★★★★)減速1.05G(★★★★☆)
メルセデスはガソリンもディーゼルもV6から直列6気筒エンジンに切り替えている。CLS450はガソリンのストレート6だが、48VのISGを組み合わせている。発進加速はとてもスムーズ。回転の上がりはA7よりもシャープだ。トルコンATではあるが、ギア比が1速から4速までクロスしているので、加速性能はA7を凌駕していた。ブレーキはメルセデスらしく、ズバ抜けて効くわけではないものの、ドンと来いという感じのペダルフィールと制動力が印象的。最後の最後でABSは介入するが、これもきめ細かく制御されている。0→100km/h加速は5.73秒、100km/h→0は35.52mだった。
AUDI A7 SPORTBACK 1ST EDITION
加速0.46G(★★★★☆)減速1.09G(★★★★☆)
500Nmの最大トルクを、デュアルクラッチのSトロニックで受け止めるA7。急発進すると、クラッチ保護のためか、一瞬エンジンが反応しない領域がある。ポルシェのPDKはSトロニックよりもスムーズに発進するが、それと比べるとチューニングの詰めがもう一歩という感じだ。Sモードでは素早くクラッチが繋がるが、一瞬ギクシャクするのが気になった。それでも普通に発進加速する分には、十分なパフォーマンスであるが……。ブレーキはストッピングパワーが強烈で、パワートレイン全体がジャダーを起こすぐらい効きが強かった。0→100km/h加速が6.09秒、100km/h→0が34.45m。