メルセデス・ベンツ

「新型メルセデス・ベンツ Sクラス」ブランドの叡智を結集したフラッグシップ! これが高級車の新基準

いつの時代も世界の自動車の指標とされてきたメルセデスのフラッグシップモデル、Sクラス。待望のフルモデルチェンジを果たした新型がついにワールドプレミアとなった。エクステリアこそキープコンセプトに見えるが、その中身は革新的テクノロジーによって、究極の快適性と安全性、走行性能を兼ね備えた1台に仕上がっている。

最大の見所は快適性と安全性

メルセデス・ベンツが公式に「Sクラス」と呼んだのは1972年にデビューしたW116とされている。それを初代とするならば、新型Sクラス(W223)は7代目ということになる。Sクラスはポルシェ911やVWゴルフのように、いつの時代においても他メーカーからも注目される車種のひとつでもある。

2020年9月2日のオンライン発表会にてワールドプレミアとなった新型Sクラス。ドイツでは9月中旬に受注を開始して、12月にはディーラーのショーウインドーを飾る。大きな販売台数が期待される北米と中国は2021年2月に発売開始。日本導入は現時点で未定である。

それは、その時代のメルセデスが持てるすべての技術や装備を惜しみなくつぎ込んだマスターピースのような存在だからである。メルセデスが用意した新型Sクラスのメディア向け英文資料は、A4サイズで実に83ページにも及ぶ。新技術や新機能や新機構がこれでもかというくらい投入されていて、すべてを丁寧に書き記したら別冊1冊分くらいのボリュームになってしまうので、その中から厳選して紹介するのだけれど、新型Sクラスの見所は大きく快適性と安全性のふたつに分けられる。ボディは2種類あって、両車の違いはホイールベースである。

ショートのホイールベース3106mmで、ロングは3216mm。ショートのサイズを従来型と比べると、54mm長く55mm広く10mm高く、ホイールベースは71mm延長されている。従来型との差から察するに、可能な限りボディの拡大化は抑えたかったように窺える。エクステリアデザインは最近のテイストを踏襲していて驚きはないものの、0.22というクラストップレベルのCd値を実現していることから、空力という機能性に関してはこだわった跡が見える。

現時点ではS450 4MATIC、S500 4MATIC、S350d、S350d 4MATIC、S400d 4MATICの計5タイプが用意され、S450とS500は2999cc直列6気筒でISG仕様(M256型)、S350dとS400は2925cc直列6気筒ディーゼルターボ(OM656型)がそれぞれ搭載される。ISG仕様車は駆動力サポートも行い、435ps/520NmのS500はEQブーストを使うとさらに22ps/250Nmが瞬間的に上乗せされる。OM656型のディーゼルはS350dが286ps/600Nm、S400dが330ps/700Nmをそれぞれ発生。トランスミッションはすべて9速ATの9Gトロニックとなる。いずれも既存のエンジンばかりだが、じきにV8のISG仕様とプラグインハイブリッド(EVモードの航続距離は約100km)が追加される予定だという。

発売当初は直列6気筒のガソリンとディーゼルのみだが、追ってISG仕様のV8やEVでの航続距離が約100kmのプラグインハイブリッドも加わる予定。

サスペンションはフロントが4リンク、リアがマルチリンクで、標準仕様は空気ばねと電制ダンパーを組み合わせたエアサスペンションだが、オプションで「E-アクティブボディコントロール」が用意されている。GLEと共にデビューしたこの機構は、エアサスをベースに電動油圧式アクチュエーターを備えたフルアクティブサスペンションとなる。ピッチやロールなどのばね上の動きをコントロールしつつフラットな乗り心地を実現しているそうだ。なおオプションの後輪操舵機構を装備すると後輪の最大操舵角は10度で、最小回転半径はAクラスとほぼ同等になる。

GLEと共にデビューしたE-ACTIVE BODY CONTROLはエアサスペンションをベースにしたフルアクティブサスペンションで、フラットな乗り心地を提供する。

新技術や新機能や新機構がこれでもかというくらい投入されている

インテリアのコンセプトは自宅と仕事場や出先をつなぐ 「第三の場所」 で、リラックスしてくつろげる空間作りがされている。音声認識システムのMBUXはさらなる進化を遂げ、対象認識言語は27ヵ国語、日本人が話す英語のような非ネイティブにもAIを利用した学習機能で対応し、使うほどに認識率が高まるという。

ふたつの液晶を一体型にしていたこれまでのスタイルから一転、メーターパネルとセンターディスプレイを分けた。エアコン操作を含め、ほとんどの機能はタッチパネルで行うため、機械式スイッチは激減している。

センターディスプレイには有機ELを採用。操作は基本的にタッチパネルで行なうため、センターコンソールからダイヤル式のコマンドスイッチは姿を消している。

さらに乗員の座っている位置を認識して、例えば後席右側の乗員が 「DVDの再生」 といえば後席右側のディスプレイのみにDVDが再生される。前席には最大19個のモーターが内蔵され、より最適なシートポジションの設定が可能となり、マッサージプログラムは計10種類が用意される。「エナジャイジングコンフォート」は車内環境をドライバーのストレスや要望に合わせて協調制御するもので、ディスプレイのグラフィックやシートポジションやマッサージプログラムや音楽などを最適化する。専用のアプリに健康状態をあらかじめ入力しておけば、それもシステムのアルゴリズムに反映されるそうだ。この他にも湿度調整や活性炭フィルターを備えた新型のエアコンなども搭載する。

進化したMBUXでは、個々のシートからの音声認識にも個別に対応。後席ディスプレイ装着車では、表示画面を他のディスプレイと簡単に共有できる。

自動運転技術はレベル3相当を実装する。レベル3はセカンドタスクが可能となるので、携帯電話による通話やインターネットの閲覧などができるが必要な時はすぐに運転に復帰できることが求められる。万が一、ドライバーが急病等で復帰できない場合は自動的にクルマを安全に停車させ、通報するとともにドアロックを解除する。自動駐車はレベル4に対応できるようになった。必要なオプション装備とそれに対応するコネクトサービスを組み合わせることで、AVP(Automated Valet Parking)インフラを備えた駐車場に、その国の法律で許可されている場合に限り運転手なしで入出庫が可能だという。

AR技術を使ったヘッドアップディスプレイを用意。クルマの動きに合わせて矢印が動いて、ナビゲーションの指示を分かりやすくドライバーへ伝える。

世界初の後席エアバッグをはじめ、安全装備も充実している。側面衝突の危険を検知すると、E-アクティブボディコントロールを使って車高を瞬時に80mm上げて、サイドシルで衝撃を受けるようにする。約250個のLEDによるアンビエントライトは、室内の間接照明のみならず、例えばブラインドスポットミニターと連動して、右後方から他車が近づくと、サイドミラー内のワーニングラインと共にアンビエントライトの右側のみも点滅して注意を促す。こうした安全装備や運転支援システムなどは、オンラインでソフトウエアが随時アップデートされるので、常に最新の状態が維持できるようになった。

シートというよりはソファのような前後の座席は、マッサージ機能などを装備するなど、車内でいかに快適に過ごせるかを盛り込んだ設計がされている。

新型Sクラスは新たなスタンダードの提案だけでなく、自動車の近未来を見据えた通過点に過ぎないのではないかと思った。

 

通常のドアハンドルの他に収納式も用意される。前者と後者での全幅の差は33mm。全幅をできるだけ小さくするだけでなく、もちろん空力的にも有効となる。

ついにリアステア機構を搭載。後輪の操舵角はパーキングスピードで最大10度。Aクラス相当の最小回転半径を実現した。

E-ACTIVE BODY CONTROL装着車には側面衝突の危険を検知した場合は瞬時に車高を80mm上げ、サイドシル部分で衝撃を受ける安全機構が備わる。

自動駐車はレベル4相当となった。レベル4に対応可能な駐車場では、クルマから降りて所定の場所への駐車をスマートフォンの操作でできるという。

レベル3相当の自動運転にも対応。法律や条件などが整った場所ではセカンドタスクの実行が可能となる。ドライバーが急病などで運転を引き継げない場合は自動的に車両に安全に停止させて通報する。

世界初となる後席用エアバッグを用意。前席後部から展開し、後席乗員の頭部を保護する。

エクステアリアデザインにドラスティックな変化は見られないものの空力対策が徹底に行なわれ、 Cd値0.22というセダンではトップレベルの数値を実現。

ルボラン2020年11月号より転載

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