国内試乗

ワゴンボディで重要なリアサスペンションの安定感は抜群!「BMW新型5シリーズ・ツーリング」試乗記

ACCやステアリングアシストなど最新のADASも標準装備

BMWのツーリングを支持するユーザーは、SUVが定番化した今でも少なからず存在する。理由は様々あるようだが、なんと言ってもスタイリッシュなステーションワゴンといえばコレ!と例えられるように、BMWのそれは優れた走行性をベースに使い勝手の良いパッケージが魅力だろう。中でも5シリーズ ツーリングはその代表とも思えるほど、実によくまとまっている。

拡大したキドニーグリルはより低い位置にレイアウト。新デザインのデイランニングライトとともに表情はさらに豊かになった。リアコンビランプも新デザインのL字型に変更されている。

今回、試乗したのは、2020年9月にマイナーチェンジが行われた、いわゆる後期型。キドニーグリルやヘッドライト周りを中心にリファインされたおかげで精悍な顔つきになったのが特徴。エッジの効いたエクステリアと併せてツーリングでありながらもスポーティな印象を与える、実にBMWらしいフィニッシュが見て取れる。言葉にすると前期型でも同様になってしまうが、この後期型は洗練度が増して魅力的なスタイリングに仕上がっている。

試乗車のグレードは、523d xDrive ツーリング ラグジュアリーをベースに新たに加わったEdition Joy+。これは、クリーンエネルギー自動車を身近にすることを目的に設定されたもので、簡単に言えばラグジュアリーのお買い得版。一部の装備に違いが見られる程度で、大した差はないようだ。ACCやステアリング&レーン・コントロール・アシスト、衝突回避・被害軽減ブレーキなど最新のADASは標準装備されているから不満はないだろう。

523dには最高出力190ps、最大トルク400Nmを発生する2L 4気筒ディーゼルを搭載。なお今回のフェイスリフトを機に、5シリーズの4気筒と6気筒エンジンには48Vマイルドハイブリットが採用された。

エンジンは車名からも分かるように、2L直列4気筒ターボ ディーゼル。コモンレール式の直噴システムとシーケンシャル・ツイン可変ジオメトリーターボを組み合わせたクリーンディーゼルエンジンで、最高出力は190ps、最大トルク400Nmを出力する。これにAWDシステムを加えることで、ツーリングらしく幅広いユーザー層を狙っているが、やはりその走りは期待を裏切ることは一切なかった。

アイドリング時こそディーゼル感は否めないが、走り始めれば本当にストレスフリー。パワーこそ控えめに映るものの、最大トルク400Nmをわずか1750rpmから発するおかげで、全域に渡って扱いやすさが際立つ。BMW=スポーティという図式には当てはまらないとはいえ、かえってこれくらいフラットなほうがツーリングというキャラクターにはマッチするのは間違いないだろう。燃費にしてもWLTCモードで15.0km/Lというから文句なしだ。

タイヤは前後とも245/45R18サイズのピレリPゼロを装着。

マイナーチェンジされたこともあり、足まわりも正確性が増している。前期型はややステアリングの中立付近に甘さが見られたが、後期型になったことで改善され、標準の245/45R18タイヤとのマッチングも良い。ハーシュネスも抑えられ、ライントレース性にも優れている。特にツーリングで重要となるリアサスペンションの安定感は抜群の出来だ。もっともリアはツーリング専用のエアサスペンション(セルフ・レベリング機能付き)が与えられているから当然とも言えるが、意外にもタイヤとの相性が悪いモデルが少なくないから、5シリーズ ツーリングのそれは高く信頼できる。本来なら重い荷物を積んでテストしたいところだが、おそらくこの印象だとかなり良いような気がする。

ラゲッジルーム容量は標準時で570L、最大で1700Lまで拡大し、用途に応じて多彩なアレンジが可能だ。3シリーズ同様、リアのハッチガラスは単独で開閉できるなど機能性も万全。

それにしても相変わらずラゲッジスペースは使いやすい。リアシート使用時でも570L、可倒させれば1700Lを誇るうえ、タイヤハウスの張り出しが最小限に抑えられていることもあって大きな荷物でも引っかかりにくく出し入れが楽。おまけにガラスハッチ部のみでも開閉できることもあり、ちょっとした買い物で手軽に荷物を放り込めるのも良い。

その他、最新の3眼カメラによる運転支援システムも精度が高く、安全性が向上していることも特筆すべき点。また、自動車メーカーとしては世界で初めてAppleと共同開発したデジタルキーにより、車両の機能を音声操作できるほか、iPhone上でドアのロック&アンロックが可能になるなど、時代のニーズに合わせているところも高く評価できる。

コクピット回りの基本造形に変更はないが、センターコンソールには10.25インチおよび12.3インチ(オプション)のコントロールディスプレイを配置。オプションもさらに充実した。

【Specification】BMW523d xDriveツーリング ラグジュアリー エディション ジョイ+
■車両本体価格(税込)=10,250,000円
■全長×全幅×全高=4975×1870×1500mm
■ホイールベース=2975mm
■トレッド=前1600、後1625mm
■車両重量=1840kg
■乗車定員=5名
■エンジン型式/種類=47P20B/直4DOHC16Vディーゼル+ターボ
■総排気量=1995cc
■圧縮比=11.0
■最高出力=190ps(140kW)/4000rpm
■最大トルク=400Nm /(40.8kg-m)/1750-2500rpm
■燃料タンク容量=66L(軽油)
■燃費(WLTC)=15.0㎞/L
■トランスミッショッン形式=8速AT
■サスペンション形式=Wウイッシュボーン/コイル、後インテグラルアーム/エア
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後245/45R18

BMWジャパン公式サイト https://www.bmw.co.jp/ja/all-models/5-series/touring/2020/bmw-5-series-touring-highlights.html

フォト=宮門秀行/H.Miyakado

この記事を書いた人

野口優

1967年生まれ。東京都出身。小学生の頃に経験した70年代のスーパーカーブームをきっかけにクルマが好きになり、いつかは自動車雑誌に携わりたいと想い、1993年に輸入車専門誌の編集者としてキャリアをスタート。経験を重ねて1999年には三栄書房に転職、GENROQ編集部に勤務。2008年から同誌の編集長に就任し、2018年にはGENROQ Webを立ち上げた。その後、2020年に独立。フリーランスとしてモータージャーナリスト及びプロデューサーとして活動している。

野口優

AUTHOR

愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?

複数社を比較して、最高値で売却しよう!

車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。

手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!

一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!

【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>

注目の記事
注目の記事

RANKING