微に入り細に入りの最終仕上げ
今回の一連の動きのなかで、最も驚きだったのは、廣岡さんのコダワリぶりだ。実に細かいところまで、手を入れるのである。
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(左上)メカニズム部分の整備が終了、ボディ外観のリフレッシュに入る。幸いにして、このクルマには大きな凹み、傷はなく、軽めの板金と塗装で済んだ。(右上)とはいっても、依頼を受けた板金塗装工場、仲村オートサービスは、もちろん細心の注意を払って作業する。(下)稀少モデルである証のステッカーなどは、もちろん、そのまま残す形にしての塗装となる。これがなくなると、その価値は半減するといっても過言ではないのだ。
ボディ外観の凹み、キズの直しに関しては、もちろん外注となり、旧知の仲村オートサービスに板金塗装を依頼するが、当然ながら、ファイヤー&アイスの外観上の特徴であるCピラーの大型ステッカーをそのまま残すよう注文をつけることは忘れない。
たとえ全塗装をすることになっても忘れられがちな、サイドウインドー水切りの交換も自らが実施する。経年変化で縮んでしまった水切りは、雨水をドア内部に入れてしまい、それがやがて防水ビニールの接着を弱らせて、フロアを水浸しにする可能性がある。
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(左上)バンパーにつくフロントウインカーは、誰でも簡単に脱着でき、交換は容易という。(右上)ただし、サイドのウインカーは要注意。外す時にツメが折れて、使えなくなる可能性大。(下)ウインカーレンズ類もオリジナルのオレンジ色のものに交換する。ひたすら、戻すのだ。
だからこそ交換するわけだが、廣岡さんはむしろ水切り自体の汚れを嫌ったフシがある。見栄えも重要ということをいいたいのである。
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(左)ボディ同色だったフロントバンパー下のリップスポイラーを外す。ここをボディ同色とした前オーナーの気持ちはよく理解できるが……。(右)超レアな限定モデルだけに、この場合、オリジナル状態であることこそが大事。廣岡さんの考え方には、多くの方が賛同するのではないだろうか。
ファイヤー&アイスという超レアモデルをオリジナルに戻すという、廣岡さんの今回のアクションは、中古車ディーラー、またセレクトショップのオーナーという立場からスタートしたものではない。それができる場所にいたことは事実だが、根っこにあるのはエンスージャストの御しがたい情熱というものだろう。クルマともども、いい感じではないか――。
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それにしても、驚くのは廣岡さんのコダワリぶりだ。超レアな限定モデルであるからこそ、オリジナル状態に戻すことが重要と、最終的には、ご覧のように純正の14インチホイールを履かせ、当時そのままの姿の戻したのである。
取材協力=ユーロマジック TEL 06-6840-3269
リポート:小倉正樹/フォト:柴田幸治