モデルカーズ

あのイーストウッドの相棒、「1972年型フォード・グラン・トリノ」をレアなジョーハン製プラモで制作!【モデルカーズ】

オイルショック直前、豊かなアメリカ最後の輝き

1960年代を通してフォードのインターミディエイトに位置付けられていたのはフェアレーンだが、その上級モデルに”トリノ”の名が与えられてフェアレーン・トリノが誕生したのは1968年型でのことだった。フェアレーン/フェアレーン・トリノは1970年型でフルモデルチェンジを行い、フェアレーンの名前は大幅に後退して、トリノがシリーズの中心となった。

【画像18枚】美しく仕上げられたグラン・トリノ・スポーツを見る!

ボディバリエーションはトリノに限定して述べると、4ドアのセダンとハードトップ、2ドアのハードトップとクーペ、そして4ドア・ステーションワゴンという布陣だった。シリーズ全体は最下層にフェアレーン500が位置し、その上にトリノ/トリノ・ブロアム、トリノGT、トリノ・コブラという順で構成。これが1972年型で再びフルモデルチェンジを行い、同時に誕生したのがグラン・トリノである。

「グラン」の名が示す通り、グラン・トリノはトリノの上級モデルという位置づけ。このモデルチェンジは単純なスキンチェンジではなく、ボディ構造の変化を伴うもので、モノコックボディからペリメーター・フレーム式へと改められている。ホイールベースは4ドア・モデルが118インチ(2997mm)、それ以外が114インチ(2896mm)で、これは先代モデルよりも短縮されていた。リアサスペンションも、リーフスプリングから4リンク/コイルに進化している。

ボディスタイルは、若干コンパクトになった分グラマラスさが強調されたもので、リアクウォーターに入ったシャープなプレスラインが特徴であった。ボディ形式は従来通り、4ドアのハードトップ/セダン、2ドアのハードトップ/クーペ、そして4ドア・ワゴンの5種類。グラン・トリノ・スポーツはもちろんシリーズ中最もスポーティなモデルで、エンジンは429-cid(7L)から下は302-cid(5L)まで数種類をチョイスすることができたが、当時の情勢を反映して、429でも最高出力は205hpまで落とされていた。

プロポーション抜群のボディを損ねないよう最大の注意を払うべし!
ここでお見せしているのは、このグラン・トリノ・スポーツを1/25スケールで再現したジョーハン製プラモデルの完成品だ。当時のアニュアルキット(No.CS-502)で、これまで再販されたことはないようである。内容はシンプルなスナップキットで、細部パーツはかなり省略されており、内装のターンシグナルレバーやシフトレバー、ミラーなどは付かない。ホイールは1種類のみでオプションパーツなし。それでも魅力的なキットなのは、何よりもリアルでシャープなボディのおかげで、充分価値のあるモデルと言えるからだ。

ボディのパーティングラインはキャラクターラインに沿って入っているので、ラインを乱さないように注意して処理する。金型は新しかったはずだが、一部に腐蝕して荒れたような跡があった。ボディカラーはDARK GREEN POLY(コード4Q)の再現としたが、純正カラーチップを参考にすることができなかったので、ネット上の画像などを参照して調合している。アクセルSのグリーンにメジャムイエローを混ぜて少々オリーブ色に振ってから、微量のブラックでトーンを少し落とした。メタリックベースはクレオスのC8シルバーを控えめに使用。

さて、もしかしたらと思われる方もいるであろうが、作例のボディカラーは映画『グラン・トリノ』(2008年)の劇中車に合わせたもの。1972年型のフォードではグリーン系の色がほかに2色あるが、最も暗い色を想定してみた。劇中車のルーフはバイナル・トップで、ボディサイドのプロテクション・モールはなく、太いストライプのステッカー(黄色の地にグリーンのグラデーションが入っている)が貼ってある。ホイールは作例と同じマグナムで、ボディ同色の純正サイドミラーを装着。ナンバーはリアのみ、「QEK879J」。映画仕様を本気で制作しようという方のご参考まで。

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=羽田 洋 modelcars vol.160より再構成のうえ転載

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