遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる”ヤングタイマー”なクルマを振り返るという、かつて小社WEBサイトでひっそり!? 連載していた伝説の連載、その進化版がこの『ボクらのヤングタイマー列伝』です。今月は遠藤イヅル本人も所有していた、連載的には超王道となるプジョー309が登場! なので1号で収まるわけもなく、連載初のまさかの前後編に突入ですヨ!
ボクらのヤングタイマー列伝第12回『リライアント・シミターSS1』の記事はコチラから
突如”09″の末尾でデビューしたのは、何と309が元々プジョーのクルマではなかったからなのです!ガーン!
今回はプジョーの現行型Cセグメント車『308』のご先祖様でもある『309』をお送り致しますが、実は何を隠そうワタクシの元愛車がプジョー309なのです。しかもウルトラ希少車のSI(エスアイ)というグレード。SIのことは後述するとしまして、まずは309についてのアウトラインからお話したいと思います。
基本的にプジョーの車名は十の位に0を挟んだ3桁で命名されることはご存知かと思います。モデルチェンジのたびに番号が進むので、例えば300番台なら車名も306→307→308に変わります。でも308が2013年にモデルチェンジされた時、新型車は309ではなく”2代目”308となりました。308は今後モデルチェンジをしてもずっと308のままに……。でもそこには、1985年に登場した309というクルマの存在が308から先に進むのを阻んだ可能性は否めません。309が発売された頃のプジョーは205や405などの”05世代”でしたが、309は突如”09″の末尾でデビューしました。Bセグメントの205をベースにホイールベース/全長を伸ばしてゴルフに対抗出来るサイズへ車体を拡大、Cセグメントに発展させた309に関して、あの頃は”205の派生車種的な成り立ち”からの独特な命名かな、と思っていました。でも実際はそうではなかった。何と309は元々プジョーのクルマではなかったからなのです!ガーン!
当時プジョーは『タルボ』というブランドを持っていました。自社パーツを使って各セグメントのタルボ車開発を行っていたプジョーですが、競合するクルマを自社グループで抱えるという矛盾にも陥っていました。そこでプジョーは1985年、ブランド力も低かったタルボ・ブランドの廃止を決定します。でもタルボのCセグメントカー『オリゾン』の後継車『アリゾナ』は、205ベースですでに開発が終了していました。そう、もうお気づきかと思います! 309は『タルボ・アリゾナ』をプジョー・ブランドに仕立て直したクルマだったのです。その際車名は”206″にも”306″にもなりませんでした。”06″という世代を示す数字は派生モデルには重すぎたのです。だったらまだずっと先になるだろう09世代の309という番号を与えよう……ということになったのでは、と推測しています。
おっと! 309の命名だけでほぼスペースを埋めてしまいました。編集担当殿、次回309でいいですか? え、OK!? ということで309、まさかの前後編掲載に!! オーナーゆえの判官贔屓でごめんなさい(笑)。ということで今回のイラストは309の前期型を選んでお送り致します。次号では後期型のイラストと、前期/後期型の違いやグレード展開などの詳細をお届けし致します。乞うご期待!?(つづく)
この記事を書いた人
1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。