0→62mph加速はBEVの9.7秒から9.1秒に短縮され、EVのみの航続距離は85kmを実現
マツダは6月22日、広島の宇品第1工場で欧州向けのPHEV「MX-30 e-SKYCTIV R-EV」の量産を開始した。注目はやはり、発電機として採用されるロータリーエンジンで、同社の伝統かつ象徴ともいえるキーテクノロジーは、2012年6月に量産が終了したRX-8以来、約11年ぶりの復活となった。
新開発となるロータリーエンジンは排気量830㏄の1ローターで、125kW(170ps)の高出力モーターとジェネレーターを同軸上にレイアウト。これに17.8kWhのリチウムイオンバッテリーと50Lの燃料タンクを組み合わせた独自のシリーズ式プラグインハイブリッドシステムを、BEVと同一のフロントモータールームに搭載する。
英国マツダによると、トップスピードは140km/hとBEVから変わりないが、0→62mphの発進加速はBEVの9.7秒から9.1秒に短縮、85kmのEV走行を可能とするなど、日常域での高い機動性と環境性能を実現している。加えて、普通/急速両方の方式に対応した充電機能や1500Wの給電機能、走行状況に合わせて任意に選べる「EV」「ノーマル」「チャージ」の走行モードも備わる。
2020年にマツダ初の量産BEVとして登場したMX-30は、マイルドハイブリッド、今回のプラグインハイブリッドを加えてラインナップを充実。内装材にコルクや再生材からできた生地など環境に配慮した素材を積極的に採用するほか、塗料の噴射ロスを低減するマルチトーン塗装や太陽光発電設備など、生産工程における環境負荷にも配慮したマツダのマルチソリューション戦略モデルとして、存在意義そのものにも一層の磨きがかけられた。