モデルカーズ

「ケンメリR」は飽きたよ、なんて言わせない! カッコいいものはカッコいいんだから【モデルカーズ】

数ある国産旧車の中でも、モデルカー化のモチーフとして人気のある御三家といえば「S30Z」「ハコスカ」「ケンメリ」に行き着く。やっぱり日産は強いのである。

1970年代の日産といえば、日本の自動車メーカーとしてはトヨタに次ぐナンバー2だったが、”80点主義”などといわれたソツのないトヨタ車に対して、ちょっと粗削りだけど何か光るものがある、ということでクルマ好きや若者には人気があった。

販売台数ではかなわないけど、熱心なファンの多さでは負けない。さらに中古車になるとブッチギリの一番人気というのが日産という自動車メーカーのポジショニングだった。

それはモデルカーの世界でも同じで、古くから日産車のモチーフ化率(そんな言葉があるか不明だが)は、圧倒的だった。その率の上昇に貢献したのが前述した御三家だ。だが不思議なもので、その御三家に限って、モデルカーの出来不出来――ここでは客観的に実車の特徴を捉えているか否かとする――という側面から見るとアタリハズレは多かった。

特に、現在のように実車の3Dスキャンデータを元にモデルカーの原型が設計されるようになる前の時代はそれが顕著だった。

【写真7枚】客観的な造形とアルミ製のワタナベホイールが決まる1/43のケンメリRはコチラから 

古くから実車の図面を元に、実車の採寸や細部の写真撮影などによって客観的な造形を求めて原型を設計するモデルカーメーカーは存在したが、中には参考資料といえば数枚の写真で、あとは推測で原型を設計したり、あるいは原型師が木型をハンドメイドで彫り出し、それが原型になってしまうことも多々あった。

また、「スーパーリアリズムな絵は写真と同じで面白みがない、むしろそれなら写真でいいし、絵というものは描き手の個性や感性を反映してナンボ……」という論調に近いノリで、デフォルメを行うのが当たり前で、むしろそれがモデルカー設計者の腕の見せ所という時代もあった。

特に御三家のような人気車種となれば、原型設計者も腕が鳴るのだろう。それが故にどうも思い入れたっぷりな過剰演出――もっと幅広く、長く見せようとか、精悍な印象を強調しようだとか――に繋がるようで、結果としてそれがアタリハズレの振れ幅の大きさに繋がったのではないかと思われる。

古くからのモデルカーファンならば、マイナーであまり人気のないクルマほど出来がいいミニカーが多いという不思議な法則のようなものを感じた経験をお持ちの方も多いと思われるが、原型設計者がモチーフに思い入れがないほど、採寸通りの客観的な造形になっていく、という説明はあながち間違いではないのではないだろうか。

ということで、ケンメリRのモデルカーというのは、世の中に無数に存在しているが、客観的に実車の特徴を捉えているかという点で判断すると、その数は限られてくるというのが現実。無論、過去のモデルカーたちを否定するわけでもなく、それもまた魅力的だという大前提の下だが、現在、あるいは将来的に発売されるモデルカーに関しては、造形の客観性は重要視されるはずだ。

ここに紹介するのはハイエンド・レジンモデルカーメーカー、メイクアップがリリースする最新のケンメリRである。ボディ形状は実車の3Dスキャンデータを忠実にトレースしており非常に客観的なもので、彫りの深いフロントマスク、Rならではの簡素なメッシュグリル越しにのぞくコアサポートなどもしっかり再現されている。

メイクアップのモデルカーは随所に金属部品を使用しているのがポイントだが、ケンメリの場合は前後バンパーやドアハンドルはホワイトメタルの鋳造部品にメッキをかけたもの、ホイールのリムはアルミから削り出したもの、窓枠はステンレスのエッチング部品に銅コーティングをしてからメッキをかけたものと種々使い分けている。

ここに紹介するのは、いまやわずか197台しか生産されなかった実車であっても”正装”となりつつある、チンスポとワイドなワタナベ8スポークホイールを履いた仕様となっている。このほか、テッチンホイールを履いたファクトリーストック、そして1972年の東京モーターショーに出展された幻のケンメリレーシングなどがリリース済なので、それと合わせて入手してみるのも良いだろう。

商品ページ: https://www.makeupcoltd.co.jp/products/detail/1389 
メイクアップのケンメリR: https://www.makeupcoltd.co.jp/products/list?category_id=&name=KPGC110 

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