アウディ

【海外試乗】デビューから5年目のアップデート。これが内燃エンジンを搭載した最後のフラッグシップSUV!?「アウディQ8/SQ8」

アウディは、2026年以降に発表するニューモデルを全てBEV化し、2033年には内燃エンジンの生産を終了すると発表している。そんな中、ICE搭載をしたSUVクーペ「Q8」と高性能バージョン「SQ8」の改良型が登場した。

SQ8はスポーティネスとラグジャリー性が融合

BEVのe-tronが、「Q8 e-tron」に改名したことで、既存のICEモデルはどうなるのだろうと思っていたが、この9月に本国でフェイスリフトを実施。この度、南アフリカ・ケープタウンで国際試乗会が行なわれた。
2018年夏のデビューから5年で初の改良を受けたQ8は、エクステリアデザインを中心にアップデートされている。シングルフレームグリルや前後バンパー、LEDヘッドライト、OLEDリアコンビランプなどが新デザインとなり、スポーティな印象が向上している。

AUDI・SQ8

一方、従来のイメージが大きく変わるほど手を加えていないのは、デザイナーによれば、「もともと個性的なルックスを持つQ8は、デビューから5年が経った今でも全く古びておらず、イメージを一新する必要性がなかったから」だという。新型の仕上がりを見れば、その判断は正解と言えるだろう。
今回はまず、ハイパフォーマンスモデルのSQ8に試乗。シングルフレームグリルやサイドエアインテークグリルがシルバーとなっている点や、4本出しのエキゾーストパイプなどが外観上の特徴で、スポーティネスとラグジャリー性を兼ね備えたルックスが魅力的な一台である。

AUDI・SQ8/新型SQ8は、最高出力507ps/5500rpm、最大トルク770Nm/2000〜4000rpmの4L・V8ツインターボを搭載。従来モデルから変更はないが、静粛性の高さとスムーズでパワフルな加速は秀逸。加速時の豪快なエキゾーストノートはとにかく快感だ。

走りもそのルックスと同様、とてもスポーティかつ上質だ。507ps/770Nmの4L・V8ツインターボや8速ATは従来どおりだが、そのスムーズかつパワフルな加速は、BEVが増えた今でも非常に洗練されていると感じる。加速時に耳に届く豪快なV8サウンドも気持ちいい。
アダプティブエアサスペンションやアクティブロールスタビライザーによる姿勢制御や乗り心地も素晴らしい。むしろBEVのQ8e-tronより400kg以上軽いこともあり、軽快感のある走りも楽しめる。改めてSQ8は完成度の高いSUVクーペであると感心させられた。

AUDI・Q8 50TDIクワトロ/トルクフルな加速と軽快なハンドリングは、Qファミリーのトップモデルに相応しい仕上がり。グレード名は新たにBピラーに表記されるようになった。

もう1台試乗したのは、286ps/600Nmを発揮する3L・V6ディーゼルターボに48Vマイルドハイブリッド機構を組み合わせたQ850TDIクワトロだ。こちらもパワートレインやシャシーは、基本的に従来モデルから変更なしだが、その太いトルクが生み出す力強い加速はやはり魅力的。エアサスは備わらないが、乗り心地も申し分なく、このまま遠くへ旅に出たいとさえ思えた。
アウディは、2026年以降に発売するニューモデルをすべてBEVとし、2033年には(中国市場は除き)ICE車の生産を終了する計画である。なのでICEを搭載したQ8/SQ8を新車で手に入れられるのもあと数年かもしれない。

AUDI・Q8 50TDIクワトロ/286ps/3500〜4000rpmと600Nm/1750〜3250rpmを発生する3L・V6ディーゼルターボにベルト式の48Vマイルドハイブリッド機構を組み合わせた。

だがアウディはICEの開発をまだ止めたわけではない。今回、新型Q8/SQ8のパワートレインに変更を加えなかったのは、「まだその必要がない」と判断したからだという。
とはいえ大排気量ICE車に乗れるチャンスは今後減る。極めて洗練されたICEを味わうために新型Q8/SQ8を選ぶのも良いかもしれない。

【SPECIFICATION】アウディ・SQ8 TFSI
■車両本体価格(税込)=—
■全長×全幅×全高=4992×1995×1678mm
■ホイールベース=2998mm
■トレッド=前:1684、後:1693mm
■車両重量=2240kg
■エンジン形式/種類=—/V8DOHC32V+ツインターボ
■内径×行程=86.0×86.0mm
■圧縮比=10.1
■総排気量=3996cc
■最高出力=507ps(373kW)/5500rpm
■最大トルク=770Nm(78.5kg-m)/2000-4000rpm
■燃料タンク容量=85L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=—
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前後:5リンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:285/45R21

【SPECIFICATION】アウディ・Q8 50TDIクワトロ
■車両本体価格(税込)=—
■全長×全幅×全高=4992×1995×1678mm
■ホイールベース=2998mm
■トレッド=前:1679、後:1691mm
■車両重量=2160kg
■エンジン形式/種類=—/V6DOHC24V+ターボ
■内径×行程=83.0×91.4mm
■圧縮比=16.3
■総排気量=2967cc
■最高出力=286ps(210kW)/3500-4000rpm
■最大トルク=600Nm(61.2kg-m)/1750-3250rpm
■燃料タンク容量=75L(軽油)
■燃費(WLTC)=—
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前後:5リンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:265/55R19

アウディ・Q8 50TDIクワトロ

リポート=竹花寿実 フォト=アウディAG ルボラン2024年2月号より転載
LE VOLANT web編集部

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