メルセデス・ベンツ

【海外試乗】機能や実用性、快適性を大幅向上!さらなる洗練をとげたプレミアムミニバン「メルセデス・ベンツVクラス」

プレミアムミニバンとして、人気を博しているVクラスがフェイスリフトを受けた。エクステリアの変更点は微小だが、注目はインターフェイスをはじめとするインフォテイメントの大幅なアップデート。運転支援機能も格段に進化していた。

より洗練されて商品力が飛躍的に向上

昨年7月に発表されたメルセデス・ベンツVクラス/EQVのフェイスリフトバージョンが、ヨーロッパでデリバリー開始となり、フランス・カンヌで国際試乗会が行なわれた。
現行Vクラスは2014年に登場しているので、気がつけばデビューから早10年。BEVのEQVも2019年の登場から5年が経つ。同社の商用車部門が手掛けるVクラス/EQVは、ヴィト/eヴィトという商用バンの乗用車版だが、新型はVIPやビジネスマン向けのモデルとすることを目指した。

新型Vクラスは、163ps仕様(V220d)と190ps仕様(V250d)、そして今回試乗したV300dが積む237ps仕様の3種類の2L直4ディーゼルターボのほか、新たに231ps/370Nmの2L直4ガソリンターボ+マイルドハイブリッドをラインナップ。EQVは全車が204ps/365Nmの電気モーターを搭載する。

エクステリアは現在の乗用車ラインナップのイメージにグッと近づき、ラグジャリー感がアップ。インテリアも、インパネ周りを中心に一新され、左右いっぱいに広がるフロントパネルや、12.3インチのディスプレイが2枚並んだ横長のワイドディスプレイ、タッチパッドが備わるフローティングセンターコンソールなど、大胆なイメージチェンジを図っている。

EQV300の試乗車は、前後とも245/50R18サイズのコンチネンタル・プレミアムコンタクト6を装着。

また最新世代のMBUXを搭載し、会話形式のボイスコントロールにも対応。ARナビやデジタルインナーミラー、ワイヤレスチャージング機能、キーレススタート、ステアリングヒーターなど、機能や装備も充実し、利便性やコンフォート性も格段にアップした。
ADASも大幅に進化。ナビ協調で車速を自動制御するアクティブディスタンスアシストディストロニックや、360度カメラによる3D映像表示、リアクロストラフィックアラートなども用意する。

テールゲートにはガラスハッチが標準で備わる。

最初にステアリングを握ったのは、237ps/500Nmの2L直4ディーゼルターボを搭載したV300dロングの後輪駆動モデル。トランスミッションは従来通り9速ATが組み合わされる。
走り出した直後から、パワフルでレスポンスの良い加速に、思わず笑みがこぼれる。ホイールベースが3200mmと長いので、取り回しには若干気を使うが、ハンドリングは常に弱アンダーステアでとても素直。ワインディングロードもリズム良く走ることができる。

2〜3列目シートは前後にスライドできるほか、脱着も可能。バッテリーをフロア下に積むが、フロアは特に持ち上がってはいない。

乗り心地も、従来よりしなやかかつフラット感が増した印象で、今回の試乗車(2列目ラグジャリーシートを備えたエクスクルーシブ仕様)にとてもマッチしている。ステアリングフィールは振動がやや強めだが、動的質感は従来から明確に向上している。
次に試乗したのは、日本上陸の予定はないEQV300。こちらは204psの電気モーターをフロントに積んだ前輪駆動車で、ホイールベース間に90kWh(60kWh仕様もあり)のリチウムイオンバッテリーを搭載する。

新型のインパネは、左右いっぱいに広がるフロントパネルと、横長のディスプレイ、フローティングセンターコンソールが特徴。

加速はBEVらしくとてもスムーズで、ハンドリングも低重心と良好な前後重量バランスのお陰で、非常にバランスが良い。ステアリングフィールもとてもスッキリとしている。乗り心地はとてもフラットで、静粛性もミニバンとしては抜群に優れている。
しかし、とにかく加速が鈍い。V300dの直後だったので、余計にそう感じたのだが、車両重量が約2.8トンとV300dより500kg以上重く、最大トルクが365Nmと小さいので、力不足と感じたのも致し方ない。多人数乗車ではスポーツモードでないと厳しいだろう。航続距離も実際にはカタログ値の365kmを大きく下回ることになりそうだ。

センターコンソールにはタッチパッドが備わるが、使用頻度が高い物理スイッチも機能的に配置されている。

とはいえラグジャリーなピープルムーバーとしてのポテンシャルは高い。一方でまだ進化が必要と感じたのも正直なところ。2026年に予定されている商用車用BEVプラットフォーム「VAN・EA」の登場以降にデビューするモデルに期待した方が良いだろう。
日本導入モデルは、おそらく従来通りV220dのみとなるが、高級ミニバンとしての商品力は飛躍的に高まっていることは確実だ。

今回はBEVのEQVにも試乗したが、いまのところ国内に導入されるのは2Lディーゼルを搭載するV200dとのこと。輸入車唯一のプレミアムミニバンとしての存在感は抜群だ。

【SPECIFICATION】メルセデスベンツ EQVロング
■全長×全幅×全高=5140×1928×1880mm
■ホイールベース=3200mm
■車両重量=2811kg
■モーター最高出力=150kW
■モーター最大トルク=365Nm
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:セミトレーリングアーム/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:245/50R18

【SPECIFICATION】メルセデスベンツ V300dロング
■全長×全幅×全高=5140×1928×1880mm
■ホイールベース=3200mm
■車両重量=2267kg
■エンジン型式/種類=ー/直4DOHC16Vディーゼル+ターボ
■総排気量=1950cc
■エンジン最高出力=237ps(174kW)
■エンジン最大トルク=500Nm(51.0kg-m)
■燃料タンク容量=57L(軽油)
■トランスミッション形式=9速AT
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:セミトレーリングアーム/コイル
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:245/45R19

問い合わせ先=メルセデス・ベンツ日本 TEL0120-190-610

フォト=メルセデス・ベンツ日本 ルボラン2024年5月号より転載
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竹花寿実

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