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【国内試乗】日産自動車のフラッグシップEV、いま改めて検証する“アリアの進化と真価”とは!?

日産が培ってきた電気自動車のノウハウと最新テクノロジーを融合し、スタイリッシュなフォルムが魅力のクロスオーバーEV、アリア。ユーザーのニーズに合わせて2種類のバッテリーサイズと2種類の駆動方式をラインナップするが、ここではB6 2WDを中心に、改めてアリアの魅力を探ってみた。

未来的な技術をいち早く市販車へ投入

2019年の東京モーターショーに出展されたニッサン・アリア・コンセプトは、もう少し先になるだろうと思っていた未来の乗り物が間近に迫っていることを予感させ、ワクワクとさせられたものだった。未来の乗り物と表現したのは、日産が提唱するところのニッサン・インテリジェントモビリティの完全体。2010年に世界初の量産BEVとして発売されたニッサン・リーフや、2019年に高速道路でのハンズオフ機能を実現したプロパイロット2.0(ナビ連動ルート走行とハンズオフ機能の組み合わせは世界初)などで未来的な技術をいち早く市販車へ投入してみせてきたわけだが、それらを昇華してひとつの完成形として表したのがアリアだと直感したのだ。

アリアが搭載するモーターは、アクセルを踏み込んだ時は大きな力を発生させ、街中や高速道路の巡航時など大きな力を必要としないシーンでは電流を少なくすることで消費電力の低減に貢献。

ニッサン・インテリジェントモビリティはゼロエミッション(排出ガスゼロ)とゼロフェイタリティ(交通事故死亡者の実質ゼロ)の実現=具体的にはBEVと自動運転および自動運転化技術の推進、さらには最新コネクト技術を盛り込み、クルマを単なる移動手段から心豊かで楽しい生活を送れる存在へとかえていくもの。

シンプルで力強く、モダンなフォルムのアリアは、日本古来の伝統美に着想を得てデザインされている。例えばフロントのシールド部分はなめらかな表面の下に日本の伝統的幾何学模様「組子」を再現。各部に渡り美しいフォルムを実現している。

リーフはBEV専用車だとはいえ、スタイリングやパッケージングにまだガソリン車の余韻が残っていたが、アリアは余計な装飾を削ぎ落としたクリーンなデザインで、それゆえ塊感のあるフォルムが際立つ。ボディサイズから想像するよりもずっと広い室内空間が広がっているのもBEV専用設計だからだ。

インテリアも見所のひとつでラウンジのようにリラックスできる空間と、プロパイロット2.0のハンズオフ機能の組み合わせは新鮮な移動体験となる。スマホのアプリでドアロックやエアコン操作、充電量のチェック、クルマ移動以外の徒歩移動などとのシームレスなナビ連携などを実現したのもインテリジェントを感じさせる。

そんなアリアは市販モデルが2020年にワールドプレミアとなり、2021年中頃にはデリバリーが始まると予告されていたものの、コロナ禍と半導体不足で生産予定がずれ込み、2022年5月にようやくエントリーモデルのB6(FWD)が発売されたが、その後も納期が長い状態が続いた。

バッテリー容量66kWhのB6、91kWhのB9、それぞれに用意されるFWDとe-4ORCE(4WD)という基本4タイプ、プロパイロット2.0や本革シートが標準装備されるプレミア、走りの性能を引き上げたアリアNISMOなどが出揃って、最近では標準的な納期になってきたようだ。

2種類のバッテリーサイズと2種類の駆動方式を用意。取材車はB6 2WDグレードで、B6 e-4ORCE、B9 2WD、B9 e-4ORCE、B9 e-4ORCEプレミア、NISMO B6 e-4ORCE/B9 e-4ORCEがラインナップ。

自分のカーライフに合わせて選べる多彩なグレード

そのタイミングで改めて試乗したアリアは、5年前のコンセプトカーで受けた新鮮な感覚を失ってはいなかった。今回の試乗車はB6 FWDでエントリーモデルなのだが、たとえ隣にB9 e-4ORCEなど上級グレードが並んだとしても肩身が狭いなんてことはない。エンジンの排気量や装備でヒエラルキーが決まるなんて過去の話。B9の最長640kmの航続距離は自分の生活では必要がなく、バッテリー容量が小さめで車両重量が軽くなるB6のほうがむしろ好み。

インテリアにもは日本の伝統美というデザインランゲージを採用し、外観からは想像できない広さとフラットなフロア、EVならではの静けさを満喫できる居住空間を確保。

滑りやすい路面での走破性のみならずオンロードでの運動性能を高めるe-4ORCEにも興味はあるが、まずはシンプルなFWDでアリアの素性を味わいたいといった心持ちで接することができるからだ。自分のカーライフや好みで選べば、それが正解というのが本格BEV時代のアンチヒエラルキーだと言える。

アリアを走らせてまず感動するのが静粛性の高さだ。BEVはエンジン音がないので静かなのはあたりまえだが、その分、ロードノイズや風切り音などが目立ちやすくなるのが課題。車両価格が1000万円をゆうに超える高級車は莫大なコストをかけて音を封じ込めることができるが、700〜800万円程度が主流と、内容を考えればリーズナブルなアリアでここまで静かなのは見事だ。アクセル操作に対するモーターの反応がすこぶる素直でドライバビリティに優れるのもアリアの魅力。さすがはリーフ発売から14年もの経験・知見をもつ日産ならではだ。

今回はワインディングロードにも足を踏み入れたのだが、そこでのハンドリングが期待以上だったのも嬉しい発見だった。ほんの3カ月ほど前に、同じ道をアリアNISMOで走ったときには、前後の駆動配分を巧みに変化させるe-4ORCEがベース車以上に効いている感覚が強く、コーナーの入り口でも、アクセルを踏み込んでいった脱出でも、気持ちのいい曲がり方をすることに驚いたが、B6 FWDのハンドリングもなかなかどうして楽しめるのだ。

ラゲッジルームは、9.5インチのゴルフバッグ3セットを積め、荷物に合わせてアレンジも可能だ。

その源はB9 e-4ORCEだったら2180kgはある車両重量、最高出力45kWのモーターを2基搭載するパワーに対応したボディ剛性。260kg軽く、45kWのシングルモーターであるB6 FWDでは剛性感がより高く感じられるのだ。エンジン車のFWDではあり得ない良好な前後重量配分もハンドリングにいい影響をもたらしていた。コーナーへむけてステアリングを切り込んでいけば、ミッドシップの本格スポーツカーのようにスーッとノーズがインへ向いていくのが気持ちいい。e-4ORCEがなくても見事なターンインをみせるのだから、素のポテンシャルが高いということだ。

アリアNISMOは、アリアe-4ORCEモデルにNISMO専用の加速チューニングを施し、エクステリアには空力性能を向上させるNISMOらしい専用装備によりダイナミックなパフォーマンスを実現。

ニッサン・インテリジェントモビリティには「もっと自信を持てるドライビングを」というスローガンもあるが、アリアB6 FWDでは改めてそれを確認できた。時代が移りかわり、クルマがスマートに進化していっても、根源的な操る喜びは貫いていく姿勢を知って嬉しくなったのだ。

【INTERVIEW@EV LIFE KOBE 2024】

神戸のみなさんにアリアの魅力を語っていただきました!

兵庫日産自動車株式会社 デジタル推進室 EVエネマネ推進室 室長 竹谷 誠さん/アリアは日産のEVフラッグシップです。ただ単にEVというだけでなく、プロパイロット2.0やe-4ORCEといった最新の装備を搭載し、スポーティでラグジュアリーな走りを堪能していただけます。さらにシンプルモダンな和テイストなデザインも魅力です。私共、兵庫日産自動車は、兵庫県下新車店舗を58店舗構えており、アフターフォローも万全です。

北中英俊さん、由香里さん/街で見かけて気になっていたので一度乗ってみたいと思っていました。スーッと出だしもよく、思っていたよりよかった(笑)と英俊さん。後部座席でも乗り心地もよかったです、と由香里さん。

T.Nさん/今年で3回目のイベント参加です。アリアに興味があったけど昨年は試乗車がなかったから今回は嬉しかった。パワーがあって運転も楽しかったです。このデザインがカッコイイですね。

【SPECIFICATION】日産アリア B6(2WD)
■車両本体価格(税込)=6,590,100円
■全長×全幅×全高=4595×1850×1655mm
■ホイールベース=2775mm
■車両重量=1920kg
■総電力量=66kWh
■モーター最高出力=218ps(160kw)/5950-13000rpm
■モーター最大トルク=300Nm(30.6kg-m)/0-4392rpm
■一充電走行距離(WLTC)=470km
■サスペンション=前:ストラット、後:マルチリンク
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤサイズ=前後:235/55R19

問い合わせ先=日産自動車日本 TEL0120-315-232

フォト=郡 大二郎/白谷 賢 ルボラン2025年1月号より転載
石井 昌道

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