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フィアットからレトロ可愛い3輪EV「トリス」が登場! 現代版「ベスパカー」はアフリカ・中東で商用車として展開

フィアット・トリス

ラストワンマイルの配送を担うマイクロモビリティ

フィアットの商用車部門「フィアット・プロフェッショナル」は2025年5月21日、同ブランド初の3輪EV「トリス(TRIS)」を発表した。航続距離90kmの完全電気自動車で、手ごろな価格の超軽量商用車として開発。ラストワンマイル・デリバリーを担うBtoBマイクロモビリティとして、アフリカと中東で販売されるという。

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チェントロ・スティーレのデザインがリスペクトしているのは?

フィアットから発表されたマイクロEV、トリス。名前はそのまま3輪を象徴し、「く」の字形のヘッドライトも3つのLEDで構成されている。
3輪のマイクロモビリティというとタイの「トゥクトゥク」やインドの「オートリキシャー」がすぐ頭に浮かぶところだが、イタリアの小型クラシックカーに少し明るい人なら、かつてフィアット2代目「500」(ヌォーヴァ・チンクエチェント)と並んで戦後イタリアの経済復興を支えた小型3輪車、ピアッジオ「アペ」、通称「ベスパカー」にシルエットがそっくりであることに気づくだろう。

ピアッジオ・アペ

ピアッジオ・アペ

今なお日本でもファンの多いクラシック・スクーター「ベスパ(Vespa=スズメバチ)」を1946年に発売したピアッジオ社は、その後部を2輪化して3輪の商用車とした「アペ(Ape=ミツバチ)」を1948年にデビューさせた。
ベスパと共通パーツが多いがゆえの燃費の良さ、整備性の良さ、コスパの良さに加えて、イタリアの狭い旧市街で物を運ぶのに最適な小回りの良さを武器に、ローマの商店から農村に至るまで、イタリア全土を走り回っていたアペ。今回発表されたフィアット・トリスを年配のイタリア人が見れば誰もが「懐かしい」と感じるスタイルであり、その用途もまた、最小規模での運搬という経済活動の最小単位を担う、最も身近な小型商用車なのである。

圧倒的なコンパクトさと拡張性

フィアット・トリスはフラットベッド、ピックアップ、シャシー・キャビンの3つの仕様がラインアップされる。ピックアップ仕様は果物、砂、家具などさまざまな商品の輸送に理想的な、すぐに使えるモデル。フラットベッドとシャシー・キャビンは、フィアット・プロフェッショナルの認定パートナーによって、あるいはカスタマー自らの手で自在にカスタムできる仕様だ。全長わずか3.17mというコンパクトなサイズに加え、最小回転半径は3.05m。荷台部分は約2.25平方メートルの積載スペースがあり、標準的なユーロパレットも積載可能だ。また、車両総重量は1025kgで、最大積載量は540kgとなっている。

フィアット・トリス

フィアット・トリスのフラットベッド仕様(右)とピックアップ仕様(左)

フィアットのCEOであり、ステランティス・グローバル・チーフ・マーケティング・オフィサーのオリヴィエ・フランソワは、次のようにコメントしている。
「トリスは単なる新型車ではありません。都市型モビリティに対する私たちの考え方を大きく変えるものです。チェントロ・スティーレにおけるイタリアの創造性から生まれ、実際の日常生活のために設計されました。都市が発展し、クリーンで利用しやすい交通機関へのニーズがますます高まるなか、私たちは、根本的にシンプルで、深く役立つものを提供する機会を見出しました。トリスはその呼びかけに応え、個人事業主、中小企業、十分なサービスを受けていない地域社会に、前進するための費用対効果の高いゼロ・エミッションのツールを提供します。中東とアフリカでのデビューにより、トリスはラストワンマイル・モビリティを変革し、経済的エンパワーメントと社会的包摂への新たな扉を開くことになるでしょう。その可能性はさらにその先にもあり、次はヨーロッパかもしれません。この種のスマートで持続可能なソリューションは世界共通語だからです」
今回登場したフィアット・トリスはモロッコで製造され、アフリカ・中東地域の主要市場に導入されるが、かの地で好評であれば、欧州市場に投入する可能性もあるとのこと。日本市場を走る姿も見てみたいと思うのは、筆者だけではないだろう。

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フォト=Stellantis/Piaggio Group

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