EVラリーの未来は「オペル」が切り拓く！新型「モッカGSEラリー」はFIA「eRally5規定」初のマシン

オペルによるEVラリースポーツは次のステージへ

オペルは電動コンパクトSUV「モッカ-e（Mokka-e）」をベースにしたラリーカー「モッカGSEラリー」のプロトタイプを発表。2025年5月23日～24日にオランダで開催されるELEラリー・アイントホーフェンでデビューする。これはFIAの新たな「eRally5」レギュレーションに準拠して開発された最初のモデルとなる。

2026年から世界各地のEVラリーで活躍することに

オペルは2021年シーズンからEVのみによるワンメイクラリー「ADAC Opel Electric Rally Cup ‘powered by GSE’」を開催し、これまで6カ国33戦を通じて、電動ラリーカー「コルサ・ラリー・エレクトリック」で安全性と信頼性を証明するとともにノウハウを蓄積してきた。そして5月23日～24日にオランダ・アイントホーフェンで行なわれるELEラリーの一環として開催される「ADAC Opel Electric Rally Cup ‘powered by GSE’」において、新たな電動ラリーカー「モッカGSEラリー」のプロトタイプが公開される。

このモッカGSEラリーは、FIAが新たに定めたeRally5レギュレーションに従って開発された世界初のラリーカーであり、2026年シーズンから、世界各地のラリー競技で活躍することになりそうだ。オペル＆ボクスホールのフロリアン・ヒュットルCEOは次のようにコメントしている。

「4年以上にわたりオペルとADACは、電動ラリーが機能し、エキサイティングであることを実証してきました。新型オペル・モッカGSEラリーを通じて、完全電動の次世代ラリーカーを垣間見ることができます。最新のモータースポーツ・テクノロジーのおかげで、このプロトタイプは強力なパフォーマンスと豊富なパワーを提供します」

Rally4マシンに匹敵するパフォーマンス

オペル・モッカの量産モデルは2020年から第2世代にシフトし、2024年秋にフェイスリフトしたばかりだ。その特徴的なデザインを活かしたモッカGSEラリーは、外観では大きな「OMG! GSE」のレタリング。フロントはブラックの専用ホイールにイエローのブレーキキャリパーを組み合わせ、リアホイールはイエローという組み合わせ。ルーフにはエアインテークがあり、ブラックのボンネットにはホワイトとイエローの文字で「Mokka GSE RALLY」と刻まれている。

最高出力207kW（280ps）、最大トルク345Nmというスペックは、洗練されたモータースポーツ・テクノロジーと相まって、Rally4マシンに匹敵するパフォーマンスを約束するという。マルチプレートLSDとレーシング・ギアボックスは、強化されたドライブシャフトとホイールハブとともに強力な推進力を提供。シャシーは軽量設計となっている。

ビルシュタイン製のラリーサスペンションは、フロントアクスルに強化マクファーソンストラットとピロボールマウント、リジッドのリアアクスルに改良スプリングとダンパーで構成されている。ABS、ESP、レーンキープアシスト、トラクションコントロールなどの電子制御アシストは装備されない。

さらにアップデートされた安全対策

コルサ・ラリー・エレクトリックでの経験に基づき、エンジンとバッテリー・マネジメントのソフトウェア・チューニングは、最大限の効率、競争条件下でのドライバビリティ、パフォーマンスを実現するように設計され、バッテリーは容量54kWhのシリーズ・バージョンに対応しているとのことだ。

きわめて高い安全基準も特徴だ。ロールケージ（FIA公認）、6点式シートベルト付きラリーシート、バッテリーの特別なカプセル化、アンダーライドガードが追加されているほか、400Vのシステムはマスター・アラーム・インジケーターによって常時監視される。万が一、絶縁に問題が発生した場合は、視覚と聴覚による警告システムが即座に故障を知らせ、衝突などの急減速時には、センサーシステムがコンマ数秒で高電圧システムを完全にシャットダウンする。さらにモッカGSEラリーには、非電導性の消火剤を使用した特別な消火システムが装備されているという。

オペル＆ボクスホールのマーケティング担当副社長レベッカ・ライナーマンはこう語っている。

「モッカGSEラリーは、オペル・モータースポーツファンの胸を高鳴らせ、“OMG! GSE”の瞬間を味わうことができます。このEVラリー・プロトタイプは、2025年に私たちのGSEサブブランドが次のレベルに到達することを証明するものです。私たちの豊かなモータースポーツの伝統に忠実な、電動のスリルとハイレベルなパフォーマンスです」

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