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1360psというとてつもないパフォーマンスを発揮するコンセプトカー「AMG GT XX」の第一報はすでにお届けしているが、この発表会での模様を追加リポート。さすが、AMGがゼロから作り上げたBEVモデル。この発表会の模様を見ればその気合の入れ方がハンパないことはお分かりいただけるだろう。
【画像35枚】空力は新たな次元へ。Cd値0.198を達成した「AMG GT XX」の革新的なディテールをチェック
すべては理想のスポーツカーのために。AMGオリジナルのBEV専用プラットフォーム誕生
AMGはかねてより、AMGオリジナルのBEV専用プラットフォームの開発を進めていると公言していた。スポーツカーブランドにとって、彼らが理想とするモデルを開発するにあたり、ベース車両(つまりメルセデス・ベンツ)があるということは、手を入れる範囲に少なからず制限が生まれてしまう。そんな中にあっても、これまでAMGはメルセデスに出来る限りの改良を施し、AMGらしい乗り味を備えたモデルを次々と世に送り出してきた。でもやっぱり、胸の奥底には「ゼロから自分たちで作りたい」という欲求があったに違いない。プラットフォームから開発を手掛けるというのは、まさしく新しいクルマをゼロから作ることであり、そうして誕生したのが「コンセプトAMG GT XX」である。
新しいプラットフォームは「AMG.EA」と呼ばれ「EA」は「エレクトリック・アーキテクチャ」の略。バッテリーやパワートレインもこのAMG.EAにあわせて新規開発されている。バッテリーは円筒セル型で、これが冷却用のオイルの中に浸かっている直冷式が採用されている。こうすることでバッテリーの温度を常に最適に保つころが可能となり、例えばバッテリーに大きな負荷がかかるサーキット走行の直後であっても、急速充電器を使用できるそうだ。また、850kW以上の充電器にも対応しているので、もしそんな充電器が運用されれば約5分で航続距離400km分の充電ができるという。
革新の「アキシャルフラックスモーター」が実現する異次元の性能
モーターはイギリスのYASA製で、2012年にメルセデスが完全子会社化したメーカーでもある。「アキシャルフラックスモーター」は通常のモーターよりも圧倒的に軽量コンパクトなことが特徴だが、生産の難しさとコストが足かせとなり、なかなか普及してこなかった経緯がある。YASA社はその両方をほぼクリアしたわけだ。
AMG GT XXでは、フロントにひとつ、リアにふたつのモーターを置く4WDの駆動形式を持っている。リアのモーターは機械的に繋がっていないので、後輪左右を別々に制御することで、トルクベクタリング的な効果も発揮する。最高出力は1000kW以上。馬力に換算すると1360ps以上である。この非現実的な出力が実際に量産型へも反映されるのかどうかはよく分からないけれど、それくらいのポテンシャルを持っているパワートレインだということは理解できた。
スポイラーレスで360km/h超へ。空力の常識を変えるボディデザイン
4ドアクーペの形状を持つボディのサイズは全長5204mm、全幅1945mm、全高1317mm。さっそく「〇○に似てる」論争が繰り広げられているみたいだけれど、このエクステリアデザインでもっとも注目するべき点は空力性能だ。AMG GT XXのCd値は0.198。ついに0.20を切ってしまった。メルセデスのラインナップでは、これまで0.20のEQSがトップで、これに新型CLAの0.21、Sクラスの0.22が続いている。Cd値は航続距離の延長にも大きく寄与する要因のひとつで、メルセデス調べではCd値が0.01下がると航続距離が約2.5%伸びるという。
さらに、このクルマの最高速は360km/h以上と公表されている。そこまでの高速走行が可能なのに、スタビリティとダウンフォースの向上のための大きなスポイラーの類いが見当たらない。つまり、追加のエアロパーツが必要ないくらい、空力に優れたボディだということらしい。ホイールキャップは、ブレーキ冷却時には自動的に浮き上がり、高速巡航時には下がって蓋をする。この機能もまた、エアロダイナミクスに貢献している。
リアには左右3灯ずつの丸形ライトが採用されている。ちょっとクラシックな感じもするけれど、実はマフラーを模しているという。エンジンの開発/生産を手掛けるAMGとしてのアイデンティティを、マフラーが必要ないBEVでもアピールしているのである。