ポルシェ

色褪せぬ情熱をポルシェに捧げて。希少色「セピアブラウン」と共に歩んだ、コレクター兼レーサーの物語

始まりは477台のうちの1台

読者の皆さんの中にも、特定のボディカラーにこだわりがあるという方は、決して少なくないのではないだろうか。ここでは、有名なポルシェ・コレクターと、ある色の関わりについてご紹介しよう。

【画像10枚】色褪せない幸せに満ちたポルシェ・コレクターの様子を垣間見る!

コレクター兼レーサーであるリチャード・ライミスト氏(72歳)とポルシェとの数十年にわたる関係は、セピアブラウンという珍しいカラーの911Tタルガから始まった。フロリダ州ジュピターにある彼のガレージには、7台のポルシェが保管されており、半世紀にわたる自動車への情熱を物語る空間となっている。その中でも、製造年から50年以上もの隔たりがあるにもかかわらず、同じセピアブラウンで統一された3台のポルシェは、彼のコレクションの中核をなしている。

ポルシェとの出会いと最初の愛車

ライミスト氏のポルシェへの関心は、米国のポルシェシーンが既に確立されていた1960年代に、ロサンゼルスで過ごした幼少期まで遡る。当時、街中で見かける911や356、914といったモデルに彼は心を奪われた。

1971年に高校を卒業後、彼はハリウッドの映画業界において、ポストプロダクション(撮影後の編集や仕上げなど)関連の仕事でキャリアをスタートさせた。わずか2年で資金を貯め、20歳の時に夢を実現する。1973年、彼はハリウッドのディーラーで、ドイツから輸送中だった1973年式の911Tタルガの購入契約を結んだ。そのボディカラーこそ「セピアブラウン」であった。

セピアブラウンは、1970年と1971年モデルでは特別色、その後の2年間は通常色として提供されたカラーである。この色でデリバリーされた911は総数1283台、そのうちタルガモデルは477台であった。ライミスト氏が現在も所有するこの1台は、彼の人生に大きな影響を与え続けている。

アマチュアからプロのレースへ

ライミスト氏は購入した911Tと共に約16万kmを走行した後、サンディエゴへの移転を機に車両を一時保管した。しかし5年後、彼はレースへの情熱からこのクルマをアマチュアレース用に改造することを決意する。主な改造点は以下の通りだ。まずRSタイプのステンレス製スチールフレアの追加。むろんワイドなタイヤを装着し、ステアリングもスポーツステアリングホイールへ交換、そして1986年製の3.2Lエンジンへの換装。

ポルシェクラブ・オブ・アメリカに加入し、オートクロスやタイムトライアルへの参戦も開始した。その後、レースへの情熱はさらに高まり、1993年には1973年式の911クーペを購入してRSR仕様に改造する。1994年にはファクトリーカーである911カレラRSR 3.8(964)を手に入れ、全米のPCAクラブレーシングシリーズを転戦。

1995年、当時41歳だった彼は、デイトナ24時間レースで911カップのシートをレンタルし、プロの世界へ足を踏み入れた。74台が参加したこのレースに、ベテラン耐久レーサーであるラリー・シューマッハを含むチームの一員として参戦、27位で完走を果たしたのだ。「アマチュアだった私にとって、あれは本当に興奮する出来事でした」とライミスト氏は振り返る。「あの瞬間が、私の心に火を灯したのです」

チームオーナーとしての成功と現在

プロレースへの挑戦をきっかけに、ライミスト氏は自身のレースチーム「チームA.R.E」を設立。IMSA GT選手権に3ラウンド参戦し、ラグナセカでは3位を獲得。チームオーナー兼ドライバーとして1996年のデイトナ24時間レースに再度参戦し、総合6位、クラス2位という好成績を収めた。その後、チーム運営に専念するためドライバーとしての役割を退き、2000年にレースの第一線から引退した。

彼はフロリダへ移住し、他のポルシェ・プライベーターを支援するほか、自転車競技といった新たな対象へも情熱を燃やしてきた。ジュピターで自転車店を経営し、40年間にわたり数え切れないほどのトラックレースやロードレースに出場した彼だが、ポルシェへの情熱は衰えることなく、SNSでの情報発信や、フロリダ州内の自動車イベントへの参加を続けている。

彼のセピアブラウンのコレクションは、今も拡大を続けている。最近、ポルシェから新しいケイマンGT4 RSの承認が下りており、4台目となるセピアブラウンのポルシェが今年の夏には彼のガレージに加わる予定だ。セピアブラウンという色が、ライミスト氏のポルシェ・ライフにおいて特別な意味を持ち続けていることは明らかであろう。

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※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。
LE VOLANT web編集部

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