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2025年10月5日(日)、岐阜県高山市(旧宮村地域)にある高山市位山交流広場 モンデウスパークで、「Citroënist Rendez-vous OWNERS’ FESTIVAL 2025」(シトロエニスト ランデブー オーナーズフェスティバル2025)が開催された。ビッグなサプライズプログラムも行われた同イベントの模様を、シトロエンを7台乗り継いだ筆者が、マニア視点を交えつつレポートする。
【画像34枚】新型C3から超希少なヴィザ、2CVまで! 雨の飛騨高山に集った新旧シトロエンたちを写真で見る
新旧シトロエン500台が飛騨地方に集結
シトロエンブランドを擁するステランティスジャパンが主催した「シトロエニスト ランデブー オーナーズフェスティバル2025」は、その名の通りシトロエンオーナーのみが参加できるイベントだ。2023年に第1回が行われて以来、2年ぶりの開催となる。
主催者自らが「シトロエンオーナーのための最高の情報交流スペース」と題するだけあり、新旧シトロエンとオーナーが集う「シトロエンコミュニティガレージ」、シトロエン公式グッズやフリーマーケットでアイテムが買える「シトロエンマルシェ」、シトロエンの最新モデルを試乗できる「シトロエンテストドライブ」、ビンゴなど来場者参加型のステージイベント「シトロエンオンステージ」など、会場ではさまざまなプログラムが組まれていた。
当日はあいにくの雨模様だったが、駐車場には朝から続々とシトロエンが集まり始めた。参加者の中には、前夜祭が開催された南乗鞍キャンプ場からパレードランで来場するクルマも。新型C4を先頭に、2CVからベルランゴまで新旧シトロエン55台が連なって会場入りした。
駐車場は年代別に整列! メーカーの「ヘリテージを尊ぶ姿勢」を見た
会場内で面白いなと思ったのは、1990年以前、1990年代、2000年代、2010年代、2020年代(いずれもC3を除く)、C3、そしてベルランゴと駐車するゾーンが分けられていたこと。これにより、並んだシトロエンに年代・車種ごとの統一感が生まれるようになっていた。
1990年以前では「アミ」「ディアーヌ」「ヴィザ」「GS/GSA」「CX」「BX」「AX」などが並び、以降は「エグザンティア」「ZX」「C5」「C6」などちょっと懐かしめ、かつ今となっては台数を減らしたモデルも見ることができた。多数派を占めたのは「C3」「C4スペースツアラー」「C4カクタス」「C5X」「C3/C5エアクロス」など近年のモデルで、そして大量の「ベルランゴ/ベルランゴロング」が会場の一角を占めていた。合計台数は500台に達したとのことで、まさに新旧シトロエンが集うフェスティバルにふさわしい光景を作っていた。
まるで動く自動車博物館。時代を映す個性派たちが一堂に
そしてメインステージの前には、シトロエンのロゴが入ったバルーンの周囲に「DS」「SM」「AX」「C3プルリエル」など世代の違うモデルを並べたフォトスポットが用意されていたが、この場所が「古い世代が多い側」に置かれていたことも興味深い。
この配置からは、ベルランゴなど近年のモデルによって新たにシトロエン乗りになったユーザーに、シトロエンにはこんな伝統があって、こんなクルマを作っていたことを知ってほしい、というメーカーの意志が感じられた。そもそもメーカー主催のオーナー向けイベントで、ここまで旧型モデルをフィーチャーして並べるのは珍しい気もする。過去のクルマがあるから今があるのだ。そのつながりとヘリテイジを重んじるシトロエンらしい展示ではないだろうか。
まさかの新型C3“登壇”! 会場にはどよめきも
イベントは基本的にメインステージで進行。オープニングのあと9時45分過ぎからスペシャルコンテンツと題したプログラムが始まった。ステージに上がったステランティスジャパン フレンチブランド事業統括の小川隼平氏は、イベント当日付けで発表されたばかりの新型「C3」が会場に来ていて、しかもステージに上がってくると言う。そしてステランティス・ジャパン コミュニケーションマネージャー中山領氏の案内のもと、雨の中でも映える水色の新型C3がスロープから“登壇”すると、発表ホヤホヤのニューモデル公開に会場は大きくどよめいた。
さらに、この日のためにフランスから来日したシトロエンのカラー&マテリアルデザイナーの柳沢知恵さんによる、新型C3の各部紹介も注目を集めた。最新シトロエンのデザインテーマから、新型C3に散りばめられたダブルシェブロンの意匠、エンブレムの素材、2CVを意識したボディカラーの採用、内装へのこだわりなど、ふだんなら聞くことができないような開発秘話が次々と飛び出し、メインステージ前に集まっていた来場者も興味津々。柳沢さん自らが行う解説に耳を傾けていた。
しかも驚くことに、発表されたばかりの新型C3に試乗できる抽選会も実施。幸運な21組が選ばれ、C3のステアリングを握って順次公道試乗に出かけて行った。
新規オーナー置いてけぼり? 愛が深すぎるクイズ&ビンゴ大会
11時半からは○×クイズ大会、13時40分からはビンゴ大会が始まったが、○×クイズはマニアックな難問揃い。ビンゴ大会では好きな車種のシールをビンゴカードに貼り、自分好みのカードを作る仕組みだったのだが、シールの車種はマニアックなものがいっぱい。ビンゴの抽選が行われるたびに、「アカディアーヌ」「ヴィザ・ミルピスト」「ヘリコプターRE2」など、重度のシトロエンファンじゃないと知らないような車種(?)が連呼され、そのたびに中山氏の解説がガッチリ入るという、新規のシトロエンユーザーを完全に置いてけぼりな進行(笑)。これには来場していた一部のシトロエンマニアも大喜びだった。
どれだけマニアックかというと、戦前生まれの「トラクシオン・アヴァン」が、ホイールベースや車体の大きさが違う「7(いわゆるレジェール)」「11(ノルマル)」、そして6気筒を積む「15 Six」とビンゴ用の車種が分けられており、「トラクシオン・アヴァンは1種類でいいでしょう(笑)」、とマニアでさえもツッコミを入れていたほどだ。おまけにちゃんと15 Sixの解説では「後輪のみにハイドロニューマチックを使用」という中山氏の解説も付いてきて、もはやマニアも脱帽。主催者の溢れんばかりの「シトロエン愛」を強く感じさせてくれた。
なぜあなたはシトロエンを選ぶのか? オーナーたちの“生の声”
前述のように、会場には気になるシトロエンが多数来ていたので、その中から何人かにインタビューを行った。
ヴィザ・クラブ:三浦夏樹さん
まずは、日本に数台レベルの超希少モデルである1979年式の「ヴィザ・クラブ」で京都からやってきた三浦夏樹さんだ。ヴィザは、シトロエンとプジョーが1970年代に合併した際、「プジョー104」のプラットフォームにいかにもシトロエンらしい摩訶不思議なデザインなボディと2CV系のフラットツインを載せたモデルだ。
「実はシトロエンのこと、全然知りませんでした。でも父がショップにGSを見に行きたいというのでついて行ったら、そこにヴィザがいて。欲しくなって買ってしまいました。電動エアコンを装着したり、少しずつ乗りやすいようにアップデートしています」
CX2500パラスIE:塩尻慎さん
続いては1970年代~80年代にシトロエンの旗艦を務めた1984年式の「CX2500パラスIE」に乗る塩尻慎さんに話を聞いた。
「20歳くらいのとき、ペタンコに車高が落ちているCXを正面から見た時、アダムスキー型UFOみたいなそのフォルムに衝撃を受けました。それでシトロエンとCXが気になりだしたのですが、ちょうど出物が出た4年くらい前に手に入れました。でも2年前、このイベントに参加しようとした際に故障してしまい、別のクルマで行くことになったんです。なので、今回はそのリベンジを果たすことができました(笑)」
Ë-C4:福谷孝満さん
2022年登場の新しいモデルでBEVの、「Ë-C4」で富山県から来場した福谷孝満さんは、シトロエンは乗り心地が素晴らしい、と嬉しそうに話してくれた。
「前回もこのクルマで参加しました。航続距離が360kmくらいあるので、日常生活上でもBEVで困ることはありません。シトロエンは乗り心地が優れたクルマが多いですが、Ë-C4はさらに良いと思います」
ベルランゴロング:inatai3さん
ラストは、屋根上にポップアップルーフを備えたキャンピングカー仕様のベルランゴロングで車中泊を楽しんでいるというinatai3さん。
「キャンパー仕様のまさに第1号車です。リアがフルフラットになるのと車内高さが重要だったのですが、ベルランゴロング以外で条件を満たすものがありませんでした。乗り心地が良く遠出が楽ですね。ディーゼルで燃費が良いのも気に入っています」
熱気と“シトロエン愛”に満ちた一日、また来年
ビンゴ大会の終わりとともに、「ジャパンシトロエニスト ランデブー オーナーズフェスティバル2025」も全てのプログラムを終了。取材しに行ったはずの筆者もガッツリ楽しめた素晴らしいイベントだった。
ところでイベントを行う場合、一人でも多くのシトロエンユーザーの獲得を目指すのが正解だと思うのだが、このイベントは既にオーナーになった人に向けられているものだ。それでもこうしてシトロエンオーナーのために定期的にイベントを催して、ブランドの魅力を伝えようとする姿勢は高く評価したい。会場を連なって去っていくさまざまなシトロエンをファインダー越しに見ながら、ゆるい雰囲気が楽しいこのイベントが、来年以降も末長く続くことを願い、そしてまた自分もシトロエンを所有したいなあ、と思った次第である。