国内試乗

【試乗】「マクラーレン 750S スパイダー」が切り拓くスーパースポーツの「究極の先」。荒れた路面さえもいなす「骨格の哲学」

マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750Sスパイダー
マクラーレン750S JC96
マクラーレン750S JC96
マクラーレン750S JC96
マクラーレン750S JC96
マクラーレン750S JC96
マクラーレン750S JC96
マクラーレン750S JC96
マクラーレン750S JC96
マクラーレン750S JC96
マクラーレン750S JC96
マクラーレン750S JC96
マクラーレン750S JC96
マクラーレン750S JC96
マクラーレン750S JC96

ブランド哲学を象徴し次世代への橋渡しを担う存在

マクラーレンがレースの現場で積み上げてきたのは「速さ」と「運動性能」だ。その公式の頂点にあるのがフォーミュラワン(F1)であるのは言うまでもない。そしてそこで磨かれた技術は、常にロードカーへと反映されてきた。現行モデルの頂点に立つ「750S」は、まさにその結晶と言える存在だ。

【画像42枚】マクラーレン「750Sスパイダー」と日本限定モデル「JC96」のフォトギャラリーを見る

2010年に登場した初の量産モデル「MP4-12C」以来、マクラーレンは一貫してカーボンモノコックを核とする2シーター・ミッドシップのスタイルを貫いてきた。それは60年以上にわたるF1参戦の経験が導いた答えであり、軽さと剛性を兼ね備えた合理性はいまも揺るぎない。今回の試乗車である750Sスパイダーに腰を落とした瞬間、その”骨格の哲学”がまったく色褪せていないことを思い知らされた。

マクラーレン750Sスパイダー

マクラーレンの特徴のひとつであるディヘドラルドアは、乗降時の利便性を高めてくれる。

オープンでもクーペと遜色ない軽快な身のこなし

ディヘドラルドアを開け放って、低い姿勢でそのシートに潜り込むと、コクピットは驚くほどタイトに感じられる。だがそれは窮屈さではなく、老舗テーラーで誂えた仕立ての良いスーツのように、ドライバーへぴたりと寄り添う感覚だ。

ステアリングには余計なスイッチがなく、無駄を配した道具としての純度の高さが伝わってくる。メーターフード上のセッティング切り替えスイッチも、ドライバーの視界と手の届く範囲にきちんと収まっていて、ドライビングに集中できる環境が整っている。

マクラーレン750Sスパイダー

スパイダーはクーペより車重が約50kg重いが、そんなことを感じさせない軽快なハンドリング性能を披露する。

だからだろう、エンジンに火を入れてアクセルを軽く踏み込んだだけで、車体との一体感が鮮やかに浮かび上がった。スパイダーはクーペより約50kg重いが、そんな数字を一瞬で忘れさせる軽快さだ。直前に試したGTSとは、明らかに身のこなしが違う。

これほどドライビングに夢中になれるスーパースポーツは他にはない

試乗地の軽井沢の道は、冬の影響で舗装が荒れ気味だった。それでも750Sスパイダーは驚くほどフラットな姿勢を保って路面の不整を見事にいなす。「プロアクティブ・シャシー・コントロールIII」と呼ばれるアクティブサスペンションが瞬時に減衰を調整し、硬さを抑えつつも切れ味鋭いハンドリングを失わない。ステアリングを通して路面のざらつきが伝わり、前後タイヤのグリップが手に取るように分かる。つづら折れのワインディングをクリアするときの軽やかさに、思わず笑みがこぼれた。

ドライバーの背後で響く4L V8ツインターボは、750psと800Nmを叩き出す。0→100km/h加速2.8秒、最高速は332km/hという数値は途方もないが、印象に残るのはむしろそのピークパフォーマンスよりも中低速域の扱いやすさだった。パドルを引けば、剛性感のあるクリックが指先に返ってくる。精密機械を操るような感覚に病みつきになり、つい不要なシフトダウンを繰り返してしまうほど。これほどドライビングに夢中になれるスーパースポーツは他にはないだろう。その意味でも750Sはこのカテゴリーにおいて特別な存在と言える。

ボディカラーのオレンジとブラックのカラーでコーディネートされたシックなコクピット。

日本限定のスペシャルモデルも登場

そんな750Sに、日本市場向け61台限定の「JC96」が用意されることが発表された。30年前の1996年、全日本GT選手権でラーク・マクラーレンF1 GTRがゼッケン61を背負い総合優勝を果たした栄光にちなんだものだ。JC96は内外装の特別仕立てに加え、マクラーレンのビスポーク部門「MSO」が設計したハイダウンフォースエアロキットを装備。大型スプリッターやリアウィングが与えられ、空力性能を徹底的に磨き上げたその姿は、レーシングスピリットを宿したロードカーそのものである。

マクラーレン750S JC96

マクラーレン750S JC96

さらに未来を見据えた「プロジェクト・エンデュランス」も見逃せないトピックだ。マクラーレンはモナコGP、インディ500、ル・マンを制した唯一の”トリプルクラウン”メーカーだが、それをLMDh規定のハイパーカーで再現しようとしている。顧客が開発段階から関わるカスタマープログラムも準備され、単なる所有を超えた”体験”を提供するという。スーパーカーを売るだけでなく、モータースポーツの未来そのものを共有する姿勢は、他に類を見ない取り組みだろう。

マクラーレンのロードカーの歴史は決して長くはない。だが、F1とロードカーの距離が近いからこそ、挑戦の精神は色濃く宿る。その意味で、750Sは単なる現行フラッグシップではなく、ブランド哲学を象徴し、次世代への橋渡しを担う存在だ。ステアリングを握り、背後のV8の鼓動を感じながら走った時間は、まさに「究極の先に見える新時代」を体感するひとときだった。

【Specification】マクラーレン750S スパイダー

■車両本体価格(税込)=45,700,000円
■全長×全幅×全高=4569×1930×1196mm
■ホイールベース=2670mm
■トレッド=前:1680、後:1629mm
■車両重量=1326kg
■エンジン型式/種類=M840T/V8DOHC32V+ツインターボ
■総排気量=3994cc
■最高出力=750ps(552kW)/7500rpm
■最大トルク=800Nm(81.6kg-m)/5500rpm
■燃料タンク容量=72L(プレミアム)
■トランスミッション形式=7速DCT
■サスペンション形式=左右:Wウイッシュボーン/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ=前:235/35R19、後:305/30R20

【画像42枚】マクラーレン「750Sスパイダー」と日本限定モデル「JC96」のフォトギャラリーを見る

注目の記事
注目の記事

RANKING