世界初開催。ディフェンダー・トロフィー日本予選会レポート
ディフェンダーが新たに立ち上げた世界規模のアドベンチャー・コンペティション「ディフェンダー・トロフィー(DEFENDER TROPHY)」の日本国内予選会が、2025年11月8日から9日にかけて、山梨県の富士ヶ嶺オフロードで開催された。これは単なるドライビングテクニックを競うモータースポーツではなく、知力、体力、そしてチームワークといった冒険者に求められる多様なスキルを競う、ユニークな大会である。
【画像35枚】丸太を渡り、チームで挑む。限定車「TROPHY EDITION」も登場した「ディフェンダー・トロフィー」日本予選会の熱気を写真で見る
世界70カ国以上のキックオフ。ドラテクより「チームワーク」が鍵
ディフェンダーは、過去に実施された「TROPHY」や「CHALLENGE」といった伝説的なイベントに着想を得た、この新たなコンペティションの開催を2025年6月に発表した。世界70以上の国や地域から挑戦者を募るグローバル・プロジェクトであり、今回、富士の麓で開催された日本予選会は、その世界で最初に行われる記念すべきキックオフイベントとなった。
ル・ボラン編集部が現地を訪れたところ、その内容は想像以上に過酷かつ多角的だった。もちろん、富士ヶ嶺オフロードのハードなオフロードコースを走行するタスクも存在する。しかし、競技の核となるのは、3人1組のチームワークである。書類選考を通過した24名の参加者は、ディフェンダーのオーナーもいれば、そうでない人もいるという多様な顔ぶれ。彼らが3人1組となり、役割を分担しながら困難なタスクに挑む形式で、一個人のドライビングスキルだけを競うものではないのが最大の特徴だ。
競技は2日間にわたり、参加者たちは初日と2日目で異なるメンバーとチームを組むようシャッフルされた。これは、見知らぬ者同士でも即座に高度なチームワークを発揮するための、コミュニケーション能力が問われることを意味する。
1日目:フィジカル、頭脳、そして夜間走行まで
そのタスクは、まさに知力、体力、コミュニケーションスキルの全てを試すものだった。ルールブックに目を通すと、その多彩さが分かる。
1日目には、「FITNESS 1」と呼ばれる、スパルタンレースで使われるような障害物(オブスタクル)を活用したフィジカルタスク、限られたスペース内で車両を180度回転させる「RING FENCED」、地図とコンパスを頼りにチェックポイントを探す「NAVIGATION」、スペアタイヤの脱着を行う「EQUIPMENT」、ロープの結び方を学ぶ「ROPE WORK」、そして夜間の「NIGHT DRIVING」ミッションが行われた。
2日目:丸太で橋を架け、ウィンチで障害物を撤去
2日目も過酷さは増す。チーム戦のフィジカルタスク「FITNESS 2」に始まり、前日に学んだロープワークを実践し、丸太で橋を構築してディフェンダーで渡る「GROUND BRIDGE」、ウィンチで丸太を撤去してからオフロードコースを走破する「WINCH & OFF-ROAD」、車両のサラウンドカメラシステムを駆使してQRコードを探す「CAMERA」など、まさに冒険者に求められる総合力が試された。
フィジカルタスクはさながらTV番組「SASUKE」を彷彿とさせ、同時にオフロード走破能力、問題解決能力、そしてチームワークまでが総合的に審査される形式は、宇宙飛行士の選考プロセスをも連想させるものであった。2日目は途中からあいにくの雨天となったが、寒さの中で濡れながらも、参加者たちは終始笑顔で元気に競技に取り組んでおり、その高いモチベーションとメンタル面の強さも印象的であった。
日本代表は「海の人」! 今村直樹氏に決定
この過酷な2日間の予選会を勝ち抜き、日本代表の座を射止めたのは、今村直樹さんであった。驚くべきことに、今村さんはディフェンダーのオーナーではなく、むしろ「普段はクルマの運転より船を漕いで、海峡横断レースなどに参加している」という、海でのアドベンチャーを基盤とする人物であった。
今村さんは、「“チャレンジをしたい”という気持ちから、ディフェンダー・トロフィーに応募しました。9歳くらいの頃に見た黄色いSUVにずっと憧れを抱いていました。あれから30年が経ちましたが、諦めなければ想いは叶うのだと、今まさに実感しています。39歳になった今、来年アフリカに挑むことができることを嬉しく思いますし、この2日間、一緒に挑戦してきた仲間の皆さんの想いも乗せて頑張ってきます」と語った。
世界33名のファイナリストとアフリカで競う
今村さんは今後、世界70以上の国や地域から勝ち上がった挑戦者たち(ファイナリストは33名になる予定)とともに、2026年秋にアフリカで開催されるグローバルファイナルに参加する。グローバルファイナルでは、ファイナリストたちはペアで競技を行うが、個人単位で採点される形式が取られる。
険しいトレイルに挑む「ドライビング・チャレンジ」、迅速な判断力を試す「イノベーション・チャレンジ」、峡谷の横断や渡河などを含む「フィジカル・チャレンジ」 といった、さらに過酷なステージが用意されている。
そして、グローバルファイナルの優勝者は、DEFENDER の自然保護パートナーである Tusk(タスク)とともに独自のミッションに携わり、未来にレガシーを残すという、壮大な目的を達成するチャンスを獲得する。今村さんのアフリカでの活躍が大いに楽しみである。
100台限定。アドベンチャースピリットを受け継ぐ特別仕様車
なお、今回の予選会会場には、このディフェンダー・トロフィーの開催を記念して設定された特別仕様車「DEFENDER TROPHY EDITION CURATED FOR JAPAN」も展示されていた。
このモデルは、日本市場向けに100台限定で導入される。ベースとなっているのは「DEFENDER 110 X-DYNAMIC SE D350」で、エクステリアカラーには、かつてのチャレンジコンペティションを象徴する黄色を現代的に解釈した「ディープサンドグローイエロー」(70台)と、ディフェンダーの故郷である英国の田園地帯をイメージした「ケズィックグリーン」(30台)の2色が用意されている。
「TROPHY EDITION」専用のボンネットデカールやバッジに加え、エクスペディションルーフラックやレイズドエアインテークといった専用アクセサリーを装備し、まさに本大会のアドベンチャースピリットを受け継ぐ1台となっている。
【画像35枚】丸太を渡り、チームで挑む。限定車「TROPHY EDITION」も登場した「ディフェンダー・トロフィー」日本予選会の熱気を写真で見る








































