巷で人気のコンパクトSUVだが、やっぱりフランス勢は個性的なモデルが揃っている。兄弟のようなC3とDS3だが、実はプラットフォームも違うし、まったくキャラが異なる。さらに実力派のルノーSUVが割って入ったからさあ大変。アナタならどのモデルをチョイスする?
ホッコリ癒し系か、アバンギャルドで攻めるか?
フランス車ほど庶民の味方でいてくれるクルマは他にないと常々思っている。最近のクルマはモデルチェンジの度に値段が高くなり、ドイツ車なんかは500万円以上、1000万円以上といった庶民の手が届かないモデルばかりが次々と登場している。その点、フランス車ではいまでも300万円前後が主流で、プジョー/シトロエン/ルノーに至っては550万円以上のモデルが1台もない。この事実だけでも「なんてフレンドリーなんだろう!」と感激してしまう。ちなみにもっとも高いフランス車はアルピーヌA110だが、それでも800万円代に収まっている。
フレンドリーなのは価格だけではないところもフランス車の魅力のひとつである。クルマが没個性だのシロモノ家電化だの言われる昨今、フランス車はいずれもいまだに明確な個性を持ち合わせていて、それが自分の感性と合えばあっという間に仲良くなれる。そもそも、”クルマと仲良くなる”なんて表現自体、フランス車以外にはほとんど通用しないだろう。
DS3クロスバックは”DS3″を名乗っていても現行のDS3とは別物と考えていい。DS3クロスバックはCMP(コモン・モジュラー・プラットフォーム)と呼ばれる新開発の次世代プラットロームを使った頭出しとなるモデルである。PSAグループは今後、プジョー308やC5エアクロスSUVやDS7クロスバックなどが共有するEMP2とこのCMPのふたつですべてレンジをカバーすると発表している。
CMPは内燃機のみならず、PHEVやBEVにも対応可能だそうで、電動化対策も盛り込まれた設計となっている。2つのトレッド/3つのホイールベース/3つのリヤモジュール/複数のホイール径を任意に組み合わせることで、プジョー/シトロエン/DS/オペル/ヴォクソールの5ブランドのB/Cセグメントをカバーするという。ちなみに発表されたばかりの新型プジョー208はCMP採用の第二弾である。
全幅は1800mm近くあるが全長は4120mmしかなく、全高は機械式駐車場利用に嬉しい1550mm。このボディサイズはアウディQ2がもっとも近いが、フェンダー部分の処理の仕方などにより、Q2よりもずっとグラマーに見える。特筆すべきは最低地上高。185mmはジープ・レネゲード(170mm)やVWティグアン(180mm)よりも高い。4WDの設定はないものの、豪雪地域にお住まいの方には心強いスペックだろう。