メルセデス・ベンツはEクラスセダンのマイナーチェンジに続き、Eクラスをベースにスタイリッシュさを追求したクーペと、オープンエアドライビングを満喫できるカブリオレの導入を開始した。ステーションワゴンスポーツ、クーペスポーツ、カブリオレスポーツの3タイプをご紹介しよう。
走りの質感が高まった新型Eクラス
Eクラスと名乗る以前のミディアムクラスも含めれば累計販売台数は1400万台。もっとも多くのユーザーに届けられたEクラスはまさに中核をなすモデルだ。それだけに豊富なバリエーションで多彩なニーズに応えるとともに、マイナーチェンジでも大規模に手を入れるのも恒例になっている。
これまで逆台形だったフロントグリルはAシェイプと呼ばれる台形になり、ヘッドライトも一新。セダンではリアコンビネーションが2分割タイプとなるなどボディ側も変更しているのだから手がかかっている。インテリアで目をひくのがツインスポークの新世代スポーツステアリング。ブラックパネルは上質で美しく、計算された形状によって握り心地も素晴らしい。スポーク上のタッチセンサーのスワイプ操作は、最初はあまり上手に操れない感じがしたが、設定で感度を変更すれば解決する。
E200ステーションワゴン・スポーツはエントリーモデルで1.5Lターボ+BSGを搭載。C200でおなじみのパワーユニットは100kg以上重いEクラスのボディでも不満のない動力性能だった。エンジンのスペックをみるとやや高回転型に思えるが、低回転域はBSGの駆動アシストでカバーされ、体感的には2Lターボ級のトルクとドライバビリティが得られている。アイドリングストップからの再始動が実にスムーズなのもBSGのメリットだ。
それよりも感心したのが乗り心地。従来はときおりランフラットタイヤの硬さが気になることがあったのだが、新型は見事に履きこなし、ゴツゴツ感などはほとんど感じない。Eクラスに相応しい上質でしなやかフィーリングになったのだ。それでいてハンドリングは意外や活発で正確性の高いコーナリングが味わえる。メルセデスらしい快適性がありながら、ドライバーズカーとしての実力が高いのもEクラスなのだ。
E300クーペ・スポーツになるとさらにドライビングプレジャーは濃厚になる。ドライビングポジションからしてスポーティでやる気をおこさせ、ハンドリングもシャープ。高い操縦安定性をベースに、それを崩さない範囲で舵の効きを高めているような印象だ。直列4気筒2LターボはBSG非搭載だが、それだけに自然なフィーリングでトルク&パワーも十二分。常用域では静かで存在を主張してこないが、アクセルを踏み込めば勢いよくレブリミットまで吹き上がってスポーティな側面もみせるようになる。
E300カブリオレ・スポーツは優雅でオープンの楽しさがあるのはもちろんのこと、シャシーのバランスや音・振動の感じ方でも好ましく、もっとも快適な1台だった。AIR BODY CONTROLサスペンションは変幻自在に乗り味を変化させ、スポーティに走らせているときでさえ上質感や快適性を損なわない。風の巻き込みを抑制するエアキャップ、首元を暖めるエアスカーフによって冬の寒空の下でもやせ我慢することなくオープンエアモータリングが楽しめる。
日々進化しているMBUXの搭載やARカーナビの初採用など話題にこと欠かない新型Eクラスだが、熟成して超がつくほど走りの質感が高まっていることも見逃せない。またしてもマイナーチェンジでメルセデスの良心を見せつけられることになったのだ。