20psのモアパワーと1ランクアップしたシャシー
911ターボシリーズの991 2型(ポルシェでは“2”の部分にローマ数字を使用)がついに正式公開となった。今回はクーペとカブリオレの両方が最初から揃っての登場だ。
まずは外観上の変更点から。フロントまわりでは2本が平行する細身のLEDライト、フィン付きになったセンターエアインテーク、サイドエアブレード付きのリップスポイラー、リアまわりではカレラシリーズと共通のテールライト、逆台形から菱形になった左右エアアウトレット形状、変更されたデュアルテールパイプ形状、中央が盛り上っていて左右開口部のルーバーが縦方向になったリアリッドグリルなどが新しいデザイン要素だ。細かいところではアウタードアハンドルも、樹脂製のシェルインサートが廃止されてすっきりとしている。
カレラシリーズのターボ化を勘案せずとも出力向上はマイナーチェンジに欠かせないお約束だが、今回は標準車のターボもターボSも、ともに20ps(15kW)が上乗せされた。これにより911ターボは540ps(397kW)となったが、増分はシリンダーヘッドのインレットポートの見直し、燃料噴射装置の燃圧向上によるものとのことだ。一方、580ps(427kW)となった911ターボSでは、大型コンプレッサーを備えた新しいターボチャージャーに変更されている。
動力性能で見ると、911ターボは0-100km/h加速が3.0秒、最高速は従来型比5km/h増の320km/h、911ターボSは2.9秒と12km/h増の330km/hを達成。にもかかわらず、全モデルで100kmあたり0.6リッターも燃料消費を低減している。これはエンジンの高度な電子制御と、シフトマッピングを見直したトランスミッション(全車7速PDK)によるものだ。
電子制御デバイスでは、スポーツクロノパッケージに新たに加えられた「スポーツレスポンス」が目を引く。918スパイダー用の形状を受け継いだ360mm径のGTスポーツステアリングに設置されたスイッチを押すと、最大20秒間、加速力を強化できるというもの。経過時間はメーターパネルのインジケーターに表示され、すべての走行モードで利用できる。なお、走行モードはノーマル、スポーツ、スポーツプラス、インディビデュアル(お好み設定)の4つから、押し込むとスポーツレスポンスが発動するロータリーリングを回して選択できる。
ポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム(PSM)にも、新機能としてPSMスポーツモードが加えられた。センターコンソールに設置されたPSMスイッチを短く押すことで選択でき、PSMの介入を遅らせてシャシー性能を限界まで引き出せるようになる。
実用面ではレーダーセンサーを採用したレーンチェンジアシスト、低速時にフロントスポイラーリップ部を40mm上昇させるリフト機能がオプション設定された。
911ターボの価格はクーペが2236万円、カブリオレは2502万円、911ターボSはクーペが2599万円、カブリオレが2865万円。いずれも左右ハンドルが選択可能だ。