
クラスの常識を覆す、圧倒的な質感と走り
メルセデス・ベンツの新型CLAに試乗した第一印象は「異様なまでに高いボディの剛性感」「乗り心地の良さ」「風切り音の少なさ」だった。プラットフォームからパワートレイン、OSまで全てが刷新された新型CLA。今回はBEV(電気自動車)モデルの「CLA 250+」と「CLA 350 4MATIC」に試乗し、その進化の度合いを確かめた 。
【画像144枚】これが「新時代の高級車」。すべてが刷新された新型「メルセデス・ベンツCLA」の全貌を写真で見る
すべてが刷新されたプラットフォームと2種類のBEV
「え、なんだろうこの異様なまでに高いボディの剛性感は」
「乗り心地がすごくいい」
「風切り音がほとんどしない」
メルセデス・ベンツの新型CLAの試乗を開始した直後に次から次へ頭の中へ浮かんだ印象である。
新型のCLAは、プラットフォームもパワートレインもOSもすべてが刷新されたモデルで、その試乗会ではワゴンのCLAシューティングブレークも初お披露目された。今後はさらに2種類のSUVがデビューを控えており、計4モデルでメルセデスのラインナップにおけるエントリーレベルを担うことになる。
新型CLAにはハイブリッド仕様とBEV仕様の2種類が用意されていて、今回試乗できたのはBEVのみだった。ハイブリッド仕様は年末ぐらいに導入される予定で、日本へはそれを待って上陸するというから、おそらく来年の初頭くらいになるだろう。
BEVの「CLA 250+ with EQ technology」と「CLA 350 4MATIC with EQ technology」は、前者がリアだけにモーターを置く後輪駆動、後者がフロントにもモーターを置く4WDの駆動形式を持っている。パワースペックはCLA 250が最高出力272ps/最大トルク335Nm、CLA 350が354ps/515Nmで、航続距離はそれぞれ694-792kmと672-771kmと公表されている。320kWまでの急速充電に対応し、最速で22分で満充電、10分で航続距離275-315km分が充電できるそうだ。
空力性能を優先したボディと、進化した最新OS「MB.OS」
ボディはCLAなので4ドアクーペの形状を踏襲している。サイズは従来型よりも大きくなったが、後席やトランクルームは狭くなってしまった。これは、駆動用バッテリーを収めるスペースを最大限確保するためにボディを拡大した一方で、空力性能を向上させるためにエアロダイナミクスを優先したスタイリングを採用したからだ。ただし、ラゲッジスペースの容量に関しては、フロントにもトランクを設けることで実質的に増えている。
各種ソフトウェアを動かすMB.OSは最新バージョンにアップデートされている。ナビゲーションの地図の上に主要なアイコンが並ぶ“ゼロレイヤー”と呼ばれるデフォルト画面に大きな変更はないものの、反応速度や画面の切り替えが以前よりも明らかに速くなっていた。AIを使った音声認識機能は、「近くのイタリアンレストランは?」といった質問にも答えてくれる。また、ドライバーのみの一人乗車時は、「ハイ、メルセデス」のコマンドが必要なくなった。
インテリアの質感は高く、従来型よりも一つ上のカテゴリーに移行したようでもある。サスペンションのダンパーは電子制御式ではないコンベンショナルなものなのに、どんな状況でも乗り心地がとてもよかった。また、風切り音も少なく静粛性にも優れているので、快適性も飛躍的に向上している。
強靭なボディが生む、高級車らしい乗り味と一体感のある走り
BEVなのでCLA 250+は2055kg、CLA 350は2135kgと、ボディサイズの割に重量級だが、CLA 250+でもパワー不足を感じる場面はなかった。4WDのCLA 350のほうが瞬発力やスタビリティの面でCLA 250+よりも有利だが、個人的にはCLA 250+でも十分な動力性能を備えていると思った。CLA 250+のほうが航続距離も長いし、何より操縦性がスッキリとしていてクルマの動きもスムーズなのである。駆動レイアウトとしてはポルシェ911と同じRRなわけで、ステアリングの手応えに雑味がなく、前輪で向きを変え後輪でリアから押し出すような旋回時の挙動はRRらしいものだった。
新型CLAの出来栄えは総体的にとてもよく、従来型よりも高級車らしい乗り味となっていた。この要因の一つにはなんとも強靱なボディが一役買っている。高い衝突安全性を確保するべく設計したボディが、結果として良好な操縦性や乗り心地にも大きく寄与したのだけれど、その詳細については2025年8月26日発売の『ル・ボラン』本誌であらためてリポートする。
【画像144枚】これが「新時代の高級車」。すべてが刷新された新型「メルセデス・ベンツCLA」の全貌を写真で見る
【SPECIFICATION】メルセデス・ベンツ CLA 250+ with EQ technology(欧州仕様)
■全長×全幅×全高=4723×1855×1468mm
■ホイールベース=2790mm
■トレッド=前:1605mm、後:1574 mm
■車両重量=2055kg
■モーター形式/種類= – /永久磁石同期機
■モーター最高出力=272ps(200kW)
■モーター最大トルク=335Nm
■バッテリー容量=85kWh
■一充電航続可能距離(WLTP)=694-792km
■トランスミッション形式=2速
■サスペンション形式=前:3リンク、後:マルチリンク
■ブレーキ=前&後:ディスク
■ホイール=前&後:17-19インチ
【SPECIFICATION】メルセデス・ベンツ CLA 350 4MATIC with EQ technology(欧州仕様)
■全長×全幅×全高=4723×1855×1468mm
■ホイールベース=2790mm
■トレッド=前:1605mm、後:1574 mm
■車両重量=2135kg
■モーター形式/種類= – /永久磁石同期機
■モーター最高出力=354ps(260kW)
■モーター最大トルク=515Nm
■バッテリー容量=85kWh
■一充電航続可能距離(WLTP)=672-771km
■トランスミッション形式=2速
■サスペンション形式=前:3リンク、後:マルチリンク
■ブレーキ=前&後:ディスク
■ホイール=前&後:17-19インチ