
新型EV「ルノー5ターボ3E」、ツール・ド・コルスで初の公開走行を実施
ルノーは2025年10月9日、新型の電動ホットハッチ「ルノー5(サンク)ターボ3E」が、コルシカ島で開催された歴史的なラリーイベント「ツール・ド・コルス・ヒストリック」で初の公開走行を実施したと発表した。この車両は、かつての象徴的なモデルである「ルノー5ターボ」および「ターボ2」を現代的に再解釈した電気自動車であり、「ミニ・スーパーカー」と位置づけられている。
【画像65枚】過激なブリスターフェンダーに未来的なコクピット。新型「ルノー5ターボ3E」こだわりの内外装を徹底チェック
ジャン・ラニョッティの勝利から40年、伝説のスペシャルステージを激走
今回のデモンストレーション走行は、10月11日まで開催される競技会に先立って行われたものである。今年は、1985年にジャン・ラニョッティが「マキシ5ターボ」で同ラリーを制してから40周年にあたる記念の年である。この歴史的な舞台で、2台の先進的なプロトタイプがカルヴィの港や、ノートルダム・ド・ラ・セラ、モンテグロッソといった伝説的なスペシャルステージのルートを駆け抜けた。
ステアリングを握ったのは、ルノーのアンバサダードライバーであるジュリアン・ソニエ選手である。彼は、1985年にラニョッティが駆ったアイコニックなカラーリングのマキシ5ターボで、今年のヒストリック・ツール・ド・コルスにも参戦している。観衆は、ソニエ選手の運転により、このユニークな電気スポーツカーが持つ555psのパフォーマンスと俊敏性を堪能することができた。
ソニエ選手は「このルノー5ターボ3Eの運転は信じられないほどの体験だ。スーパースポーツカーに期待するすべてを備えており、真のラリー・ビーストだよ」と語り、その加速性能やブレーキング、コントロールされたドリフト能力を絶賛した。
アルピーヌが手掛けた革新のスペック、0-100km/h加速は3.5秒未満
ルノー5ターボ3Eは、アルピーヌによって開発されたモデルであり、特注のアルミニウム製プラットフォームをベースに、カーボン製のパーツで最適化が図られている。革新的なのはリアに搭載されたインホイールモーターで、2基合計で最高出力204kW(555ps相当)、最大トルク4800Nmを発生させる。これにより、左右のホイールを個別に制御し、トルク配分を最適化することで、俊敏性とパフォーマンスを向上させている。車両重量は1450kg未満で、0-100km/h加速は3.5秒未満という性能を誇る。搭載される70kWhのバッテリーは800Vアーキテクチャーに対応し、最大330kWのDC急速充電器を使用すれば、わずか15分で15%から80%まで充電が可能である。航続距離はWLTP基準で400km以上となる見込みだ。
このモデルは、初代ルノー5ターボが発売された1980年に敬意を表し、1980台が限定生産される。予約はすでに4月22日から開始されており、価格は16万ユーロからとなっている。日本を含むヨーロッパ、中東、オーストラリアで販売される予定だ。予約者は5万ユーロの支払いを伴う予約フォームに署名することで、1980台のうちの1台を優先的に注文する権利を得られる。
すでに予約は500件超、プロジェクト責任者が語る熱狂
今後のスケジュールとして、2026年初頭にはパーソナライゼーションの段階が始まり、顧客は内外装のカラーや素材を自由に選択し、自分だけのユニークな一台を作り上げることができるようになる。そして2027年前半に最終的な仕様を決定して注文し、最初の車両は同年中に納車される予定となっている。
プロジェクトマネージャーのミカエル・グロージャン氏は、「この素晴らしいプロジェクトは、社内だけでなく一般の方々の間でも大きな興奮を巻き起こし、最初の3日間で500件の予約が入った」と述べ、プロジェクトの成功に自信を見せている。伝説的なラリーの舞台でのデビューは、ルノーの新たな電動スポーツカー時代の幕開けを象徴する出来事となった。
【画像65枚】過激なブリスターフェンダーに未来的なコクピット。新型「ルノー5ターボ3E」こだわりの内外装を徹底チェック