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【速報】アルピーヌ「A290ラリー」ついに正式発表。220ps ・本格競技技仕様のEVラリーカー、価格は約1065万円

アルピーヌ創立70周年、100%電動の高性能ラリーカーを発表

アルピーヌは、ルノー・グループ初となる100%電動のカスタマーレーシングカー「A290ラリー」を正式に発表した。これは、アルピーヌがそのモータースポーツの歴史を通じて培ってきた情熱と、現代のエネルギー転換という大きな変化の中で革新を融合させるという、ブランドの野心的な挑戦を体現するモデルである。アルピーヌ創業者ジャン・レデレによる創立70周年という記念すべき年に、手頃な価格で高性能な電動ラリーカーという新境地を開拓する。

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ベースは市販EVホットハッチ「A290」。伝統と変革への回答

モータースポーツが大きな変革期を迎える中、A290ラリーは、手頃な価格で競技志向の強い、新世代の100%電動ラリーカーという大胆な提案である。この車両には二重の目的が与えられている。一つは、A106からA110ラリーGT+に至るまで、アルピーヌのロードレースにおける伝統を継承すること。もう一つは、排出ガス削減、コスト管理、多様性といった現代の課題に対する具体的な回答を示すことである。

ベースとなったのは、アルピーヌ初の電動ホットハッチである市販車「A290」である。このA290は、バッテリー配置による低重心化や、アルピーヌ・カーズのエンジニアによる専用チューニングが施されたシャシーを特徴とする。市販モデルの最上位バージョンであるA290 GTSは最高出力220psを発揮し、この市販車で培われたダイナミックな性能が、そのまま競技の世界へと持ち込まれた。

3000km超のテストで磨いたシャシー。油圧ハンドブレーキも装備

A290ラリーの開発プロジェクトは2023年12月に開始された。市販モデルを設計したエンジニアたちと、マニュファクチュール・アルピーヌ・ディエップ・ジャン・レデレおよびヴィリー=シャティヨンのハイパーテック・アルピーヌという、二つの競技部門が緊密に連携。シャシーエンジニア、バッテリー専門家、シミュレーション専門家らが協力し、3000kmを超える実走テストを経て、市販モデルの組み立てが開始された。

A290ラリーの技術的な核心は、市販車A290の優れたシャシーをラリーの要求に合わせて適応させた点にある。市販車ベースのシャシーには、FIA公認のロールケージが溶接されている。サスペンションにはALPレーシング・サスペンション製のダンパーが採用され、車高調整が可能。キャンバー角調整を可能にする専用ステアリングナックルや、剛性を高めた特注のスプリング、アンチロールバーも装備する。

ブレーキシステムも大幅に強化された。フロントには6ピストン・モノブロックキャリパーと特大の350mmディスクを、リアにはシングルピストンキャリパーと280mmディスクを装備する。これらはアルピーヌ・レーシングが専用開発したABSによって制御される。さらに、ラリー走行に不可欠な油圧式ハンドブレーキの統合も、遊び心のあるハンドリングを実現するために重要な焦点となった。

220ps300NmZFLSD採用。EVラリーカーのスペック

パワートレインは、最高出力220ps(160kW)、最大トルク300Nmを発生。駆動方式はフロントで、ZF製のリミテッド・スリップ・デファレンシャルを介して強力なトラクションを確保する。バッテリー容量は52kWh(400V DC)。100kWの急速充電に対応し、サービスパークでの短時間停車に相当する、わずか28分未満で20%から80%までの充電が可能となっている。

Rally2車両に匹敵するディメンションを持つA290ラリーは、EVO Corse製の白い8×18インチ・スペシャルリムを装着。タイヤには、このカテゴリーで豊富なノウハウを持つミシュランが開発したパイロットスポーツA(18インチ)が選ばれた。車両の乾燥重量は1530kgと発表されている。

安全性に関しても妥協はない。A290ラリーはFIA eRally5規定を満たすよう設計されている。ディエップの工場での組み立て初期段階からロールケージが溶接され、装備面では、10年間の公認を持つSabelt製Spineバケットシート、6点式ハーネス、自動消火器などを標準装備する。

テストドライバーが語る「A290ラリー」の卓越したシャシー

その走行フィールは、電動カーへの先入観を払拭するものだと開発陣は語る。テストには、2024年WRC3準優勝者のマッテオ・シャティヨン氏をはじめ、著名なラリードライバーや若手ドライバーが参加。彼らのフィードバックにより、A290ラリーは現代の高性能な前輪駆動車と同様の、軌道とブレーキングに焦点を当てたハンドリングを実現した。

シャティヨン氏は、「シャシーはその強みであり、非常にバランスが取れており、恐怖を感じることなくプッシュできます。油圧式ハンドブレーキのおかげでヘアピンでの旋回も容易です」と、その完成度を称賛している。

価格は約1065万円(59900ユーロ)。ワンメイクカップも開催へ

アルピーヌは、このA290ラリーの市販化と同時に、ワンメイクカップ「アルピーヌA290トロフィー」の開催も発表した。最初のイベントは2025年11月8日・9日に開催される「Rallye National de l’Indre」で、この単一イベントには総額5万5000ユーロの賞金が設定される。2026年からは本格的な展開が予定されており、フランス・ラリー選手権の6戦で構成される「アルピーヌA290ラリー・トロフィー」(賞金総額23万6000ユーロ)と、FFSAカレンダー内の地方ラリーやヒルクライムを対象とする「アルピーヌA290リージョナル・トロフィー」(賞金総額4万6000ユーロ)の2シリーズが発足する。

トロフィー参加者には、レーシングスーツやアパレル類の提供に加え、現場での技術サービス、スペアパーツショップ、充電施設といった包括的なサポートエコシステムが提供される。A290ラリーは2025年10月にFFSA(フランス自動車スポーツ連盟)の公認を取得しており、トロフィー参加者に限らず、ドライバーは自由に従来のエンジン車が参戦するイベントで競争することも可能となっている。

A290ラリーの車両価格(組み立て、塗装、標準タイヤ込み、オプション別)は、5万9900ユーロ(約1065万円)と発表された。この価格設定は、高性能な電動ラリーカーをより多くの人々に届けるというアルピーヌの意志を反映したものであり、A290ラリーとA290トロフィーは、アルピーヌが描くカスタマーレーシングの未来像を体現するものとなるだろう。

日本導入の可能性については未発表だが、まずは欧州のラリーシーンでA290ラリーの活躍を目にすることが増えそうだ。

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※この記事は、一部でAI(人工知能)を資料の翻訳・整理、および作文の補助として活用し、当編集部が独自の視点と経験に基づき加筆・修正したものです。最終的な編集責任は当編集部にあります。
LE VOLANT web編集部

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