124年前の自動車が見せた快走
2025年11月2日、英国にてRMサザビーズ・ロンドン・トゥ・ブライトン・ベテランカー・ラン(LBVCR)が開催された。300台以上のクラシックカー、正確に言えばベテランカーが参加したこのイベントの中でも、その歴史的重要度から特に熱い注目を集めた1901年製「ベンツ・スパイダー」(メルセデス・ベンツ・クラシック所有)についてお伝えしよう。
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「赤旗法」撤廃を記念する世界最古のイベント
LBVCRは、1896年に行われた「解放ラン(Emancipation Run)」を起源としている。これは、「赤旗法(Red Flag Act)」とも呼ばれた「機関車法」の規制緩和を祝うものだった。この法律は当初、自走式道路車両の前を赤旗を持った人が歩くことを義務付けたものだったが、1896年、市街地以外での最高許容速度が時速14マイル(約22.5km/h)に引き上げられた。これを記念して開催されたのがつまり解放ランだったのである。
この歴史的な最初の催しには、自動車発明者の一人であるゴットリープ・ダイムラーも名誉ゲストとして参加していた。彼は、ビジネスパートナーであり親友でもあるフレデリック・R・シムズが所有するダイムラー・ヴィザヴィ3 hpに乗って、名誉ゲストとして解放ランを走ったのであった。
現在、LBVCRは世界で最も長く続いている自動車イベントと見なされており、参加資格は1904年までに製造された車両(二輪、三輪、四輪)に与えられる。イベントは伝統的に毎年11月の第1日曜日に開催され、日の出とともにロンドンのハイドパークをスタートする。
雨天の中、ロンドンから英国海峡沿いの町ブライトンまでの約100kmのルートを走り切ったこのベンツ・スパイダー(1901年製)は、メルセデス・ベンツ・ヘリテージのクラシックセンターが所有する車両である。メルセデス・ベンツ・ヘリテージのCEOであるマーカス・ブライトシュベルト氏は、以下のようにコメントしている。
「RMサザビーズ・ロンドン・トゥ・ブライトン・ベテラン・カー・ランは、好感を抱かせると同時に、歴史的にも意義深いイベントです。多様な参加車両の中で、1901年製のベンツ・スパイダーは、自動車がサクセスストーリーを歩み始めたばかりの時代のハイテクを見事に示しました。この極めて生き生きとした車両によって、我々の歴史の初期の章を輝かせることができました」
記念すべき2026年へのプレビューとして
LBVCRの開催に先立ち関連イベントも行われた。11月1日には、ロンドン中心部で「セント・ジェームズ・モータリング・スペクタクル」が開催され、そこではベンツ・スパイダーと共に「メルセデス・シンプレックス 28/32 hp」も展示された。また、その前日10月31日には、ブルックランズのメルセデス・ベンツ・ワールドのサーキットで、これら2台の車両を用いたメディア向け撮影会が実施された。
メルセデス・ベンツ・クラシックでは、今回の英国でのイベント参加を、2026年に迎えるふたつの大きな周年記念行事のプレビューと位置づけている。
ひとつめは、「自動車誕生140周年」だ。2026年は、カール・ベンツが1886年1月29日にモーターカーの特許を出願した「自動車誕生」から140周年を迎える年である。もうひとつは、メルセデス・ベンツの100周年だ。ダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト(DMG)とベンツ&シー (Benz & Cie.) が合併しメルセデス・ベンツ ブランドが誕生したのは、1926年のことなのである。
このふたつの記念行事がどのような規模・内容で開催されるのか、今後も注目していきたい。
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