乗り心地はあのライバルにも負けていない
前編でプラグインハイブリッドの740eについて触れたが、同様に電気自動車のi3/i8譲りという意味でいえは、新型の技術的なハイライトといえる「カーボン・コア」ボディも見逃せない。これはスチールにアルミ、そしてEVのボディ開発で培ったノウハウをもとに製造されるカーボンパーツを適材適所に組み合わせるもので、新型7シリーズは最大130㎏のダイエットといっそうの低重心化が図られているという。
そのほかにも、先代はリアのみだったが4輪すべてがエアサスになったり、走行モード選択システムに運転状況やドライブルートを考慮して自動的にエンジンやサスペンションの設定を切り換える「アダプティブ」モードが追加されるなど、走りに関するトピックは多い。さらに自動運転関連システムにも注目だ。クルマから降り、なんとリモコン操作で駐車をさせることができる自動パーキング機能は世界初、またアダプティブクルーズコントロール(ACC)にステアリング操舵機能が加わるなど、かなり積極的にシステムをアップデートしてきたのだ。これまでBMWは自動運転には否定的なのだろうという印象を持っていたが、このあたり、長年標榜してきた自らの価値とどう整合性をとってきたのかが興味深い。
「いやぁ、この乗り心地……まるで××××みたいですねぇ」
これが750Li xDriveに同乗した日本人ジャーナリストとの最初の会話だった。走行モードは「コンフォート」がデフォルトで、ポルトはほかのヨーロッパの街並みの例に漏れず石畳やらトラムの線路やらで路面がとても凸凹しているのだが、新型7シリーズはまるで鏡の上を滑るかのごとくまったくこちらの体を揺さぶることがない。目で見た路面の形状と実際の入力が一致せず、ちょっと頭が混乱するくらいだ。速度を上げていっても快適そのもの。路面がうねっていたりするとややあおられるような挙動が出るほどなのだが、これがまた適度なフンワリ感でとても気分がいいのである。