国内試乗

新型ジャガーXEディーゼルに試乗! 走りは、そして気になる燃費は……?

独自開発の最新ディーゼルエンジンを搭載

 

 東京ではちらほら見かける機会も多くなってきたジャガーXE。メルセデスCクラスやBMW3シリーズがライバルの、輸入車の売れ筋であるDセグメントモデルだけにさすがに人気があるな……という思いで街をゆく姿を眺めていたが、実は、それらはすべてガソリンエンジン搭載モデル。そう、発表当初から話題になっていたディーゼル版はもともとやや遅れて上陸するスケジュールが組まれており、この2月にようやくデリバリーがはじまったばかり。いまやエコカー減税の効果もあってクリーンディーゼルは大人気だから、「ディーゼル待ち」だったXEの購入検討者も多いことだろう。

 

DSC02839

 

 さて、なにがそんなに話題なのか改めて解説しておくと、このディーゼルはジャガー&ランドローバーが次世代のエンジン戦略を見据え、まったくの白紙から新開発した「INGINIUM(インジニウム)」ユニットだからだ。しかも総工費5億ポンド(約891億円)という大金まで投資してイギリスに新工場を建設、生産設備からまるごと一新してしまうほどの力の入れよう。これまでジャガー&ランドローバーの4気筒エンジンといえばフォードグループのそれを長らく流用していて、それはそれで出来は悪くなかったのだが、同社と袂を分かち、すべてを自社開発した渾身の作とあらば注目しないわけにはいかない。ちなみにインジニウムユニットにはほぼ共通のアーキテクチャーでガソリン版も用意されるが、まずはディーゼル版の量産が先行し、現状XEに搭載されているガソリンエンジンは旧世代に属するフォード系のユニットとなる。だからある意味インジニウムエンジンを搭載するXEディーゼルこそが、正真正銘の新生ジャガーともいえるのだ。

 

 

ライバルに比べて格段にトルクフル

 

 個人的にはジャガーはセダンであってもスポーツカー、ハンドリングカーだと思っているので、最初は「ディーゼルのジャガー?」なんてちょっと懐疑的に思っていたのだが、このXEディーゼルにはある意味新しいジャガー像が宿っているといえそうだ。

 

DSC02891

 

 アイドリング時の静粛性はガソリンエンジン並み。うれしいのは車外にいてもディーゼル特有のガラガラ音がほとんど気にならない旋律に整えられていることだ。ライバルたちも遮音には気を遣っているから車内にいればまずそれとは気づかないのだが、ひとたび外に出ると「やっぱりディーゼルだったのね」と幻滅させられることも多い。まずはジャガーのスポーツイメージが壊されなかったことに安心する。

 

 そしてやはりこのディーゼルの白眉はそのパワフルさにある。スペックは最高出力180ps(132kW)/4000rpm、最大トルク430Nm/1750~2500rpmであり、メルセデスC220dの170ps(125kW)/400Nm、BMW320dの184ps(135kW)/380Nmより明らかにトルクフル。普通に走っている限りは8速ATが賢くシフト制御、ほとんど1500rpm以下で回すなど燃費運転に徹するのだが、ひとたびアクセルを踏み込むと瞬時にシフトダウン。1800rpmを境にそれまでの紳士っぷりが豹変、血の気の引くような猛烈な加速をドライバーにお見舞いする! もちろんATモードだと4400rpmのイエローゾーン手前でシフトアップしてしまうから、ガソリンエンジンのようにブン回してパワーを稼ぐ快感には乏しいのだが、ワイドな8速ATのおかげでこの強烈な加速がどこまでも続いていきそうな空恐ろしさすら感じられる。この刺激的な加速は従来なら「Rモデル」でしか味わえなかった。XEはジャガーのダウンサイジングモデルだが、同時にハイパフォーマンスの民主化も図ってきたということができそうだ。

 

 高速道路の実燃費は20km/Lオーバー

 

 そしてこのディーゼルは尿素水を使って排ガスのNOxを後処理するアドブルーシステムを搭載しており、ガソリンモデルに比べ60kgほど車重が増しているのだが、ハンドリングへの影響は最小限だった。ほかのジャガー同様やはり「曲がりたがり」なキャラクターで、ステアリングのクイックさ、切り込んでいったときの旋回姿勢の美しさ、アクセルの踏み込みに応じてラインを自由自在に調整できる懐の深さは健在だった。巡航時の静粛性も優秀で、100km/h時のエンジン回転は1450rpmほど。エアロダイナミクスも練りに練られているようで、風切り音の類は皆無だからほとんど無音のクルージングを愉しむことができた。

 

DSC02898

 

 惜しいのはアイドリングストップなど、エンジンの始動/停止の際に振動がやや大きいこと、坂道や加速時など、高負荷がかかった際にディーゼルらしいサウンドを響かせることだが、この燃費を見ればそんな弱点には目をつぶることができるかもしれない。今回およそ500km試乗して得た燃費は、高速で20km/L前後、空いた郊外路で15km/L前後、混んだ市街地で10km/L前後。これらは一切エコランを意識せず、しかも時にフル加速を試すなど、さまざまなテストを行なった上での燃費なので、普通に走るぶんにはもっといい数値を叩き出すことができるはずだ。

 

 ガソリンモデルとの価格差は20万円だが、これはエコカー減税でほぼ相殺できる(2016年3月現在)。期待通りのジャガー(=ガソリン)と、新しいジャガー(=ディーゼル)。実に悩ましい究極の選択。どちらにするかは、ぜひ試乗して大いに悩んでいただきたい。

 

 

ジャガーXE 20d PURE

 

東京標準現金価格 ¥4,970,000
全長/全幅/全高 4680/1850/1415㎜
ホイールベース 2835㎜
車両重量 1660㎏
エンジン型式/種類 204DT/直4DOHC16V+ターボ
総排気量 1999㏄
最高出力  180ps(132kW)/4000rpm
最大トルク 430Nm/1750~2500rpm
トランスミッション 8速AT
燃費(JC08) 17.1㎞/L
サスペンション形式 前:Wウイッシュボーン/コイル
後:インテグラルリンク/コイル
ブレーキ ベンチレーテッドディスク
タイヤ 前:205/55ZR17 後:205/55ZR17
問い合わせ先 ジャガー・ランドローバー・ジャパン http://www.jaguar.co.jp

 

 

LE VOLANT BOOST編集部

AUTHOR

愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?

複数社を比較して、最高値で売却しよう!

車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか? 販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。 1 社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目 指しましょう。

手間は少なく!売値は高く!楽に最高値で愛車を売却しましょう!

一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。 MOTA 車買取は、この営業不特定多数の業者からの大量電話をなくした画期的なサービスです。 最大20 社の査定額がネット上でわかるうえに、高値の3 社だけと交渉で きるので、過剰な営業電話はありません!

【無料】 MOTA車買取の査定依頼はこちら >>

注目の記事
注目の記事

RANKING