コラム

もうそんなに!? あのボルボ850が発売から25年を迎える

ボルボの名を一躍有名にしたモデル

 

 1927年に設立した北欧スウェーデンのカーブランド、ボルボ。その名を一躍有名にしたあの850シリーズが、1991年の誕生から25周年を迎える。

 

 ボルボ850は、それまでのボルボを一新したクルマだった。横置きの直列5気筒エンジンを搭載した前輪駆動車は、「ギャラクシープロジェクト」のもとに生み出された。このプロジェクト名は、ボルボにとってスターとなるモデルの開発を目指して名付けられたもの。

 

 1991年6月11日。ストックホルムでワールドプレミアを飾ったボルボ850GLTは、それまでのボルボ車のデザインからはドラスティックに異なったもので、「4つの世界初を備えたダイナミックなクルマ」というキャッチコピーで発売された。4つの世界初とは、横置き直列5気筒エンジン、ボルボ独自のデルタリンク・リアアスクル、サイドインパクト・プロテクション・システム(SIPS)、自動調整式フロント・シートベルトだ。

 

 デザインこそ、それまでの700シリーズを彷彿としていたが、850は完全新設計のモデルで、開発は1978年まで遡る。その年に開催された会議の場で、先のギャラクシープロジェクトが発足したわけである。

 

 最初に誕生した850GLTは170psを発揮する2.5リッター自然吸気式直列5気筒エンジンを搭載した。ワゴンモデルのエステートは1993年2月に登場。切り立ったリアスタイルのデザインは積載量の最大化が目的で、Dピラーを覆い尽くすリアコンビネーションランプとともに、このモデルを大きく特徴づけていた。そんな850エステートは、イタリアの「もっとも美しいエステート賞」や、日本の「1994年グッドデザイン大賞」を獲得した。

 

Volvo 850 T-5R

 

 850シリーズでもっとも印象深いモデルに、T-5Rを挙げる方も多いだろう。1994年のジュネーブショーでデビューしたT-5Rは、人目を引くイエローのボディで登場。大きな注目を集めた。2500台の生産が予定されていたこのスペシャルモデルは、インタークーラーターボ付きのエンジンが搭載され240ps/330Nmを発揮。スペシャルデザインのスポイラーや角型エキゾーストパイプ、タイタンと名付けられた17インチアルミホイールを装着していた。イエローに塗装された850T-5Rはわずか数週間で完売したため、さらにブラックボディで2500台が追加で生産されたほどの人気を博した。最終的には、ダークグリーンボディでさらに2500台が追加生産された。

 

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 一方、レースシーンでも850の登場はボルボの知名度を高めた。1994年に850レーシングカーでBTCC(欧州で最も権威のある英国ツーリングカー選手権)にレース回帰したわけだが、英国スラクストン・サーキットに登場したレースカーは、なんとエステートで、当時大きな話題を呼んだ。

 

 ボルボ850は当初から「世界でもっとも安全なクルマ」と称され、1995年には世界初の安全装備も搭載された。それがサイドエアバッグ。そう、ボルボ850は世界ではじめてサイドエアバッグを搭載した量産車だったのである。

 

 その後、1996年にはボルボにとってはじめてとなる4WDモデルが誕生。850 AWDはビスカスカップリングによって自動的に前輪から後輪にトルク配分される、フルタイム4WD機構が搭載された。この193psを発揮する850 AWDは新開発の低圧ターボエンジンを搭載し、後のXCモデルの先駆けとなった。

 

 850は1996年に最終モデルを迎え、翌1997年には後継を担うサルーンのS70、エステートのV70にスイッチ。850シリーズに端を発したこのモデルシリーズは累計で136万522台が製造された。

 

 

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