自動運転車の市販化が日本再上陸のきっかけに?
8月16日、フォードは完全自律走行車を2021年までに実用化し、タクシーや相乗り車両として商用提供する意向を発表した。フォードが目指すのはSAEレベル4に分類される自動運転車で、周辺の交通状況の監視や対応なども含めて完全に車両側が運行を管理する、いわゆる“無人走行車”。すでに10年以上に渡って研究と開発を重ねているというフォードでは、「完全自動運転車にはステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダルを装備しない予定」と述べている。
自動運転に必要な制御アルゴリズム、3Dマッピング、レーダーやカメラセンサー、LiDAR技術などについてはシリコンバレーの新興4企業と連携し、開発を進めていく予定とのこと。LiDARとはフォードが自動運転のために開発した、毎秒280万のレーザーパルス射出によって周辺環境を極めて正確にスキャンするという、可視光に依存しない測量センサー技術で、これを利用した無人走行テスト車が真っ暗闇の砂漠で、無灯火での走行実験を成功させている。フォードは現在、フュージョンをベースにした完全自律走行車のプロトタイプを30台以上、公道でテスト走行させており、来年にはその数を3倍以上に増やしてテストを重ねていく計画だ。
自動車メーカーの多くが2020年あたりを目標に置いた完全自律走行車実用化の意向を公表しているが、技術的にも実験規模的にも、フォードがその最先端グループにいるのは間違いない。すでに日本法人の完全撤退が完了間近となっているフォードだが、もしかすると自動運転車の市販化が日本再上陸のきっかけになるかもしれない。