マルチリンクの角度を変更して制御
日産の高級車ブランド「INFINITY(インフィニティ)」は、世界初となる量産型可変圧縮比エンジン「VC-T」をパリモーターショーで世界初公開した。同技術によりVC-Tエンジンは、高性能2リッターガソリンターボエンジン級のパワーとディーゼルエンジンの特徴である高いトルクと効率性を併せ持つ、これまでにない最先端のエンジンになったと日産では発表している。市販車への搭載は2018年からとなる。
可変圧縮比技術は走行状況やドライバーの操作に合わせてピストンの上死点位置をシームレスに変化させることができるマルチリンクシステムを活用しており、200kW(272ps)/390Nmを発生する高性能モードの8:1から、高効率モードの14:1まで自在に変更することができる。
写真や動画のシリンダー部分に確認できるピンクの線が高性能モード、グリーンが高効率モードの、それぞれのピストンのストローク範囲。ピストンとクランクシャフトの間に設けられたリンクの回転位置によって上死点位置が大きく異なっていることを確認できる。
また、ディーゼルエンジンなどの従来型内燃機関よりも騒音や振動が少なく、高出力のV6エンジンに比べると軽量かつコンパクトになっているという。
各自動車メーカーが電気自動車へ軸足を移そうとしている動きが見られる一方で、内燃機関がしばらくはクルマの動力源における主力の座に居続けることも間違いない。この新しいエンジンがその期間を延長できるのか、それとも市販車への搭載を予定している2018年頃には電気自動車へと流れは大きく傾いてしまっているのか。その動向に注目したい。