1月31日、ゼネラルモーターズ(GM)とホンダは、自動車業界初となる水素燃料電池システムの量産を行う合弁会社の設立を発表した。この会社が生産する燃料電池システムは、両社がそれぞれ今後発売する製品に搭載される。
新会社の拠点はデトロイト
この新会社「フューエル セル システム マニュファクチャリングLLC」は、米国ミシガン州デトロイトの南に位置するブラウンズタウンにあるGMの既存のバッテリーパック生産工場内に設置され、2020年頃に燃料電池システムの量産を開始する予定。新会社は、将来的に約100名の雇用を創出する見通しだ。なお、両社が同額ずつ拠出する新会社への投資総額は8500万ドル(約97億円)とのこと。また、新会社の経営は、両社が指名するそれぞれ3名の取締役からなる取締役会が担い、取締役会議長および社長も両社が持ち回りで指名する。
GMとホンダは2013年7月に発表した提携の基本合意に基づいて協業を進めており、次世代燃料電池システムと水素貯蔵技術の共同開発を行っている。燃料電池システムと水素貯蔵システムの、より低コストの市販ソリューションを創出するために、両社は開発チームを統合。燃料電池関連の知的財産を共有して開発に取り組んで行く。
ホンダの専務執行役員北米地域本部長で、ホンダ・ノースアメリカ兼アメリカンホンダモーターカンパニー取締役社長を務める神子柴寿昭は次のようにコメントしている。
「過去3年間、ホンダとGMは、それぞれの専門領域におけるノウハウを提供し、両社のエンジニアが“ワンチーム”として小型で低コストな次世代燃料電池システムの開発に取り組んできました。この素晴らしいチームワークの基礎があって、今回両社が将来の燃料電池車で、お客様に新しい価値を創造することを可能にする、燃料電池システムを共同で量産する段階に至りました」。
一方、GMでグローバル製品開発・購買・サプライチェーンを担当するマーク・ロイス上級副社長のコメントはこのようなものだ。
「燃料電池に関するイノベーションにおけるリーダー2企業の協業は、燃料電池をクルマの動力の主流へと近づけるエキサイティングな動きです。将来、燃料電池技術を乗用車に適用することで、より個性的で環境にやさしい移動手段のオプションをお客様に提供することが可能になります」。
ちなみに、GMとホンダは、1999年にもパワートレインの相互供給で提携し、ホンダがサターンVUE用V6エンジンを5万基生産供給し、ホンダはGM関連会社(当時)のいすゞ自動車から欧州向けのディーゼルエンジンの供給を受けた実績がある。