2015年、「ディーノは復活するのか?」と問われた現フェラーリ会長兼CEOセルジオ・マルキオンネが、「それは、するかしないかではなく、いつになるか?ということだ」と答えて以来、ファンの期待が高まっている新型「ディーノ」。今回は寒冷地試験中の試作車の画像が届いたのでリポートをお届けしたいと思う。
開口部をV6エンジンに合わせて最適化
フェラーリは現在、2025年までに年間1万台規模にまで成長するという大目標があり、ディーノは好況を呈するプレミアムスポーツカー分野でのプレゼンスを高める戦略モデルという位置付けになる。つまり「大量生産する会社にはならないが供給量は増やす」という、フェラーリの新路線を担うわけだ。
この試作車は「458イタリア」「488GTB」系のボディパネルを被せたミュールだが、サイドビューの大きな特徴になっているエアインテークの形状や配置が、スキャロップド・エアインテークの488(V型8気筒ツインターボ)とは明らかに異なっている。これは新しいV型6気筒エンジンのインタークーラーレイアウトに合わせて最適化されていると見るべきだろう。リア周りも458のボディでできているが、ベースブリードやブロウンスポイラー用の開口が開いていないので、このあたりはオリジナル・ディーノのようなプレーンな形状とされるのかもしれない。
エキゾーストパイプは空力に有利なハイマウントタイプで、ディフューザーも高エキスパンション形状。まだミュールボディなので最終的にはどうなるか不明だが、上級モデルでお馴染みになったDRS(ドラッグ・リダクション・システム)用フラップは装着されていないようだ。フロントカウルにはもはや定番となったダブルスポイラーが垣間見える。だが白迷彩のコントラスト効果に隠されて、エアピラーやスプリッター効果を高める可変フラップの存在は確認できない。
パワートレインはふたつの出力バリエーションを持つV6に、7速DCT(F1システム)の組み合わせ。V6はマセラティやアルファロメオでお馴染みの2.9リッターV6とそのスープアップ版で、上級仕様は600psオーバーといわれている。