2016年夏、アメリカで発表した「マスターソリューションズプログラム」が大きな反響を得ていたメルセデス・ベンツ。マスターソリューションズプログラムとは、社外のボディ架装業者と協力、メルセデス・ベンツ製バンを工事/作業用車両にカスタマイズするプログラム。基本的にはプロ仕様の働くクルマに仕上げることがメインではあるが、趣味として楽しむ人も利用できるとあって、ハードユーザーの間でもかなり話題になっていた。
Vクラスのバン仕様をベースに
そんなメルセデスが、シカゴモーターショーで発表したコンセプトモデルが、ここで紹介する「メルセデス・ベンツ・メトリス マスターソリューション・ツールボックスコンセプト」だ(以下、ツールボックスコンセプト)。ベースとなるのはメトリス・カーゴバンで、日本でいう「Vクラス」の商用車仕様である。
このツールボックスコンセプトには、「ソルティモ」「レンジャーデザイン」といったプロ仕様のラック、シェルフ、ケース等を搭載。車両そのものが工具箱であるかのように、圧倒的な収納力と利便性を確保しており、車内で長時間作業することを可能にしている。
またフロアには合成樹脂製と思われるタイルを採用。グリップを高めることで作業性を確保するとともに、取り外しが簡単なのでフロアー下の洗浄を容易にしている。
シルバーにキーカラーとなるブルーを配したホイールなど、外観もユニーク。実際に製作したのはメルセデスのチューナーとして知られる「レンテック」だ。
ちなみに、メトリスはノーマルでも0-60mphが9秒と、充分なパフォーマンスを有している。総排気量2.0リッターの直列4気筒ターボエンジンを搭載しており、最高出力は208ps、最大トルクは350Nm。商用車とひと言で片付けてしまうには実に惜しいパフォーマンスなのだ。
残念ながら、このマスターソリューションプログラムはメルセデスUSAの独自サービスであり、日本には導入されていない。せめて装着が容易なパーツだけでも販売されたら、と思うのだが……。