アウディ

【新車試乗記】絶妙のキャラ設定!アウディ新型「S4」の走りとは?

アウディの新型「A4」が日本に導入されてはや1年。街で目にする機会もずいぶん増えてきたように思うが、コイツの登場を待ちわびていた方も多いのではないだろうか。それが今年に入ってから本格的にデリバリーが始まった、高性能仕様の「S4」だ。

 

カタチ以上に中身が変わった

 

メルセデス・ベンツやBMWにも「AMG」や「M」という尖ったスポーツ仕様があるけれど、アウディが上手いのは「S」モデルにそこまでハードコアなチューニングを施していないところ。スペックを見れば明らかだが、メルセデスAMG C63は4.0リッターV8ツインターボで476ps。BMW M3セダンは3.0リッター直6ツインターボで431psだ。一方、アウディS4は3.0リッターV6シングルターボで354ps。価格もそれぞれ1219万円、1132万円なのに対し、こちらは839万円とずいぶん身近(?)な設定になっている。

 

もちろんアウディにもAMGやMにガチでぶつかる「RS」なるさらにスパルタンなモデルがあるけれど、高性能と日常性のバランスでいえばこのS4に軍配が上がるのは間違いない。それでいて「人とはちょっと違うものに乗っている」満足度は同等に得られるのだから、やはりアウディはマーケティングが上手い。

 

new audi s4 2017 (8)

 

さて、そんな新型S4だが、外観が思いのほかキープコンセプトであるのに対して結構メカニズムの変更点は多い。まずエンジンが変わった。先代B8型は3.0リッターV6スーパーチャージャーだったが、現行B9型は排気量はそのままに過給器をターボに変更。さらに吸気バルブを早閉じしてエネルギー効率を高めるミラーサイクル(アウディは「Bサイクル」と呼ぶ)を採用、出力と燃費の向上を実現している(+21ps/60Nm)。またシリンダーヘッドをアルミ化することなどにより、エンジン単体では14Kgの軽量化を達成した。

 

さらにトランスミッションがデュアルクラッチの2ペダルMT、7速DCTからトルクコンバーター式の8速ATに変わった。アウディが先鞭を付けた低燃費と電光石火のレスポンス、さらにダイレクト感までを兼ね備えるDCTだが、このあたりは高額車だけにどちらかといえば変速時のスムーズさ、快適さをより重視する市場からの声が多かったのだろう。DCTも以前に比べれば変速は十分滑らかになっているが、ATに比べるとまだスタート時に一瞬もたついたり、変速時にギクシャクするようなことがある。

 

そしてイマドキな安全装備の充実も見逃せない。自動緊急ブレーキや前車との車間距離を自動的に調節してくれるアダプティブクルーズコントロール、レーンキープアシストはもちろん、65km/h以下ではシステムがステアリング操作にも介入、半自動運転を実現するトラフィックジャムアシストまでを搭載している。つまりホットなドライビングから帰り道のクールダウンまで、S4の特徴である「万能さ」により磨きがかかっているというわけだ。

 

new audi s4 2017 (9)

 

4WDの味つけも手慣れたもの

 

想像の通り、街中を流している時の快適さは通常のA4譲り。S4にはさらに減衰力可変式ダンパーが標準装備されるので、走行モード選択システム「アウディドライブセレクト」で「コンフォート」モードを選んでおけば、乗り味はA4以上にしなやかに感じられるほど。トルコンATなのでDCTとは異なり、アクセル操作に気を遣うこともなく慣れ親しんだ右足の操作でスムーズに運転できるのがうれしい。つまり、普通に乗っている限りは家族にも優しい上質なセダンそのものだ。

 

ただしアクセルを深く踏み込めばキャラクターは豹変する。キックダウンするやいなや、テールを沈めて血の気の引くような加速をドライバーにお見舞いするのだ。小刻みなビートを刻むミドルトーンのエキゾーストノートもスポーティで、シフトアップ時に一瞬「ボボッ!」と排気の逆流音が鳴るのもシビれる演出。エンジンもレッドゾーンのはじまる6500rpmまでキッチリ回る。走り自体は理性的で決して荒々しくないのに、刺激は十分。そこにあるのはツボを押さえたスポーティさだ。

 

車両全体で100kg軽量化された効果も大きく、コーナリングでの身のこなしもしなやか。S4はもちろん「クワトロ」と呼ばれる4WDシステムを搭載しているのだが、ステアリングを切った刹那に“ハナ”がスッとインに入るのは、前後基本トルク配分が40:60とフロントが軽めに設定された効果もある。フロントへの配分が大きいと推進力がつきすぎるので、曲がる際にちょっと鈍さを感じるケースが多いのだ。

 

new audi s4 2017 (2)

 

さらに試乗車にはオプションのリアスポーツデファレンシャル(19万円)が装着されていたが、この威力も抜群。これはコーナリング時、駆動力を外側のタイヤにより大きく配分することで意図的に回転方向の動きを作り出し、よりスムーズに車を曲げてくれるもの。自分を中心に車がコンパクトにクルリと旋回、脱出時のアクセルオンでは後輪駆動車よろしくリアをわずかに沈めながら豪快に立ち上がってゆく。それでいて安定感はFR以上。本気になればここまでスポーティなのに、クールに接すればどこまでも黒子を貫く。これがアウディSモデルの神髄なのだ。

 

前述したように、あまりにも完璧すぎるのでちょっとお釈迦様の手のひらで遊ばされているようなキライはあるけれど、同じ価格帯でこれほど上質で、ここまで高性能な車はちょっと見あたらない。A4からのステップアップ組、A6やライバルからのダウンサイジング組、それぞれを納得させる高い説得力に満ちたアウディ新型S4なのだ。

 

アウディ S4 セダン

AUDI S4 SEDAN

東京標準現金価格 ¥8,390,000

全長/全幅/全高 4745/1840/1410㎜

ホイールベース 2825㎜

車両重量 1680㎏

エンジン型式/種類 CWG/V6DOHC24V+ターボ

総排気量 2994㏄

最高出力  354ps(260kW)/5400-6400rpm

最大トルク 500Nm(51.0㎏-m)/1370-4500rpm

トランスミッション 8速AT

燃費(JC08) 12.7㎞/L

サスペンション形式 前:ウイッシュボーン/コイル

後:ウイッシュボーン/コイル

ブレーキ 前:ベンチレーテッドディスク

後:ディスク

タイヤ 245/40R18

問い合わせ先 アウディ ジャパン

 

LE VOLANT BOOST編集部

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