コラム

いまどき大注目のラグジュアリー系キャンピングカー最新事情(後編)

リーフで培った電池技術で日産が“電化グランピングカー”を市販化へ

 

 昨今のバンコンバージョン市場で圧倒的な強さを誇るのは、商用バンのマーケットと同様にトヨタ・ハイエースである。その王者に対抗する日産NV350キャラバンは、2017年夏のマイナーチェンジで、小型貨物車4ナンバーバンで初となる「インテリジェントアラウンドビューモニター(移動物検知機能付)」を搭載したほか、エマージェンシーブレーキ等の標準化など安全性の強化を図った。一方のトヨタ・ハイエースも2017年12月に「Toyota Safety Sense P」を標準化するなどの進化を遂げている。ただし、アラウンドビューモニターのような駐車支援機能ではNV350キャラバンの方が一枚上手かもしれない。

 そんなNV350キャラバンの拡販に力を入れている日産は、千葉県の幕張メッセで開催された「JAPANキャンピングカーショー」の常連になりつつあり、今年も「NV350キャラバン・リチウムイオンバッテリー搭載グランピングカー」を出展。昨年までとの仕様の違いは、12kWの大容量リチウムイオンバッテリーはオーバースペックということで、8kWに抑えたところだ。それでも2泊3日の程度の車中泊に必要なエアコンや電子レンジなどの電化製品(家電製品)の電力は十分にまかなえるという。なお、これら電化製品用に使われるリチウムイオンバッテリーは、普通充電なら6時間程度で満充電になるという。

 従来の12kW仕様はリチウムイオンバッテリーが運転席後方に縦向きに配置されていたが、最新のNV350グランピングカーが採用した8kWバッテリーは1列目シートの後方、ホイールベースの中心もより前に横向きで配置されている。これにより、左右の重量バランスや操縦安定性などの最適化も図られているとのこと。しかも機能面では、新たに「使いながら充電モード」を用意。2系統用意されるAC100Vの一方を活かしながら、残りの電力でバッテリーへの充電が可能になり、利便性がさらに向上したという。

 この「NV350キャラバン・リチウムイオンバッテリー搭載グランピングカー」では、日産自動車はあくまでベース車をビルダーに供給する姿勢なので、キャンピングカーを仕上げて販売するのは各ビルダーとなる。今年の「JAPANキャンピングカーショー」で、共同でブースを構えていた、日産キャンピングカーのスペシャリスト「日産ピーズフィールドクラフト(https://www.ps-craft.co.jp/)」がその代表格といえるだろう。今回のデモカーにはキャンピングカーとしてのレイアウトや仕様などについては同社の知見が盛り込まれている。

 日産ピーズフィールドクラフトの畑中一夫社長によると、今回初公開された市販仕様は、今年の秋くらいまでには発売する予定とのこと。エアコン、LEDライト、IH調理器、電子レンジ&冷蔵庫、TVなどを備え「ディーゼルエンジン+4WD」という最高価格帯の仕様で1000万円くらいのを見込んでいるそうだ。

フォト 塚田勝弘 K.Tsukada

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