
BMWワンメイクドライビングレッスン Powered by NEW M5

BMWがいうところのSAV/SAC(X5とX6)を除けば、Mモデルで初の4WDシステム搭載車となる新型M5。もちろん、「M xDrive」と名付けられた中身は完全な専用仕立てで、任意で2WDモードを選択することもできる。その走りの詳細は今月号の別項参照だが、新型は絶対性能だけでなくプレミアムなセダンとしての資質が大幅に底上げされていることも特長的だ。
本誌と富士スピードウェイとのコラボによる恒例イベント、「BMWワンメイクドライビングレッスン」が今年も始動。2018年第1回目の開催は3月8日だったが、当日はあいにくの雨模様。しかし、今回に限れば決して悪いことばかりではなかった。なぜなら、そこには4WDシステムが与えられた最新Mモデルが用意されていたからだ。
オープンスペースで行われるイベントの場合、気まぐれな天気に翻弄されるというのはよくある話。今年の初開催となったBMWワンメイク・ドライビング・レッスンも、当日の環境はご覧の通り。結局、朝からの雨模様は終日解消されることがなく、会場となった富士スピードウェイの路面は時間帯によってヘビーウェットという状態。季節柄、雪にならなかっただけでも安堵すべきだが、普通のイベントなら「水を差された」というレベルの話ではなかったというのが実際のところだった。

参加者は、2つの定常円走行レーンに分かれて新型M5に試乗。4WDのスポーツモード時における挙動を自らのドライビングで体感した。ご覧のように路面はヘビーウェットだったが、新型は見事なライントレース性を披露。試乗時は、助手席にインストラクターが同乗。随時必要に応じたアドバイスを行ない、短時間ながら参加者が新型M5のパフォーマンスを実感できる内容になっていた。
だが、雨が幸いした部分もある。毎回、このイベントでは参加者が愛車で富士のレーシングコースを存分に走れることが目玉となっているが、今回はBMWジャパンの協力で新型M5に試乗する機会が設けられていたのである。本誌読者ならすでにご存じの通り、新型M5は乗用車系Mモデルでは初の4WDシステム搭載車。4.4リッターV8ツインターボによる600ps&750Nmというアウトプットに対して、この新しい試みが果たしてどんな効果をもたらしているのか? それを実感する環境として、クローズドコースのウェット路面はむしろ絶好のシチュエーションだったといえるのだ。
それが如実に現れていたのは、定常円走行プログラム。参加者は12Rの曲率で並べられたパイロンの周りを新型M5で走行するのだが、Mモデルならではのスポーツテイストはそのままに4WD駆動らしいトラクション性能、あるいはコントロール性の高さを実感。2WDなら瞬時にスピンするようなアクセル操作でもドリフト走行に持ち込める懐の深さを体感したことで、Mモデルの絶対的パフォーマンスが新たな次元に突入したことが確認できたのである。
強ウェットのレーシングコースで「M xDrive」を体験
また、定常円走行以外では最新モデル試乗プログラムでもM5のステアリングを握る機会が設けられていた。こちらは速度制限が設けられた特設エリアを利用する関係上、定常円のようにアクセル全開、というわけにはいかなかったはずだが、日常域における洗練されたライド感を確認。Mモデルというと、従来はスポーツ性を全面に打ち出したドライブフィールが特長となっていたが、新型M5はそこにアッパーミドルクラスのセダンに相応しい落ち着きがプラスされているだけに、参加者はここでも新しいMモデルのキャラクターを実感できただろう。ちなみに今回の試乗プログラムでは、上陸間もない640iグランツーリスモや540iツーリング、そしてX3といったノーマル系BMWのxDrive(4WD)モデルも用意。短時間とはいえ、それぞれを雨という環境下で乗り比べることで、BMWの4WDがどんなキャラクターであるのかを再確認する機会にもなっていた。
一方、せっかくの新型M5なのだからレーシングスピードでの走りも知りたい、というニーズには同乗走行プログラムで対応している。今回は本誌執筆陣やインストラクターのドライビングで、富士のレーシングコースを周回。富士といえば長いストレートと高速コーナーの100R、そしてタイトな上りが続く後半という具合にバラエティに富んだレイアウトが持ち味となっているサーキット。それだけに、雨とはいえ非日常領域における新型M5のパフォーマンスを体感するにはこの上ない環境であったことは間違いない。
さて、そんな新型M5づくしとなった今回のドライビング・レッスンだが、“レッスン”の部分もしっかり実施されている。パイロンスラローム走行プログラムでは、コーナリングの基礎とBMW本来のパフォーマンスを体感。具体的にはステアリングとペダル操作のスムーズな連携、コーナーのライン取りやドライバーの理想的な視線移動の修得を目的としたレッスンが行われた。参加者はインストラクターのデモ走行を見学した後、愛車で仮設コースを数セット走るのだが、その際インストラクターからは無線によるリアルタイムでのアドバイスが入る。今回は時折雨脚が強くなる環境下だったが、タイヤのグリップ限界が低い状況でのスポーツ走行には繊細なドライビングが必須となる。それだけに、短時間とはいえレッスンの密度はむしろドライ路面時より高かったかもしれない。
そして、午後は常連参加者お楽しみのフリー走行。20分×3セットで午前中に修得したレッスンの成果を確認、参加者は日没直前までBMW三昧なひとときを満喫してプログラムは無事終了した。
取材協力:
BMWジャパンhttps://www.bmw.co.jp/
富士スピードウェイ http://www.fsw.tv/
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